第4話 インター ビュー
僕は一対一で、一方的に話されるのが嫌いです。それが例え自分が興味のある話題でも。
互いの共通項について話しているからこそ、有意義な会話のキャッチボールがしたいのに、一方的に僕めがけてピッチングマシンで剛速球を連投されていては、グローブを手に取る気力さえ失せてしまいます。
会話に飽き飽きしていても、露骨に興味のない返答をする勇気もないので、相手はそのまま悠々と話を続けます。
そんな日々を過ごすうちに僕は人と話をするとき、僕と相手の間に人を挟んだりして話の対象が僕以外になる時間を作ろうとするようになりました。
一応、間に立ってくれる人には退屈させないように、今日はこの人で大丈夫だろうという人を吟味してはいますが、「一対一で話したくないから貴方を呼びました。」なんて本意が知れたら、決していい思いはしないだろうなあと思いつつ、ラインの連絡先画面をスクロールする毎日でした。
しかし、こんなことをしていても、どんどん会話環境から離れて、挙げ句には「そういえば、何でお前この席にいるの?」なんて言われかねない、と危惧した僕は新たな会話法を模索しました。
結果、思い付いたのは僕がインタビュアーになることでした。
会話の際、両者の間に立ち、
「あーなるほど、じゃ貴方はどう思います?」
といったように会話の回転軸になろうとしたのです。
否応にも会話内容を把握しなければなりませんが、会話の対象が僕だけじゃないという安心感からか、自然と能動的になっている自分がいました。
インタビュー(inter view)
文字通り「内面を見る」行為。
僕は中途半端ではあるけれど、せっかく培ったこの方法を自分自身にも試みています。
一日の終わり、風呂に浸かりながら、自分で自分にインタビューする。
インタビュアーの僕は、僕自身の悩みや不安の核心を突く問いをどんどん投げ掛けるけれど、僕はなかなか答えを返せない。
このエッセイも、ある意味、インタビュアーの僕が、インタビュイーの僕から答えを引き出させるために始めた企画といっても良いのかもしれないなあと今更ながら思います。
しかして、インタビュイーとしての僕は未熟。
答えが出るのには、まだまだ時間がかかりそうです。
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