第4話 森を抜けて
俺とモニカは、はぐれない様に手を繋ぎながら廃屋から北東にある遺跡?みたいな場所を目指して森の中を移動中…。
「なんか後ろをつけられてない? 」
モニカに聞くとモニカは頷いて
「はい、さっきから後ろをついてくる集団が居ますね…」
こちらが気づいていることに気づかれない様注意しながら後ろを確認するとそこには黒いオーラを纏った狼がいた。
「モニカ、後ろに黒いオーラみたいなのを纏った狼がいる」
するとモニカは不思議そうに、こっちを見てくる。
「何を言ってるんですか? 狼はひと昔前に滅んだはずです。もしかして犬の様な生物じゃないですか? 」
狼は居ないけど犬はこの世界に居ることが分かった。
「そうだったっけ? でも、そんな感じの生物なんだけど黒いオーラを纏ってるみたいなんだけど何か分かる? 」
モニカにあの犬みたいな生物が何なのか聞くとモニカも相手に気づかれない様に後ろを確認する。
「あれは、魔獣ですね…。あれは知性がなくて本能のまま行動するので話が通じません。自分以外は全て敵、といった生物で同族でも捕食します。奴らは隙を見せたら必ず攻撃してきます。後ろへの警戒を怠らず前へ進みましょう」
そういってモニカは進んでいく。
俺もモニカを追って歩いていく。
「モニカ、遺跡に着くまであとどのくらい? 」
モニカにあとどのくらいで遺跡に着くのかを確認すると
「あと30分ぐらいで着くと思います」
そう返事がかえってきた。
「遺跡に着くまでに川とか池ってある? 」
後ろを確認しながらモニカに聞くとモニカは俺が言いたいことに気がついたのかこちらを見ながら「残念ですが遺跡に着くまでは、ずっと森の中を通って行きます。もちろん川や池は無いです」
マズいな…においを消せそうな場所が無いのか…。
「遺跡に着いたら隠れても、においでバレるし下手したら奇襲をかけられるな…モニカ、もし俺たち2人であの魔獣に仕掛けたら勝てる確率はどのくらい? 」
モニカは少し考えて
「確率はそんなに高くはないと思う、それだけ魔獣って強いから」
そういってモニカは考え込んでしまう。
「モニカ、遺跡に着いたら逃げる準備をいておいてくれる」
モニカに提案をするとモニカは「話を聞いていたのかこの人は? 」と言いたそうな顔でこっちを見てくる。
「あの~モニカ、そんなに困ったものを見るような目で見ないでくれよ…。俺にも作戦があるんだから」
そういうとモニカは
「作戦がなければ、ただのバカです。作戦があってもそれは単なる無謀です。ただ私はライムに任せます。それでどこに隠れればいいんですか? 」
モニカは作戦に乗ってくれるのだろう、俺を見つめ手を握ってくる。
「ありがとうモニカ! 遺跡に着いたら俺があの魔獣を引き付けてモニカが隠れて待機している場所に行くから、そこで一気に魔獣を叩こう」
そういうとモニカは考え込んで
「それって作戦になって無いですよね…? せめて何をどうするかだけでも決めてくださいよ(ーдー)」
モニカはため息をついてしっかりしてよ、という視線を送ってくる。
「ごめん…。でもたぶんやらなきゃ相手も視界が広がる遺跡で仕掛けてくると思うから」
そう伝えるとモニカも遺跡で戦闘になるかもしれないことは考えていたらしく「私が考えた作戦でいいですか? 」俺はそれを承諾すると「先に行ってます! 」そういってモニカは走って行ってしまった。
「じゃあ、俺はこの魔獣を引き付けながらモニカの準備が出来るまでの時間を稼ぐためにゆっくり遺跡に向かうことにしますか」
俺はゆっくりと遺跡に向かうことにした。
◆◇◆◇
さてと、あと少しで森を抜けるけど相変わらず後ろに捕食者の視線を感じるよ…。
「ライム、お待たせ! 」
モニカがこちらに手を振りながら、やって来た。
「ケガは無い? 大丈夫? 」
そういってモニカは身体をペタペタ触ってきた。
「何かモニカって口調がですます調の時もあるけど、そっちの方が距離が縮まったみたいで嬉しいな♪ 」
そういってモニカに笑いかけると
「だってこっちのしゃべり方のだと、おしとやかな感じがしないんだもん! 」
そういって頬を膨らまして、こっちを見てくる。
「そんなこと無いよ、俺はそのままのモニカが好きだよ」
モニカの顔をきちんと見て伝えるとモニカは顔を赤くして目が游いでいる。
「そんなこと今、言うの? 恥ずかしいよ! でも…私だってライムのこと好きだよ、種族なんて関係ない! 私にはライムしか居ないって思ってる。大大大好きだよ、ライム! だから家を造るためにも頑張らなくちゃね! 」
そういってモニカは恥ずかしがりながらも腕を掴んでくる。
「そのためにもまずはこの場を乗り切らないとね! 」
遺跡に着くと同時に俺は利き手では無い左手で矢尻を握って手から血を出して魔獣を俺に引き付け、モニカは仕掛けた罠の前で待ってくれている。
「グルルルルルッ」
魔獣は唸り声をあげて、俺に向かってくる。
「モニカ! 魔獣が釣れた! 」
モニカの待つ罠の前に向かっていく。
「跳んで! 」
モニカのかけ声と同時に俺は地面を蹴って
ジャンプしてモニカの方へ行くと魔獣はそのままこっちに向かって突撃してくる。
ズサァァァァァァァッ!!
俺がジャンプして飛び越えたところには落とし穴が仕掛けられていて穴の中には竹槍が埋まっている初歩的な罠だった。
「スゲー初歩的な罠…」
俺が呆然と罠にかかり息絶えた魔獣を見ているとモニカがやって来て「魔獣は力は強いけど知能はないから初歩的な罠で威力の強い物の方が効率がいいんです」と胸を張ってフンスとしていた。
「なるほど…一応無事に魔獣は倒せたってことでいいのかな? 」
モニカに聞くとモニカは
「手、出して! 」
そういうと俺が差し出した手に何か唱えると傷の痛みがひき、傷が消える。
「今のは何? 」
モニカに聞くとモニカにこちらを見ながら
「私、ゴブリンの中では珍しい
嬉しそうにニコニコしている。
「ありがとうモニカ」
そういって左手を握ったり、開いたりして感触を確かめる。
「どう、大丈夫? 」
「うん、完璧! ありがとう」
そういってモニカの頭を撫でると恥ずかしがりながらも喜んでいた。
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