閑話518・『ラッキー誘拐2』

「エルフでお腹一杯、これでエルフを捕まえれる」


『そうだね』


「しかし、しかしだ、見てくれ」


指差す、その先には壊滅した集落、焼け焦げた建造物に壊された生活品。


しかしエルフはいない。


「エルフの集落なのに―――エルフがいねぇ」


『キョウが別の集落を襲っている間に別の誰かに襲われたようだね』


「畜生」


『?』


「エルフがいないって事はエルフを犯人が食べたのか」


『いやぁ、どうだろうねェ』


「だっていないじゃん」


『攫われたんじゃない?』


「攫って食うつもりだぜ」


『……』


みんながみんなエルフを食べるわけでは無い、強力な魔法を行使する種族を危険を冒してまで捕らえて食べようとする種はいない。


エルフライダー以外に。


俺以外に。


「俺が食いたかった」


『お腹一杯じゃないの?それに攫ったのは売り物にするつもりじゃない?』


え、じゃあ買う………でも買わなくても俺も攫えば良い。


攫った奴を攫えば良い。


「じゃあ攫った奴と攫われたエルフ両方食えるじゃんか」


『え』


「お得、お得じゃないか」


『エルフの集落を見付けるよりお得?』


「攫った奴も食えるからな」


『そりゃそうか』


「攫ってくれてありがとう」


ふひひ。

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