第3話 一緒に居たい!

 モニカと交代で俺も彼女の膝枕で寝させてもらった。

「何か恥ずかしい…同じゴブリンの男性にもしたこと無いのに初めてが人間の男性だなんて…」

 膝の上からモニカを見上げるとゴブリンと言えど女性は女性だった。

「モニカごめん、少し目を閉じててくれる? 」

 

モニカは不思議そうに目を閉じてくれた。

 モニカが目を閉じてるあいだにインナーを脱ぎ服を着直した。

「いいよ目を開けて」

 するとモニカは不思議そうにこちらを見てきた。


「どうしたんですか? 」

 不思議そうにしているモニカにさっきまで着ていたインナーを渡し

「ごめん、俺がさっきまで着ていたインナーなんだけどモニカも女性でしょ…今さらになって気づいたんだけど目のやり場に困って…モニカが気にしないならそれを着てくれるとありがたい」

 

そう伝えるとモニカも気づいたのか顔を真っ赤にしてインナーを着てくれた。

「ゴブリン同士だとそんなこと気にしたこともなかったのに…どうしてだろう? ライムといると恥ずかしくなって顔が赤くなっちゃう」

 

不思議そうに首を傾げて隣にいる俺に寄り掛かってきた。

「そういってもらえると嬉しいな…それより気を張り詰め過ぎた…ごめんモニカ、少し寝させてほしいんだけどいい? 」


 モニカに聞くと「いいよ、でも何かあったら起こすからね♪ 」と言って膝を貸してくれた。

「ありがとうモニカ」

 そういって彼女の膝を借りて俺は眠りについた。

◆◇◆◇

 辺りが眩しくなり太陽の光が辺りを照らす。

「おはようモニカ、ごめんね俺だけ寝ちゃって」

 モニカに挨拶をしても反応がない…

 俺は重い瞼を開けるとそこには俺を膝に乗っけたまま眠ってしまったモニカがいた。


「モニカも疲れてたんだね…ありがとうモニカ」

 眠っている彼女の頬を撫でながら起こさないようにお礼を言う。

 俺はゆっくりと起き上がりモニカの隣に座り彼女が起きるのを待つことにした。

 モニカは余程いい夢でも見ているのだろう嬉しそうに俺に抱きついてニコニコしている。


「本当に種族なんか関係なく可愛いよな…」

 そう言いながら彼女を撫でていると

「んんー…ん? …」

 彼女が起きて状況を確認している。


「おはよう、気がついた? 」

 俺に抱きついている彼女に声をかけると彼女はその場で顔を真っ赤にしてフリーズしてしまった。

「おーい、大丈夫か? 」

 モニカはコクコクと首を縦に振っている。


「よし、じゃあとりあえず川に行きたいんだけど近くにあるかな? ここら辺の地形まったくわからなくて…ごめん」

 そういうとモニカは嬉しそうに俺の腕を取り

「よし、じゃあ一緒に行こー! 」

 と言って道案内をかってでてくれた。

「やっぱり初めて会ったのがモニカで良かった」

 

どうしてなのか思いがけず本音をモニカに伝えてしまった。…物凄く恥ずかしい。

「なっ、なにを急に言い出すんですか! ワッワ、私だってライムに出会ってよかったと思ってます」

 恥ずかしそうに彼女も俺と同じ気持ちだと伝えてくれた。

 

2人とも顔を真っ赤にして手を繋ぎながら川にむかっていく。

 川に着くとモニカは先程俺が渡したインナーのシャツを洗って乾かしていて、俺は鎧を脱いで身体を濡れたタオルで拭う。


「ライム、タオル貸して、私も身体拭きたいから」

 モニカが背後に立っている気配がするので後ろにタオルを渡す、すると背中をタオルで拭かれる。

「ありがとうモニカ…でも背中を流してもらうなんて何か夫婦みたいで恥ずかしいしな…」


「きっ、気にしたら負けだから! それより

 ちゃんと前を向いてて! 後ろを向いたら怒るからね! 」

 そういって彼女が身体を拭く音がする。

 そして互いに服を着直し、今後どうするのかを話し合う。

「ライムはどうする予定? 」

 

モニカが俺の肩に寄り掛かって俺がどうするのかを聞いてきた。

「特に予定は無いかな…」

 何かをしたくてここに来たわけでもないから…。定番のパターンとしては魔王を倒すとかそんなことが目的としてあるのだろうけど俺は特にないからな…。


「私もさっきあんなことがあったから集落に戻れないしな…」

 モニカは膝を抱えて考えている。

「さっきの廃屋を改装して一緒に暮らさない? 」

 ふと、頭によぎった事をそのまま言葉にしてしまったけどこれって…。

 

モニカも言葉の意味に気づいてしまったのか顔を真っ赤にして

「ライム、それってプロポーズ!? 」

 そう言われても仕方ない。

「いずれはそうなってもいいと思ってるけど

 とりあえず、一緒に居たいなって思って…1人は寂しいからさ…」

 

昨日、今日でモニカと一緒にいて痛いほど実感出来た、もしモニカと会わずに1人だったらと思うとかなり心細いと言うことを、そして俺にはモニカと一緒に居たいという気持ちにも、だから無駄に繕わずにストレートに気持ちを伝えられたと思う…。


「うん、私もライムと一緒に居たい…嬉しい、ありがとう」

 顔を真っ赤にしてうつむいてモジモジしている。

 そんなこんなで当面はあの廃屋を改装して住める様にすることが目標になった。

「それじゃあ工具とかを揃えに近くの村か町に行って買ってこよう! そのためにもお金になる鉱石とか薬草とかを拾って町で換金しよう! モニカはそういうものがある場所知ってる? 」

 

モニカに聞くと彼女はいくつか候補があるけど比較的簡単な鉱石を一緒に採石しに行くことにした。

「場所はどこらへん? 」

 モニカに聞くと地面に地図を書きながら現在地とさっきの廃屋、それと遺跡?と山が描かれる。


「さっきの廃屋まで戻ったら次に廃屋から北東にある遺跡? みたいなところを通って山の中腹にある洞窟の中に人のあいだで高価に買い取りされてるって噂の鉱石があるよ! 今から1日ぐらいかな? 」

 俺はモニカの手を取り

「まずは、2人で家を建てて一緒に暮らすために資金集めに行こっか」

 

モニカに同意を求めるとモニカは笑顔で頷いて

「はい、私もあなたと一緒に居たいです」

 手を繋ぎ、2人で一緒に山を目指して歩いていく。

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