第9話

父は母のお金の無駄遣いに耐えられず、仕事もやりつつバイトもしていた。


父は毎日遅い時間に帰ってきて、自分のことを一人でやっていた。


それもすべて耐えれなかったんだろう。

父は一人で静かに出て行った。

私は自分のことでいっぱいいっぱいで、父が出て行ったのも、その理由も知らなかった。


その時くらいから、私は携帯を持ち始めた。

まだ、iPoneもAndroidも無い時代だったのでスライド式のガラケーだった。

でも、信愛にとってはとても嬉しかった。

パソコンが家に無かったため、ネットができると思うとルンルンだった。


私はずっとネットに入り浸り、あるサイトのコミュニティで顔も何も知らない人と 

駄弁っている方が楽だったし、明るく居れた。

顔も何も知らないから何かあったらすぐ心配してくれたり、相談にも乗って

くれた。


いつの日か、ネットの中で凄く仲良くしてくれている、一人の男の子が

居た。

名前はシロ。信愛よりも二歳年上だった。

シロが結んでくれた縁によって信愛は人生が変わることになる。

そんなことも微塵にも思わない信愛はいつも通り絡んでいた。

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