閑話533・『塩梅探し2』
「おえ」
「……食べ過ぎ」
「いや、そんなに食べて無いぜ?」
口元を押さえながら吐き気をかき消そうと別の事を考える。
集落を丸ごと一つお腹に納めただけだ、『人間』の集落なのでエルフと勝手が違う、みみまる♪
「おえ」
「ほら、おいで」
「うぅ」
「膝枕したげる」
「ありがてぇ」
「………相変わらず食べ過ぎでお腹ポッコリしてるねェ」
「チャームポイントだぜ」
「そう」
「チャームポイントだぜっっっ!」
「あっそう!!」
声高にして叫ぶと小高い丘の上にそれが虚しく響き渡る。
お腹を擦る、ぽんぽこだぜ。
「お腹一杯」
「そりゃ良かったね」
「みみまる美味しい」
「そりゃ良く無いね」
「どうして?」
「エルフを食べなきゃね」
「う、うん」
「大きくなれないよ?」
「わかってるって」
「不貞腐れないの」
髪を撫でてくれる、眠くなる。
人間の悲鳴がまだ耳元に残っている。
「エルフも食うさ、吐くぐらい」
「吐いたら意味ないよねェ」
吐いたらまた食えばいい。
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