閑話523・『にばいうまい』

「エルフに擬態する」


「ほう」


「見て見て、耳尖り」


「ほう」


容姿に劇的な変化があるわけでは無いが確かにエルフの耳になっている。


エルフに擬態してエルフに近付くのはどうだろうと相談された、元々スレンダーな体形でエルフに近いしね。


「これならエルフも油断するぜ」


「でもシスターの恰好だし」


「う」


「でもまあ、些細な問題かァ」


「そうだろうそうだろう、可愛いか?」


「可愛いつーか美味しそうだよねェ」


「え」


「私もエルフライダーだし」


「ひぃ、近付くなー」


「食うゾー」


「ひぃいいいいいいい、食ってもまずいぜ、エルフじゃないぜ!」


「炎水もクロリアも美味しかったしねェ」


「確かにシスターは美味しい」


「キョウは?」


「シスター?」


「…………」


「まあ待て」


冗談なのに本気で焦っているキョウが可愛くてついつい意地悪をしてしまう。


食べるわけ無いよォ。


「その理屈だとエルフ耳生えたキョウは美味しいって事になるぜ」


「え」


「ちょっと変化してくれ」


「え」


変化しません、全く。

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