第11話 トーナメント⑤

僕は試合を終え、観覧場所に戻ると


「おーい!」


燈華と玄がこっちに手を振ってきている

玄は無理やりやらされたのか若干、顔が引き攣っている


「お兄ちゃんお疲れ♪」


「まぁ、あの程度なら疲れる事なんてないさお前も初っ端から飛ばしたな。しかも、相手の得物砕くなんて」


「いやー、あーやったら私の実力わかってくれるかなーとか思ってね」


「わかるどころか流石にビビったぜ俺は」


玄はお手上げといった様子だ


「そういう玄だってずいぶん戦い慣れしてるじゃないか。なんかやってたのか?」


そう聞くと、玄の表情が一瞬曇った

僕は悟った


「もしかしてだけどさ、玄は俺達と同じかも知れない」


「どういうことだ?」


「ううん、こっちの話」


「なんだよそれ」


玄が笑ったので僕らもそれに釣られて笑った


「にしても、だいぶ人減ってきたね」


「まぁ、上級生に当たって勝つヤツはそうそういねぇだろうからな」


そうこうしてるうちに次の試合の組み合わせが決まったらしい

僕は端末で確認しようとすると


「マジかよ…」


玄のそんな声が聞こえてきたので僕も確認してみると


「紫ノ宮 翔斗対葛城 玄…」


「へぇー、いいな〜お兄ちゃん。私も玄くんと戦いたい!」


燈華がそんな事を言ってくるので1回突き放して


「玄、よろしくな」


そういうと、自信なさげな表情を浮かべながら


「ああ、よろしく」


力強い握手を返してきた


「さあて、僕は先行って準備するよ。続きは試合で」


「ああ」


そう返すと玄も準備のためにこの場を去っていった


「さーて、暇だなー」


2人がいなくなってそこら辺を眺めていると


「よっ、燈華」


「あ!レンだ!相変わらずチャラいね!」


「うっせ」


レンがきたので少しは退屈ではなくなった


「どうしているの?見回りはどうなったの?」


「ああ、使い魔に任せておいた」


「ちょっと、そんな手抜きなことしちゃお兄ちゃんに叱られちゃうよ」


「大丈夫だ。今回のはそこまで強くないって翔斗が言ったんだ。俺が自らやる必要もないだろ」


「全く…しょうがないヤツ」


「おっ、始まるぞ」


翔斗と玄がフィールドに出てきた


「へぇ…あの玄ってヤツ、やるじゃん。翔斗を前にして物怖じしてないなんて」


「戦いの腕もなかなかだよー」


「翔斗のヤツ、多分本気出さねぇぞ」


「お兄ちゃんが本気出したらここら一帯消し飛んじゃうよ」


「それもそうだな」


そんな傍から聞いたらとんでもない話をしていると


「試合開始!」


2人の試合が始まった

さて、どうなることやら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る