閑話481・『エルフ学習』

「お腹一杯になった状態でエルフを捕獲すれば良いと思うよォ」


「え」


「そうすれば食べ無いでしょうに」


「お、おう」


いまいち納得出来ていない表情だけど自分がエルフを捕獲した際に即座に捕食してしまう悪癖を持っている事は何となく理解したらしい。


あまりにその事で落ち込んで小石を蹴飛ばしたり蝶々を捕まえようと走ったり『行動』が痛々しいので提案して上げる、エルフは飼わないけどね。


捕獲するまでは……暫くして逃がすか食べればよい。


「キョウ、優しい」


「えぇぇ」


「すきー」


呆けた表情と舌足らずの言葉、勢いのままに飛び付いて来る。


役得。


「ちょっと、もう」


「うへへへへ」


「まあ、集落を二つぐらい落とせば食べ残すでしょう」


「……大食いじゃないしな、俺」


「……そう」


「大食いじゃ無いよな俺っ」


「耳元で怒鳴らないでねェ」


感じる体温と柔らかさ、これを知ってしまえばキョウがエルフを捕食する化け物だと誰もが納得しないだろう。


柔らかくて甘い匂い、エルフを執拗につけ狙うハンターのものとは思えない。


「大食いじゃ無いから集落一つで大丈夫」


「何時もそれで食べちゃうからね」


「うぅ」


「集落三つにしようねェ」


「増えた!?」


「増えるよ~」


「うぅうう」


「諦めが肝心だね」


「うぅうう、おでぶじゃないもん」


そうとは言って無いよ?

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