第7話 採石って思ってた以上に難しい!
「この洞窟の中です! ここの洞窟の中の…えぇ~っと確か地下3階だったかな? 」
ユキは首をかしげている。
「とりあえず地下ってことだよね? じゃあひとまず地下3階を目指して行ってみよう! 」
そういって俺たちはひとまず地下3階を目指して洞窟へ入っていく。
◆◇◆◇
「結構この洞窟の中って暗いんだね」
そうモニカに話しかけると近くで蝙蝠が羽ばたく音がした。
「ヒャッ! なっ、なんなんですか今の音!
((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
モニカは俺の腕を掴みながら来ているが腰が引けている。
「大丈夫だよモニカ、蝙蝠だから…ねっ、ユキ? 」
ユキを見るとユキはこっちを見てマズッたみたいな顔をして「うん、蝙蝠は蝙蝠なんだけどこの蝙蝠、血吸い蝙蝠だった…ごめんだからここはいっきに駆け抜けるから! だから2人共ついてきて! 」
そういってユキは走り出した。
マズいな…、モニカが疲れ始めてる。
「モニカ大丈夫か? 」
後ろからモニカに話しかけると少し辛そうな声で「私は大丈夫だよ! ライムは平気? 」と返事が返ってきた。
自分の事だけでも大変なのに、そんなときでも俺の事を心配して…。
「モニカは少し休んでて! 」
そういって後ろからモニカをお姫様だっこをしてユキのあとを追う。
「ちょっ、ライム! どうして? 私、大丈夫だよ! 」
顔を真っ赤にして俺の腕の中でモジモジしている。
「明らかに疲れてるでしょ、付き合いは短いけどモニカの嘘ぐらい俺でも分かるよ♪ だから無理をしないで支え合っていこう」
そういってモニカを抱いたまま洞窟内を駆けていく。
「こっち、こっち! 」
ユキが岩影から手招きをしている。
「いくよモニカ! 」
腕の中で真っ赤になっているモニカに声をかける。
「えっ、いくって何が? 」
「ユキ! 俺とモニカを受け止めて! 」
「えっ? えっ? どういう事! 私にも分かるように話ししてぇ~~! 」
モニカが最後まで話し終わる前に俺はモニカを抱えたままユキの待つ岩影に飛び込んだ!
「大丈夫? 」
ユキが俺とモニカを受け止めて俺たちが無事か確認してくる。
「なんとか…。モニカは平気? 」
腕の中のモニカを確認すると
「ちょっと、胸大きすぎ…息苦しい…」
ユキの胸の谷間に顔を埋めてモニカはバタバタしている。
「ひゃっん…ちょっ、ちょっとあんまり暴れないで…敏感なの…」
ユキは必死に声を出さないように堪えている。
谷間にすっぽりとはまり、モニカはなかなか出て来れないのか、もごもごと何か言っている。
「ユキ、必死に堪えているところ悪いんだけど、ごめんね胸触るよ」
そういってユキの胸掴んで谷間を左右に開いてモニカに出てくるように伝え、モニカは無事にユキの胸から脱出した。
「ありがとうライム、助かった…にしても彼女、胸大きすぎ…」
そういってモニカが息を調えていると
「も、もう無理我慢出来ない! 」
そういうとユキは胸を触っていた俺の手を掴み、そのまま俺を抱き寄せ艶かしい声を出し
身体が震えていた。
「絶対、責任取ってよライム! 」
涙を浮かべユキは頬にキスをしてきた。
「…フフッ、キスしちゃった! 」
そういってユキはペタンと座りこんでしまった。
「ちょっ、ちょっと何でキスしてんのよ~! 」
モニカはユキの胸ぐらを掴み身体を揺すっている。しかしユキはそんなことは気に止めず
「ニヘヘ~」と笑っている。
「もういいライム、私にキスして! この子みたいに頬にキスをして! 」
そういってモニカが迫ってくる。
「分かったよ…」
そういってモニカの頬に唇を寄せてキスをする。
「…これでいいかな? 」
モニカを見つめると真っ赤な顔で頷いてくれた。
「ユキは立てる? 」
座りこんでいるユキに声をかけるとユキはポワァ~っとした顔で「うん、なんとか平気、それじゃ行こっか」とモニカと俺に声をかけてくれる。
「大丈夫そうなら鉱石を取りに行こう」
ユキの手を握り立たせてあげる。
「ありがとうライム、それじゃ行こっか」
ユキは俺の差し出した手を掴み、立ち上がり服をパタパタ叩き砂を落としてから洞窟の奥を目指して歩いていく。
◆◇◆◇
「やっと着いた~! 」
モニカはその場にペタンと座りパタパタと手で火照った顔を扇いでいる。
「それにしても大変だったね…何度蝙蝠に追っかけられたことか…でもやっと着いたね、さてとじゃあ鉱石を採掘しよっか!」
そういって背中に背負ってきたピッケルで鉱脈を叩き鉱石を発掘し始める。
「ねぇ、ライム…ライムって鉱石を発掘したことってあるの?」
ユキが興味津々で話しかけてくる。
「無いよ、けど何事もやってみなくちゃ!」
そういってピッケルを振りかぶり鉱脈を叩く。
「ッッッッッ~ゥ!!!! 」
ヤバいメチャクチャ痛い!
「だからやったことあるの?って聞いたのに・・・ほら、これ使って! 」
そういってユキは厚手の手袋を渡してきた。
「手袋1枚でそんなに変わるのかな? 」
そういってユキを見るとユキは頷いて
「着けてみれば分かるから・・・ほら、はやく! 」
そういって背中を押してくる。
「分かったよ」
そういって再びピッケルを振りかぶり鉱脈を叩くとさっきの痺れが嘘のようにまったく痛みを感じない。
「スゴい…手袋1枚でこんなに変わるなんて…」
俺が驚きを隠せないでいるとユキは嬉しそうに
「どう? スゴいでしょ! ウチが作った採掘ミトン!ウチの自信作なんだよ! 」
そういって胸を張っている。
「自信作って、もしかしてユキが作ったの!
スゴい、スゴいよユキ! これで手が痛くなくなったよ! ありがとう! 」
思わずユキの手を掴むとユキは恥ずかしそうに涙を浮かべて
「本当? ウチのこんな物でも役に立ったなら嬉しい。ウチ、鍛冶師って言ったけど他人を傷つける為の武器とかは全然ダメで作れるのは身を守る為の防具とか、こういう便利グッズくらいで…それで周りのオーガからは才能のないダメな子扱いされてて…でもこんな私が作った物がスゴいって、ありがとうって、言ってもらえた。認めてもらえた。ウチダメな子じゃないよね? 」
余程うれしかったのか、ユキは涙を流していた。
「当たり前じゃん! スゴいよこれ、武器だけを作るのが鍛冶師の仕事じゃないよ! ユキもモニカもお願いがある。ユキやモニカに会って思った事があるんだ…俺、この鉱石を資金にいろんな種族が笑って暮らせる町を作りたいと思う、だから2人の力を貸してほしい! 」
それぞれにそう伝えると2人共、笑って頷いてくれた。
ここから俺の町づくりが始まった。
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