閑話235・『母性で出た、でたでた』
熱心にしゃぶられても出るものは出ない、仕方が無いモノは仕方が無い、自分にも母性があるが――それはそれだ、灰色狐ならいけるんじゃないか?
「あみゃい」
「そ、そうか」
「あみゃい、おいし」
「う、うーん、祟木の胸はつまらないだろ」
あれから数時間が経過したがキョウはずっと『それ』で遊んでいる、ああ、生理的な現象だ、張って痛い、血が集中して痛い、そもそも出ない、しかし今のキョウに何を言っても無駄だ。
なので諦めの気持ちのままでキョウを抱えて何度も忠告する、しかし全ては無駄、キョウは夢中になっている、よりにもよってどうして自分の胸なんかに……母性の欠片も無い、い、言いたくは無いが。
粗末で、幼稚で、どうしようもない。
「つまらない」
「い、言わないくれ」
「そまつ」
「し、知ってる」
「ようち」
「こ、子供なのは体質だ、我慢してくれ」
「どうしようもない」
「……キョウ」
「でもしゅき」
期待に応えられないのが歯がゆい、そもそも勉強ばっかりの頭でっかちである自覚はある、それでも一部の中では割と俯瞰で物事を見れている方だと自負している、しかし、しかしだ。
自分の胸は俯瞰では見れない。
「……そうか、死にたいな」
「たたりぎ、しぬの?」
「いや、死にはしない、死にたいだけだ」
「やだぁ」
「……今度、灰色狐に同じ事をしてやれ」
「?そうしたら、しなない?」
「ああ」
「する!」
……あの灰色狐が顔を蕩けさせて受け入れるのは見てみたい、よし、そこでこの悲しみの負債を取り戻そう。
よしよし。
「あみゃい、なんかでた」
「え」
母性恐るべし。
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