閑話487・『顔が可愛い』

人間の集落を襲って奇妙な『状態』に突入するキョウ。


幾ら何でも人間を食べ過ぎ、叱ろうとしても能力に酔ってるので意味が無い。


湖畔の街で千鳥足、危ないねェ、段差のある煉瓦で構成された床、転ばないか心配。


「うみゃかったなぁ」


「転ばないようにね」


「あいづち!」


「はいはい、美味しかったね」


「うへへへへへ」


「締まりのない笑顔」


「かわいいだろ?」


「う」


「かわいいといえー」


赤面したキョウに抱き付かれてバランスを崩しそうになる、死臭と腐臭、キョウの内から漂う余韻。


そして満面の笑み、危うい存在だと再確認しつつ言葉の通り可愛いとも思う。


いや、可愛いとしか思えない。


「うへへ」


「全く」


「いえー」


「世界で一番可愛いよ」


「うへへ、くどいてる」


「口説きもするよ」


他の女の所にほいほい出掛けるのだから定期的に口説かないとね。


困ったモノだ。


「きょうもせかいいちかわいい、ようしが」


「容姿が!?」


「うん」


「ようし、えっと、他には?」


「かお」


「それも容姿だよ」


「………かわいい」


「うぅ」


同じだよ。

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