閑話579・『にゃんこではない2』

エルフを猫撫で声で呼ぶのは辛いらしい。


しかし浅い眠りの中で欲求のままに声を出す事もある。


目が覚めれば食い尽くされた残骸、唖然とするキョウ。


可愛かったから良いじゃん。


「恐ろしいぜ」


『にゃあにゃあ可愛かった』


「この食い掛けを見ろ、可愛い以前の問題だぜ」


『可愛かったァ』


「聞いてる?」


『可愛いから鳴けェ』


「片付けよう」


転がった頭部を掴んで齧るキョウ。


賞味期限は如何なものなのか。


「うまいうまい」


『鳴かないかなァ』


「こんだけ餌があるんだぜ?鳴く必要ねぇぜ」


『それもそうかァ』


「ふん」


『にゃんにゃん』


「……可愛いなオイ」


『んふふ』


「でもやらん、もぐもぐ」


『一緒にやろうよォ』


「下らん」


『やろうやろう』


「に」


『ん?』


「に」


『?』


「に……恥ずかしいっ」


『ちっ』


それも可愛いから良し。

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