第396話・『はきだすよ、おえ、でもねむいよ』

もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ。


がりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがり。


ごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくんごっくん。


何だろう、音が聞こえる、幸せな音だ、お腹一杯になれる幸せな音、俺はこの音が大好きだ、美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい。


ふと太陽の日差しを感じて見上げる、あれ、夜じゃなかったっけ、俺は何をしてたんだっけ、全く思い出せない、だけどお腹一杯で幸せだ、立ち上がろうとすると何だか、上手に。


ぽす。


「お姫様ゲットなのだ」


「ああん?」


「そろそろ人が来る時間帯なのだ、このまま飛ぶのだ」


「けぷぷ」


背中を擦られるとゲップが出る、優しい手つき、えっと、だぁれ、中々思考が纏まらないがこいつは俺だ、俺だから俺を助けるんだろう?


柔らかい感触とひんやりとした体温、何度も背中を擦られるとけぷぷけぷぷと愉快に喉が鳴る、うぅ、風を切り裂きながら疾走している?


風が気持ちいい、火照った体に風が気持ちいい、どうして体が火照っているのだろうか?少し不思議に感じる、けぷぷけぷぷぷ、けぷぷぷぷ。


生理的なものだけど女の子なので恥ずかしいです、でも俺を抱いて疾走するこいつなら大丈夫だろう、何せ俺だし、けぷぷ、ええい、背中を擦るな、優しく擦るな。


「けぷぷぷ」


「少し食べ過ぎかもなのだ」


「けぷぷがおろろになった時にお前はゲロ塗れ」


「恐ろしい事を言うのだ」


「…………ここどこぉ」


「キョウが教えてくれた道通り行ってるから安心するのだ」


「けぷぷぷ、けぷ」


「ゲップで会話をするとは器用なご主人様なのだ」


会話しているつもりは無いけどな、ああ、少し眠くなって来た、お腹一杯で信頼できる奴の腕の中にいる、それって幸せって事だよな?


うとうと、こいつは信用出来る、俺の為に他者を殺せる、だから俺はウトウトしても良い、あの狭くて危険な路地裏とは違う、うああ、でもそこでも、まもってくれるひとが。


いたよね、きくた。


「くふふふ」


「今度は笑ったのだ、どうしたのだ?」


「なぁんでもなぁい」


「そうか」


「………やわらかくていいにおい」


「そうか」


「………けぷ……おろろろろろろ」


「わかっていたのだ」


ううぅううううううう、吐いても叱るわけでもなく優しく肯定してくれる。


すき。

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