第4話 白昼夢 20091105
山に住む少年は
彼の羊を放ちながら
ときおり山の向こうから
温かな感情のようなものが
届いてくるような気がしていた
はじめは気のせいかと思っていたが
ふとしたときに心臓がどきりとして
思わず顔をあげるとそこに
その軌跡が
見えるような気がした
彼は不思議な気持ちでその感覚に
自分を添わせていった
少年はその軌道の先に
厳しいような
無邪気なような
温かいような笑みが
みえる気がした
それは微笑みというよりは
「笑顔」といった方が
ちかいかもしれない
少年はその発信者に
話しかけた
「おそらくは彼も
感覚者なのに
違いない」
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