第10話 トーナメント④
試合が終わったので俺は翔斗の試合を見る事にした
観覧場所に戻ると
「聞いたか?次の1年の相手、うちの生徒会長だってよ」
「うわぁー、かわいそ〜」
「この試合は言うまでもなく生徒会長の勝ちだな」
そんな話が聞こえてきたので
燈華に翔斗は勝てるのかと聞いてみたら
「お兄ちゃんが負けるわけないでしょ〜」
そんなのんきな返答がきたので
「本当か?相手はこの学園の生徒会長だぞ?流石に勝てないんじゃ…」
「もう、お兄ちゃんの戦い見たことないくせに。強さは見た目じゃわからないってよく言うでしょ?」
「まぁ、そうだけどさ…」
「それにお兄ちゃんに勝てるのは私くらいだよ。私でも、10回やって1回勝つかどうかだけど」
最初に3年生を圧倒していた燈華でさえ、翔斗に勝つのは難しいなんて、果たして、翔斗はどんな戦いをするのだろうか
「あ、お兄ちゃん来たよ」
フィールドを見ていると、翔斗が姿を表した
戦装束は白地の着物に黒百合をあしらったもので、燈華の色違いだ
そして、獲物は…
「アレは…刀か?」
「そうだよ、お兄ちゃんの得物は刀。それも鍔がない長ドスだよ」
俺は話をしている中であることに気がついた
翔斗から闘気というものが全く感じられないのだ。普通、人間というのは戦いの際には必ず何かしらの気を発するものだ。それが全く感じられないなんて。
間違いなく翔斗は普通じゃない
そんなことを考えていると
「試合開始!」
試合が始まった
生徒会長が余裕そうにそちらからどうぞと手招きをしている
その言葉に甘えて、翔斗が1歩踏み出した瞬間
空気が一気に重くなった
それも、会場中全ての空気が
他で試合していた生徒達も突然空気が変わったことに驚きを隠せない
改めて、翔斗を見てみると
特に何もしていない
ただ1歩踏み出しただけだった
にも関わらず、生徒会長は金縛りにあったかのように固まって動かない
翔斗がまた1歩、2歩と生徒会長に近づく
生徒会長は動こうとしない
いや、動けないのか
とにかく、異様だった
そして、生徒会長の前に立つと翔斗は
肩をトンと押した
「えっ…」
生徒会長はただ、その場に倒れた
一切の抵抗も無く
そして戦いは終わった
「しょ、勝者、紫ノ宮 翔斗!」
生徒会長はただの1度も攻撃を受けず、1度も攻撃をせずに敗北した
俺はただただ、この試合の顛末を最後まで見ていた
横で一緒に見ていた燈華は
「ね?お兄ちゃんが負ける訳ないでしょ?」
そんなことを笑顔で言ってきた
俺はこの兄妹の事を心の底から恐怖した
そして、もっと知りたいと思った
その願いはすぐに叶えられる事となった
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