プロローグ2 出会い
彼は東野勝(ひがしの まさる)、独身で、恋人という恋人はいなく
今まで仕事に一生懸命だった、今時珍しい32歳。そうでもないか。
最近は割と独身貴族の方が増えてそれを獲物のように狙っている、
アラサー、アラフォー世代だ。彼女たちはハイエナのように群がり襲いにくるのでとても危険だ。ましてや、アパレル系の仕事をしているのでウケが悪いはずもなく、モテる女性の年層は10代から60代までと幅が広いのだ。
身長は180㎝ほど、体重はわからないが細身で筋肉もそこそこある。
荷物を運ぶ時に袖を捲る事がある時につい腕の筋肉を見てしまった。
そこには男らし過ぎずに適度な肉づきがあった。
そんな彼と最初に出会ったのは私が学生の時だった。
その時にまだ新人の私に仕事を教えてくれたのが彼だった。
アルバイトを始めて、3ヶ月ほどたった日に、彼は休憩中の私のいるバックルームに入ってきた。「東野さんも休憩ですか?」無難な質問をしてみた。
すると彼は右肩を回してみせ、‘‘そうだよ〜’’と軽い口調で言った。
「最近は午前中も忙しいみたいですけど、大丈夫ですか?」
「うーん、まぁそれなりに疲れはするけどね…」
曇った表情が見えた。
どうしたんですか、と聞いてみると彼はそのことには触れずに、別の質問をしてきた。それは簡単なものだった。
「村咲さんはさ、将来の事とか考えてるの?」
なんだ、そんなことかと少しホッとした。
「え〜、なんだろう〜?具体的な、細かい理由はないです。」
少し口ごもると、その少しのことに気づいたのか
本当にないのかい?とちょっとしつこく聞いてくるので、
本当のことを言った。
「たいした夢ではないけど、将来はモデルのスタイリストになりたいんです」言ってから気づくが、言葉にすると恥ずかしいものなんだなぁと身にしみた。
…帰りの電車の中で私はそんな懐かしい出来事を思い出していた。
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