第8話 トーナメント②

フィールドに両者が出揃った

相手の3年生は結構な手練だと思われ、強さは装備している魔装がものがっている


一方で、燈華の姿格好はというと

黒地の生地に白百合の模様をあしらった着物といった出で立ちで、この会場内で異彩を放っていた。得物はこれと言った特徴がない刀

相手と比べると、明らかに迫力がない


「見てよ、あの子。あんな格好で戦うらしいよ」


「私もナメられたものね。上級生として、しっかり実力の差を見せつけてやるわ」


相手とその取り巻きがそんな話をしてる中

燈華は


「おにいちゃーん、応援してね〜」


と、間の抜けた様子でこちらに手を振っている


「おう、手短に済ませろよー」


僕もその声に応えて、手を振った

相手の機嫌があからさまに悪くなった

なんだか、こちらの方も睨んでいる気がする

そうこうしているうちに


「両者、中央へ」


その呼びかけに応じて、燈華と3年生は中央へ向かった


そして


「試合開始!」


溝口の号令で試合が始まった


「ぜやぁぁぁぁ!」


開始早々、相手が突撃してきた

所詮は新入生。少し脅かしてやれば降参するとでも思ったのだろう

だがしかし、相手の予想は大きく外れる


燈華は特に避ける素振りを見せずに

正面に構えた

そして


「ほい!」


ガシ!と相手の得物を掴んでみせた

会場中の全員が思わず目を見開いた

玄は信じられないといった様子でこめかみを抑えてる


「う、嘘でしょ〜!」


相手が必死に離れようとするが、離れるどころか


「そりゃ」


むしろ、引っ張られてしまった

そして


「えい」


燈華が納刀したままの刀で首筋にトンと1発

すると、糸の切れた人形のように

3年生はその場に倒れた


「試合終了!勝者、紫ノ宮 燈華!」


いきなりの大番狂わせに会場はただただ静まり返った

そんな空気はつゆ知らず、燈華はこちらへ向けて


「ぶい!」


勝利のピースサインを贈った

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