第13話 トーナメント⑦
他の生徒を試合を見ている最中に玄がこんなことを尋ねてきた
「なぁ、燈華の試合を見てた時とお前と試合した時に思ったんだけどよ」
「「ん?」」
僕らは揃って首を傾げる
「お前らって、戦闘中に魔力で身体強化かけてないのか?少なくとも、お前らから魔力を微塵も感じなかったのだが」
「なんだ、そんな事か」
「アレは一体どういうことなんだ?身体強化もなしにあの身体能力というのは流石に信じられないんだ」
「あー、それはね…」
燈華が説明しようとしているが言葉が見つからないらしい。代わりに僕が答える
「簡単に言うとそうだな…、常時身体強化してる感じかな」
玄はよくわからないといった様子だ
「そうだね、詳しく説明すると、身体強化には2つの種類がある。1つはみんながやっているように必要な時に魔力を循環させて身体能力を強化する方法。でも、それだと強化の度に余計な魔力を消費しちゃうし、複数回続けてやると、強化にムラが生じるんだ」
玄は真剣に僕の話に聞き入っている
「じゃあ、お前ら2人はどうやって強化しているんだ?」
「そうだね。僕らは表面的に強化するんじゃなくて、自身の肉体そのものを強化するんだ。感覚的には筋トレと同じだよ。筋トレをすればその分筋力が上がる。僕らはその強くなろうとする働きを魔力で補助して肉体の成長を限界まで引き上げているんだ。だから、常に高い身体能力を保っていられる」
「うーん、つまり俺達が魔力を流して身体強化してる状態を常に保っているということなのか?」
「ちょっと、違うけどそんなところかな。常に高い身体能力でいられるから、魔力を思う存分、魔法の使用に回せるんだ。その方が効率がいいんだ」
玄はなんとか理解したらしく僕に
「それは俺でも可能なのか?」
と聞いてきた
「もちろん。玄だったら一ヶ月もあれば出来ると思うよ。みんなはまともなトレーニングをしないで身体強化を使っているから持続時間も短いし、身体能力は僕ら二人には遠く及ばない。でも、玄を見た感じだと毎日トレーニングしてるでしょ?大事なのは継続したトレーニング。こんな簡単なことで人は強くなれるんだ」
「なるほど…。じゃあ、これからは自分の限界を超える事を意識してやればいいのか」
「そうだね。いくら継続していても限界を超えないんじゃ意味がない。日々限界を超えないと」
玄はやっと納得したらしく
「よし!これから気合い入れていくか!」
僕らは本当に素晴らしい人間に出会えた
今の時代、ここまでタフな人間はなかなかいないだろう。こいつとなら、一緒に戦っても安心出来そうだと思った
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