【04】 閉ざされた中の死 ― Death in the Closed ―
脱出手段
通路の両端を、閉じた防火シャッターに塞がれて、ボクたちは、廃病院の最上階である十階に閉じ込められてしまうことになってしまった。
四年前にここで起きた、謎のバラバラ殺人があった時と、まったく同じような状況――。
ボクたちの前で閉じた方の防火シャッターは、内側から強力な接着剤で塞がれてはいたものの、手動開閉装置は使える状態だったはずだけれど、その後壊れてしまったらしく、使用不可な状態。当時救出劇の際、レーザーカッターで焼き切られたという部分も、金属プレートで、外側から固く塞がれていた。
防火シャッターのもう一枚は、前の事件の時と同じように、最初から閉じた状態で、内側の手動開閉装置も壊れている状態。
両側を塞ぐそれら二枚の防火シャッターは、工具もなしに、ここにあるもので破ることはできそうにない。
頼みの綱の携帯も、さっきまでは、電波は弱いものの繋がる状態だったはずなのに、誰の携帯であっても、助けを呼ぼうとどれだけ電話しようとしても、なぜか繋がろうとはしてくれない。
ボクたちは、両親に嘘を吐いて家を出て来た。ここで肝試しをするとは言わずに、実家を離れて、マンションで一人暮らしをしているボクの部屋で、皆でお泊まり会をすることになっている。口裏を合わせたのだ。ここは肝試しの有名スポットで、不良グループなんかがたまに屯してるって言われてたりもするから、本当のことを話せば、許してもらえないかもしれないと考えてのことだった。
勝手に参加したヒロタの両親は、二人で新婚旅行中とのことで、他に家族はおらず、肝試しのことは誰にも話していないらしい。
となると、ボクたち三人の親が、帰りが遅いと不安になって助けを呼ぶにしても、早くても明日以降を待たないといけないことになる。
それに、ここでの肝試しは、その噂を話した、ココナの中学時代の友人が知っているだけなので、両親が警察に届け出てくれたとしても、その友人に辿り着いて、その証言を得るまでには、それなりに時間を要するだろう。
いつ助けが来るかの予測を立てることさえできないような、危機的状況。
それだけじゃない。
シュンは、慢性腎不全を患ったままで、その症状は軽くなってきていると言ってはいたけれど、完全に治ったってわけじゃない。
明日に予定されている人工透析を受けられないとなると、その後、ここで殺人事件があった時のように、いつその症状に襲われるともかぎらない。
なので、頼みの綱の携帯がこんな状態である以上、シュンが命の危機に陥ってしまう前に、自力で脱出する方法を探したい。
けれど、二枚の防火シャッターに厚く閉ざされてしまった以上、脱出口としてあるのは、開閉が自由にできる窓くらいのもの。その地上三十メートルはありそうなこの最上階十階の窓から飛び降りるのは自殺行為だ。
ならば道具を使って――と来るところだけれど、それだけ長いロープはどこにも見当たらないし、窓にかかっているカーテンは、ぼろぼろに引き裂かれていたり、千切れかかっていたりと、もしそれを繋ぎ合わせてロープ代わりにしたとしても、ボクたちの身体を支えきれるだけの強度を保てるかどうかは疑わしい。
他に頼れそうなものと言えば、ヒロタがデイパックの中に持参してきている
しかし、ナイロン製で強度はそれなりにあるとは言っても、所詮は、
なので、カーテンにしろ
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