閑話662・『むねなしりゆう』

人間に襲われたので逆襲してご満足、向こうも可愛そうに。


死体を食べる、荷物は荒らさない、んふふ、お肉が目的で所持品が目的では無い。


「けぷ」


『エルフで良かったね、当たりだ』


「久しぶりのエルフは美味しゅうございます」


『な、なにその口調』


「感謝だぜ」


『まあ、満足してるなら良いけどねェ』


「森の恵みだぜ」


『ま、まあ』


「旬は春だぜ」


『盛るからね』


「盛った後はまずい」


どんな生き物だってその法則から逃れられないだろうに、深い森の奥で死臭をばら撒くが獣は寄って来ない。


生き物としてのランクが違う、悲しい事に。


「けぷぷ」


『全部食べられたねェ』


「まあ、育ち盛りだからなァ」


『そうだね』


「胸は育たないけどな」


『そ、そうだね』


「あん?」


『難しいなァ』


「ああん?」


『胸が無くても可愛いよ』


「―――――――――嘘臭い」


『嘘じゃ無いです』


「このエルフは胸があって、美味しかった」


『そこと比較するのはどうだろうねェ』


どうだろう。

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