第12話 トーナメント⑥
さて、玄は俺相手にどう来るかな
そんな事を考えていると玄が早速
「ウラァァァ!」
大剣を下段で構えて突進してきた
なかなか速い。僕は間合いをとるために1歩後ろへ下がった
すると、玄がその行動を読んだのか
大剣を片手に持って突き出してきた
急にリーチが伸びて来たので僕は思わず刀を抜いて受け止めた
「チィ!今のを防がれるのかよ!」
玄はそんなことを毒づいているが、僕は内心驚いた
最初に玄の試合を見た時も思ったのだが
玄は常に複数のパターンを組んでいるらしい
だから、僕が間合いを取ろうとしても対応できたのだ
「僕と同じタイプか」
攻撃を捌きながら僕が呟くと玄は
「正直言って、勝てるとは思っちゃいない。だが、せめて一撃くらいくらわせてやる!」
そう吠えてきたので僕はやる気が出てきた
「じゃあ、ほんの少しだけ本気だそうかな」
「なに?」
玄が一瞬油断した隙に僕は後ろへ回り込んだ
案の定、玄はそれに対応してくる
だが
「はっ…」
僕は玄の大剣を刀で受け止めると
刀を地面に刺して跳躍した
流石に僕が得物を捨てると思っていなかったのか、玄は
「嘘だろっ!」
上空にいる僕を向かい撃つべく、大剣をこちらに向けてきたが僕は大剣の側面に手を付いて再び跳躍、玄の正面に降り立った
「なっ…」
驚きを隠せない様子の玄
僕はがら空きのボディに躊躇いなく掌底を撃ち込んだ
「
玄が後ろへ思い切り吹っ飛んだ
立ち上がる事はないだろうと思ったが
玄は大剣で支えて立ってきた
「へぇ…」
「くっそ、なんて威力の掌底だよ…」
「アレくらってよく立てたね。多分、ここの上級生達でも立ち上がるのは無理だよ」
「あいにく、体は頑丈なんでな」
玄はそう言うと、僕に突っ込んできた
今度こそ終わらせるべく、構えると
「せい!」
玄が何かを投げてきた
僕の刀だ。僕はそれを弾いた時には
目の前に玄の姿は無かった
既に僕の後ろに回り込んでいた
僕の心に一瞬、動揺が走った
それを逃すまいと玄が渾身の一振りを僕の背中に叩きつけた
ズガァァァァァン!
会場に鈍い音が響き渡る
皆がどうなったのかと話している
たちまち、砂煙が晴れた
そこに広がっていたのは
「なん…だと?」
玄の一撃はクリーンヒットしたかに思えた
だが玄の大剣は僕の片手に阻まれている
「今のは危なかったよ。さすがの僕でも倒されたかもしれない」
「クソッ!なんて反射神経なんだよ」
「さて、そろそろ終わらせようか」
僕は玄の手から大剣を叩き落としそして
「神刻流 戦闘術 弐式 《
下段から顎に一発。その後、上段ら蹴り下ろしを後頭部に一発の蹴りを撃ち込んだ
流石の玄も気を失った
「試合終了!勝者、紫ノ宮 翔斗!」
すごいヤツだった。常に攻撃の選択肢を絶やさない思考、強い攻撃にも耐えられる肉体、そしてそれを操る強い心。玄はすごいヤツだ
思わず20%程だが本気を出してしまった
玄が運ばれていくのを横目で見ながら
「本当、すごいヤツだよ」
そう呟いた
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