閑話777・『血の味氷』

おおきいいきものはあじがうすいとおもう。


ちいさいいきもののほうがあじがこゆいとおもう。


なんぽうのさかなはややみずっぽくあじうあうすく、さむいところのさかなはあじがこゆい。


なのでさむいところのこがたのいきものがおいしいとおもう、なのでおそいます、どこまでもおそう。


「まてまて」


にげるちいさなえるふをおう。


おおきなえるふはまあ、たべた。


おいしいけどな、さむいし、ゆきにあしをうばわれる。


どこまでもどこまでもおいかけてやる、でもころぶ、なさけない。


ゆきうまい。


「ほてったからだにいい」


おいしいです。


ゆきもうまいんだ。


にくよりうまいかな。


ころがってるしたいからあふれるちがゆきをとかす。


そのあいだをてですくいあげる、ちのあじのかきごおり。


つめたくておいしい。


「んん」


これでいいんじゃないか。


あのちいさいのをおうよりも。


このちのあじのかきごおりでいいんじゃないか。


ぐるる。


「がりがり」


ぐるるる。


ぐるるるるる。


ぐるるるるるるる。


つめたいものばかりたべてたらおなかいたい。


あたたかいものをおなかにいれたいとせつにおもう。


「さっきのちいさいえるふ」


ぬくそう。

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