閑話724・『いぬについて』

犬に懐かれたのである程度の世話をして逃げた。


まあ、あの森は野犬より大きな生き物もいないし大丈夫だろう。


わんわんわん、媚びるのが上手だ犬、人間がそんな風に改造したのだけど。


「犬め」


『捨て犬を独り立ちまで見守ってどうしたー』


「いや、懐かれて仕方無くだぜ」


『その割にはデレデレしてた』


「そりゃ」


森を疾走する、一応周囲まで確認してやる優しさ。


あの子の足だとまだここまで来れないだろうに、それでもする。


「可愛いからじゃね」


『ふぅん』


「ふぅんってなんだよ」


『犬の子供は食べ無いんだ』


「食うわけねぇ」


『へえ』


「可哀想じゃん」


『ふぅん』


「んだよ」


『二足か四足かって所だね』


「何言ってんだ」


景色は疾走と同時に切り替わる。


全てが後ろに流れて消える。


時間と同じだ。


「うん、安全だ」


『過保護過ぎるでしょうに』


「もう会う事がないのならそれぐらいで丁度だろう」


『まあね』


「ふん」


過保護で何が悪い。

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