第6話 実は鍛冶師なんだ~!
「ねぇ、そこのオーガの女性、交渉しよう! 」
そういってオーガの女性の前に行く。
「言葉が分かってもらえないのに何をどう交渉するって言うんだよ! どーせ隙をついてウチを攻撃してくるんだ、殺られる前に殺ってやる! 」
そういってオーガはこっちにむかって手を伸ばそうとしてくる。
「分かるから、理解出来てるから! 疑うなら武器は置くから! 」
そういって弓矢と剣鉈を地面に放り投げる。
「えっ!? 理解できてるの!? 何で人が!? 」
オーガの女性は不思議そうにこっちを見つめてくる。
「いや、恥ずかしいからそんなにマジマジと見つめないでくれよ」
そういって顔を反らすとオーガの女性は
「ホントに理解出来てるんだ! スゴいね♪ 兄ちゃん気に入ったウチの夫にしてあげる! 」
そういってオーガの女性が抱きつこうと寄ってきた。
「ちょっ、待って! 待って! 俺にはお付き合いしてる女性がいるから! だからそういうのはダメだって!? 」
そういうと後ろから抱きつかれてバランスを崩して倒れてしまう。
「何してるんですか! ライムは私の夫です! 妻は私なんです! なんて言ってるか分からないですけどなんかダメです! 」
後ろから抱きついてきたモニカがいつのまにか俺とオーガの間に立って何もさせまいと手を広げている。
オーガの女性は何がどうなってるのか分からないのか俺とモニカの顔を見比べている。
「あぁ、やっぱりそうなるよね…。でも、彼女と俺はさっきの説明で分かると思うんだけど愛し合ってます。種族なんて関係ないと思ってる。それでこの山の中腹にある洞窟に高く売れる鉱石があるらしくて、その鉱石を採石して家を建てる資金にしようと思って…。だからここを通りたいんだけどいいかな? 」
オーガの女性に聞くと笑いながら
「じゃあ、ウチは側室でいいから兄ちゃんの女にしてもらう、もし嫌だって言うなら絶対にここを通しません、ちなみにその洞窟に行きたいならここを通るしか道はないからね♪ 」
そういってオーガの女の子は道に座ってしまった。
「ねぇライム、彼女座っちゃったけど、どうしたの? 何て言ったのか余り聞き取れなかったんだけど…? 」
モニカが不思議そうに俺を見てオーガの女の子が何て言ったのか教えてほしそうにしている。
「じゃあ、簡単に説明するね…」
そういってモニカにさっきの事を簡単に説明するとモニカは驚いていたがすぐにオーガの女の子を睨みつけていた。
「何を考えてるんですかあなたは💢! 」
そういってモニカはオーガの女の子に近づいていく。
「ねぇ、何でこんなに彼女は怒ってるの? 私達、魔物の世界だと一夫多妻制って普通だよね? 何で? 」
オーガの女の子は俺に対して不思議そうに疑問をぶつけてくる。そしてその言葉をモニカに通訳すると…。
「確かにそうだけど…ライムは人だもん! だから妻は1人だけだもん、ライムは私だけのライムだもん! 」
その言葉を今度はオーガの女の子に通訳すると…。
「そんなの納得できない! 私は彼に運命を感じたの彼じゃないと嫌だ、何も私のものになってなんて言ってない一緒に共有しようって言ってるのにそれでも納得してくれないの? 」
その言葉をまたモニカに通訳するとモニカは少し考え込んでしまった。
「ねぇモニカ、彼女ケガしてるみたいだから治癒してあげてくれる?それからきちんと話し合おうよ♪ 」
そういうとモニカはオーガの女の子の方を向いて治癒呪文を唱え始めた。
「ねぇライム、ライム正妻は何があっても私だからね、絶対だからね! …良いよ、但し貴女は2番目の妻、つまり側室だからね! 」
オーガの女の子に伝えるとモニカは俺の腕をギュッと握ってくる。
「ねぇどうしたの? 彼女は何て言ったの? 」
オーガの女の子がモニカが何て言ったのか気になり俺に質問してきた。
「う~んっとね、簡単に説明すると君が俺の側室になるのを認めるって…。でも貴女は2番目で正妻は私なんだからね! ってとのことです」
オーガの女の子は嬉しそうにしている。
「ねぇ、ふと思ったんだけど俺の意思が入り込む余地はあるのかな2人だけの問題じゃなくて2人と俺の問題の様な気がするんだけど…」
それぞれに聞くと
「えっ、ウチじゃダメ? 」
「私が絶対正妻でイチャイチャできるなら問題ない! 」
と不思議な返答が返ってきた。
「いや、別にダメって事は無いけど…。2人がそれでいいなら…。それじゃあここを通してもらってもいい? それと名前を教えてよ、なんて呼べばいいかわからないからさ…」
そういってオーガの女の子に名前を聞く。
「ウチはユキって名前! えぇ~っと名前はライムでいいんたよね? これからウチのことも可愛がってね。よろしく! あとウチも採石手伝うよ♪ 」
こうしてユキも採石についてきてくれることになった…。
そして何故妻と愛人が出来てしまった…。
どうして重婚なんて事になったんだ? この世界では普通なのか? 分からないことだらけで頭の整理が追いつかない。
◆◇◆◇
「こっち、こっち! もうすぐだよ! 」
ユキが手を振って大きな声で俺とモニカを呼ぶ。
「さすがですね彼女。住んでいるだけあって登るの早いです」
ユキの後ろをモニカが歩いて追っていく。
「イヤイヤ、そう言うモニカも凄いよ俺なんて2人についていけてないもん! 」
モニカの後ろから必死に2人を追うが全然追いつく気配がない。
「あっ、そうだ! ねぇ、ライム~。ウチ、実は鍛冶師なんだ~! だから家を建てる時に工房も作ってほしいから、もっと稼げる物があるところも寄ってもらってもいい? 」
先頭を行くユキから他も寄っていいか確認してきた。
「他に寄りたい所があるんだってモニカどうする? 」
モニカに聞くとモニカは「いいよ~! 」と言って両手で丸を作りジェスチャーでユキに合図を出していた。
「ライムは? 」
ユキが俺に確認をしてきた。
「もちろんいいよ~! ただ、2人がケガするような危ない場所はダメだからね~! 」
そういうとユキは顔を赤くして「分かってるよ心配性! ・・・でも、ありがとね♪ 」
そういってユキは後ろを確認しながら、また歩き始めた。
(こっちの世界に来て、色々あって嫁と愛人が出来たけど俺がやることは同じ、家を建ててゆっくり過ごせる場所を作ってみせる! )
決意を胸に2人のあとを必死に追っていく。
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