突然ですが、あなたのスマートフォンが突然、喋りだしたらどうしますか？

そして、その喋りだしたスマホが自らを宇宙人と嘯いたとして、あなたは平静でいられる自信がありますか？

これは、ある日を境にスマートフォンを宇宙人に乗っ取られた大学生があらゆるトラブルを解決していく痛快劇！

そして、誰も予想できない衝撃のラスト！

これを予想できた人は凄いと思います。

この物語はすげえんだ！何がすげえって硝子で出来た俺のピュアなハートを踏み潰したあげく引き裂いちまうくらい見事な恋愛描写がたくさん書かれてるんだ！途中の失恋のところとか見てられなかったぜ！ちなみについ最近「DIVE!!」って本を読んだんだが、それと同じ様な気持ちを持ったんだ！つまりこの作品は「DIVE!!」と同じくらい名作だってことさ！

何故か陽気なテンションで紹介しましたが、この通りです。この作品はスゴい。自分の書いている作品に自信を持っているつもりですが、この作品には勝てません。悔しいが完敗です。

メンヘラにドMに童貞に。

スマホに入り込んだ宇宙人がある意味一番理性的な人間性を持っているんじゃないかという皮肉。

おおよそのライトノベルを楽しみたい人をある意味置き去りにするような展開の数々。

しかしきっちり回収される伏線。

ちょっと強引？
むちゃくちゃ？

それでいいんだよ！

不安定でどうしようもない恋に悩み

金と性欲にまみれた素直さを剥き出し

衝動のままに生きていく様、めんどくさいプライドに縛られる様、それは何より人間臭い。

欲望のままに、渇望せよ。

どんな過程とトンデモ展開を辿ろうとも、

心に残る、思いがけないハッピーエンドがあればいいのです。

宇宙人が難事件を次々解決するドタバタコメディ。読者は物語に振り回されている間にいつしかこの小説の虜になっていく。
一癖も二癖もある登場人物が頻繁にネタを挟んでくるため読みやすさはピカイチ。

なんと言ってもこの作品の魅力は地の文の語りの軽さ。
その軽さゆえに導入、日常パートも面白さを含みながら進んでいきます。
また、主人公の扱いが雑、というのはラノベでは定石ですが、ここもソラとマキナの会話だけでうまくクリアしています。

一人称ならではの細かいツッコミ、思考、目から見た情景描写が一つ一つ分かりやすく、そこにコミカルさも含まれています。

さらに、現代社会を舞台にしているのにも関わらずぶっ飛んだこのスケールのでかい展開！つい「乞うご期待」と言いたくなるような感じです(笑)