第4話 入学式③

教室に入った瞬間、僕らは


「「うへぇ」」


そう言わざるを得ない光景を目の当たりにした


「あ!アイツだよ!玄!」


「そうだ!あいつが俺らに手を出したんだ!」


おいおい、チャラ男ブラザーズ

手を出してきたのはそっちじゃないかと言いたかったが、玄と呼ばれた新入生がこちらに向かってきた


「オメエがこいつらに手ぇ出したってヤツか」


いかにも柄の悪そうな風貌

つり上がった眉、普通の人が睨まれたらまずビビりそうな三白眼、ガタイのいい体型

身長は190cmといったところか


「出したというか、自己防衛でちょっと、な?」


「うん、そっちが私の手を強く引っ張るものだから」


僕らがそう答えると


「そうか」


玄という生徒は短く返事をし


「あいつらが迷惑をかけたようだな。すまない」


「「え?」」


拍子抜けである。まさか、謝ってくるとは

てっきり、舎弟?を痛めつけられたことへの仕返しが飛ぶものだと思い、一応、返り討ちにする準備はしておいたが


「お、おい玄!なんでそんなヤツに謝ってんだよ!」


「そうだ!俺らはこいつらにひどい目に合わされたんだぜ!」


ブラザーズが抗議の声を上げると玄は


「うるせぇ!テメェらが手ぇ出さなけりゃ起こらなかったことだろうが!」


「「うぐ…」」


そんな叱責にぐうの音も出ない2人

再び玄がこちらを向き


「本当にすまないことをした。俺に免じて許してくれ」


僕は慌てて


「い、いや、大丈夫だよ。顔を上げてくれ。妹に怪我はなかったし、もういいんだ」


「そうか。本当にすまなかったな。いまさらだが、俺の名前は葛城玄くずきげんだ。これからよろしく頼む」


名乗られた以上はこちらも名乗らねばいけないと思い


「僕の名前は紫ノ宮翔斗だ」


「私の名前は紫ノ宮燈華だよー」


「2人は双子か。じゃあ、下の名前で翔斗に燈華と呼ばせてもらおう」


「全然構わないよ」


「おっけー☆」


予想は確かに裏切られた。だがその裏切りは

僕らに高校生活最初の友人をもたらした




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