ゴブリンとオーガ
第1話 異世界転生しました!
ここはどこだ?
俺は暗闇の中、何も分からずただ立ち尽くしていた。
「えっ! …誰あなた? 今日はもう誰も来ない予定だったはずよね? 」
どこからか女性の声がする。
「誰ですか? 」
声はどうやら出せるらしい。
「えっ! 本当に誰かいるの!? どうしよう着替えちゃってルームウェアだよ! どうしよう!? 」
ワタワタしている音がする。
電気をつけるスイッチがないか辺りを手探りで探していると何か柔らかいものに触れた。
「えっ! …キャァァァァッ! どっ、どこを触ってるんですか! 」
目の前から女性の悲鳴が聞こえる。
「ごめんなさい、明かりをつけようと思って…暗いからこういうことになるんだよ…。それよりここはどこ? もしかして貴女はさっきの強盗の一味ですか? 」
俺は手を放して声のする方向へ声を掛ける。
「そんなことあるわけ無いですよ! 私は由緒正しい女神で名前はヴィーナスです。あなたも1度は聞いたことのある名前だと思います」
声の主はドヤッてる声だったがまったく知らない、そもそも何でその女神がこんな暗い場所にいるんだ?その時点で不思議だ。
「…えっ? あなた私のことを知らないの…? 本当に、本当に知らないの? 」
なんだろうこの人は人の心が分かるのか?
「そうですね、ある程度なら…」
スゴいな…ある程度でも人の心が分かるのは。
「っと、そんなことは一旦置いといて、どうして俺はこんな真っ暗な場所にいるの? 」
自称女神のヴィーナスに聞くと彼女も分からないのか「うぅ~ん」と唸っている。
「暗すぎるから明かりをつけてからゆっくり考えよう」
そういって明かりをつける様にお願いすると「ちょっと待ってて着替えるから」
と言ってトタトタとどこかに行ってしまった。
「いや、別に君がどんな格好でも気にしないからたとえルームウェアでも…」
そういってスイッチがないか辺りを調べるとスイッチらしきものがあったので押すと電気がついた。
「よし! これでちゃんと顔を見ながら会話ができるね! 」
そういって振り返るとそこには裸で白のベットシーツを抱いている自称女神様が顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。
俺は何も見なかったことにして電気を消す。
「見た? 」
女神の声とは思えないほど低い声で聞いてきた。
「ミテナイデスヨ…ウン、ホントニミテナイ」
その場から反転して逃げ出す構えを取る。
「見たでしょ私の裸…もうやだ辱しめられた! 責任とってよ・・・」
そういうと辺りが明るくなってくる。
辺りを見渡すと後ろから柔らかい衝撃が襲いかかる。
「あの~? どういう状況ですか? 」
背中に抱きついてきた自称女神に質問をする。
「だから、責任をとってって言ったでしょ! あなたからも説明して」
自称女神は((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルしている。まるでナニかに怯えているかの様に。
すると、辺りはよりいっそう光を増し、その光の中心に人が現れた。
「こら、ヴィーナス💢今月でいったい何人目か分かってるんですか? 21人目ですよ💢寿命をまっとうしてない人を連れてくるのは…いったいあなたは、いつになったらきちんとした1人前の女神になれるのですか? いつまでそうやって人の背中に隠れていればいいんですか? いい加減でてきなさい💢」
俺の背中からシュンとした自称女神が出ていく、そして彼女は振り返ってきてウインク;-)をしてきて何かを訴えてくる。とりあえず俺は頷いておく。
「ごめんなさいアルテミア、でも彼に理由と今後について話したら【異世界転生なんてゲームとか小説みたいで面白そうだから気にしないでくれ!】って笑って許してくれたから大丈夫よ! だから円満解決よ、円満解決。だから私へのペナルティは無いわよね? あなたもそれでいいって話よね? 」
自称女神は振り返ってきてウインク;-)をして同意を求めてくる。
なるほどさっきのウインクは話を合わせろとそういう意味だったのか…
「はい、彼女も鍛練のため女神の力を封印して俺についてきてくれるみたいです、それとお詫びに転生特典をくれるらしいです」
俺はそういって彼女に微笑み返すと彼女は慌てた様子で「そんなこと言ってないです! そもそも転生させること自体言ってません! 」
…あぁ~言っちゃったよ、自白しちゃったよ…。アルテミアって呼ばれてた女性肩震わせて怒ってるよ…。
案の定アルテミアさんが低くドスの効いた声で自称女神にむかって
「へ~、あなたは私が嘘をつかれるのが嫌いだってことを知ってて嘘をついたのね💢」
自称女神のヴィーナスは自分が自白してしまったことに気づいたのだろう身体を((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル震わせて俺の背中に隠れてくる。
「何であんなことを言うのよ! 」
俺の背中に隠れながら文句を言ってくる。
「あの~アルテミアさん? でしたっけ? この自称女神を引き渡すので俺を生き返らせてくれることって可能ですか? 」
もう1人の女性アルテミアさん?に交渉を持ちかけると彼女は首を振って
「いや、もう手遅れだ君の遺体は既に火葬されていて戻る身体が無い」
そうはっきりと無理だと告げられた。
「マジか~…」
肩を落としガッカリしていると後ろから
「じゃあ異世界に転生しませんか? 今なら転生特典をお付けします」
空気が読めないのか、読まないのか分からないがコイツは人の神経を逆撫でしやがって…。
「だ・れ・の・せぇーで俺は死んだんですか? この期に及んで責任から逃げようとするな! アルテミアさん俺、転生してもいいけどこの自称女神にしっかりとした罰を、それと転生するに当たってコイツも言ってたけど特典をつけてほしい」
そういうとアルテミアさんは少し考えてから
「そうね♪いいでしょう。この中から特典を選んでください」
ヴィーナスは泣きながら光の結界の様なところに押しやられている。
渡された特典が書かれている紙を見て
【魔物と心を通わせる力】と書いてあるのを見つけたのでその紙を渡す。
「珍しいですね、この特典でいいんですね? 」
アルテミアさんは確認をしてくる。
「はい、それでいいです。転生するに当たって質問なんですが俺の年齢は今のままで転生ですか? それとも初めからですか? 」
アルテミアさんに聞くと彼女は転生陣を
描きながら
「亡くなる前までなら年齢はいくつからスタートしてもいいからあなたの場合だと17歳までなら大丈夫だけど、どうする? 」と聞かれた。
「今のままでいいです。これから俺みたいな人が増えないようにしっかりその自称女神を指導してあげてください。それじゃあ行ってきます」
そういって俺は転生特典を貰って異世界転生をすることにしました。
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