第3話 入学式②

教室へ向かっていた僕らは途中


「お?君可愛いね?どこの中学?」


なんて典型的な高校デビューオーラ全開の男子が燈華に声をかけていた

僕の存在はどこへ行ったのやら

いかにも面倒くさそうな問いに対し

燈華は礼儀正しく綺麗な作り笑いを浮かべて


白菊しらぎく中学校です☆」


なんて可愛らしい。チャラ男くんが1発でKOだ


「へぇ、白菊なんだ。ちなみに俺は椿が丘」


燈華がいかにもそんな事聞いてねえよという目をしている。だが、相手はお構い無し


「今日さ、入学式終わったらカラオケとかどう?親睦を深めるのにいいと思わない?」


「それいいね、行こうぜ行こうぜ」


おい、いつから登場した。いかにも取り巻きみたいなヤツは

だが、燈華はそんな変化には動じることなく


「ごめんなさい、今日は兄と入学祝いをするので」


完璧な回答。だがしかし、相手も引き下がらない


「いいじゃんか、兄貴の事なんてさ。俺らと遊んだ方が楽しいよ?な?」


「そうだ、きっとそうに違いない」


おおっと、燈華の表情あからさまに固くなった

これは本当に面倒臭いやつだと今更のように

実感したらしい

そろそろ見てるこちらもうんざりしてきたので仲裁に入る


「ちょっと、その兄貴すぐ隣にいるんだよ?

それなのに存在してないような扱いしないでよ」


優しくそんな事を言ってみる

すると目に見えて機嫌が悪くなるチャラ男A.B


「ああ?てめえには関係ねぇだろ?」


「そうだ、引っ込んでろ!」


なんとまあ、典型的な返し

しびれを切らしたのか相手は


「なぁ、こんな兄貴ほっといて行こうぜ」

と燈華の手を引っ張る

流石にムカついたので軽く手首を捻ってやる


「イテテテ!何すんだよ!?」


「いやね、妹が嫌がっているもんだから」


「てめぇ…ぶっ飛ばすぞ!」


「あっそ」


そう言って僕は素早く掴んだ相手の腕を背中に回してはい、制圧


「いってぇ!」


「離せよ!」


チャラ男Bがチャラ男Aを助けるべくこちらへ向かってくる

目の前に燈華が立ちはだかる

そして


「うりゃ!」


「ぐへっ!?」


これはなんて見事な。綺麗な右ストレートが決まった。それと同時にこちらも腕を開放してやる

どちらも痛みで呻きながら


「「お、覚えてろよ!」」


なんて古臭い捨て台詞を吐いて1-Aのクラスに駆け込んでいきました。同じクラスじゃないのが幸いだ


「ふぅ、ごめんねお兄ちゃん。迷惑かけちゃって」


「いいよ別に。にしても、今どきあんな古臭い捨て台詞吐くヤツがいたもんだな…」


「ねぇ〜」


そんな事をいいながら1-Cのクラスに僕らは入っていった

そこで入学式の説明を一通り受け

次はいよいよ本番

できれば何事もなく終わってほしいが

そんな思いはすぐさま裏切られる

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