閑話434・『よいわるいこ』

甘えられる存在は多数いるが心の底から全てを預けられるのは私だけだ。


だから時折このような事が起こるし、私自身も好きにさせている、キョウの瞳には屈折したハートマーク。


しかしそれは澱んでいる、濁っている、しかし他者を狂わせる色彩、他者のみ、私は大丈夫、んふふふふ。


可愛い。


「しゅきぃいいいいい」


「おお……可愛い」


感想がソレしか出ない、ベッドの上で抱き合うと鏡合わせのようで中々に笑えて来る、しかし実際は一つ、鏡合わせですら無い。


性的な動作も無く、まるで子供に与えられた抱き枕のように全ての行動を受け入れる、どうしようも無いキョウの衝動、これに耐えられるのは私だけ。


何せエルフライダー特有の瘴気が溢れて透明な触手が躍っている、踊っている、心も体も―――触手は一部だしね。


「しかしこの可愛さ、誰かに自慢したいよ」


「んんん」


「顔グリグリも可愛い、私の『俺』は可愛いなァ」


「――――むろん」


「そりゃそうか」


「きょうもかわいいぜ」


「………無論っ」


「うへへ」


このやりとりも何度目だろうと目を細める、まあ、他者がいたら精神を汚染されて触手をブッ刺されて愉快な事になっちゃうよねェ。


私達本人同士だから許される世界。


「しょくしゅぶっさす」


「おやめ」


「やめる」


「おお……賢いねェ」


「うへへ」


「良い子良い子」


「わるいこわるいこもして」


「悪い子悪い子」


「うへへ」


まあ、客観的に見て良い子では無いよね。


ふふ。

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