二章

 白刃の残像――愛用の剣での一閃!

 ザクッ! という重い手ごたえで必殺を確信した。相手は鱗鎧スケイルメイルを着込み大振りの剣もっている亜人としては有名なゴブリン。

 前に戦ったオーガとは違いそれほど手強い相手ではないが知恵と数は油断はできない。

「がんばってください。補助魔法いっきまーす☆」

 場違いに陽気な声で後方にいる神官娘から重力軽減魔法が掛り『フッ』という言葉が似合うほど体が軽くなる。着込んでいる鉄線と銅線で編み上げた短丈鎖鎧ホーバージョンの重さが全く感じられなくなる。

「ハッ!」

 一歩踏み込んで短弓でソーサラーを狙っていた姑息なゴブリンをバックラー(鉄で表面を補強した木製の丸い小型盾)で強打する! 相手は弓を落とし『グモ……』と唸る。

 木々に囲まれた街道で奇襲を受けた俺達は護衛対象の馬車から注意を逸らすために敵中に突撃をかけ対抗した。最初の一匹を一撃で倒し近くにいた斥候とおぼしき奴も数合の打ち合いの後、切り倒し敵陣の中衛や後衛の辺りまで切り崩したところ――

 弓を落としたゴブリンが腰から棍棒を抜き怒りに燃える目でこちらに襲い掛かってくる! その技量も全く感じさせない単調な攻撃を受け流しながら他のメンバーの安否を確認する。

 メンバーは全員で四人。さっき俺に魔法をかけてくれた陽気な娘。

 枝の様な短杖とおなべのフタの様な革製の丸盾を持ち濃い青色のローブに同色のとんがり帽子、ローブの上から龍の頭を象った肩当てを付けいる妙な格好の精霊士。

 頭にターバンを巻き健康的な小麦色の肌――丁度弓を構えた時に前面を向く箇所だけを覆う革製の防具をつけ胴は亜麻布のサーコートでよく見えないが、リベットが規則正しく並んでいるトコを見るとおそらく金属片革鎧身ブリガンディン、背にはかなり大きめの矢筒と手には短弓なんだけど――小型弓の割には射程と威力が絶大!

 ビュ!

 と甲高い音と共に放たれた矢はゴブリンの板金鎧と体を貫通し地面に深々と刺さる程。

 最後は――『ザッ』と派手な踏み込みの音とともに槍がゴブリンの青銅胸当ブロンズキュイラスごと貫く! 俺と同種の鎖鎧がシャラと涼やかな音を鳴らし次々に突きや払いを繰り出す! 陽光を浴びて黒鉄製のフルフェイスサリットが妖しく耀く。

 まとめると能天気な神官に趣味の悪い精霊使いが後衛、野性味溢れる怪力女と無口で危険な雰囲気を漂わす全身鎖鎧の鉄仮面。

 個性的このうえないパーティ。

 それでも一通りの修練はしているらしく――しっかりした動きをみせていた。

 棍棒をもったゴブリンの攻撃を受け流しすれ違いざまに蹴りをいれ体勢を崩したところを一閃!

「…………退いていきます」

 呪文詠唱を中断し呟いたのは精霊使いの娘。

「持ってけっ! 贈り物だっ!」

 弓使いが三本の矢を番えると山なりに射る――放物線を描き逃げる二匹を仕留めた。俺も折りたたみ式短弓を予備武器で携帯して修練もしているが、この放物線を描く曲射法で目標に当てるにはかなりの技量がいる。

 悔しいが俺にはできない。

「ネコさん欲張っちゃダメだよ! 去る者追わず☆」

 短杖を器用に回しながらそんな事を言ってるのは神官の娘。

「……」

 仮面の槍使いは大きく槍を振り血を払い落とすと背中の留め金に槍を固定する、全ての動作を片手で行う無駄のない動きだった。おそらく長年愛用してる武器なのだろう。

 俺も奮発して購入した神鉄と聖水を氷の精霊石で結合させた業物のロングソードを錆ないように紙で血を払い鞘に納める。

「ゴブリンの野盗か? 行きに襲っても荷は空なのにアホな奴等だ」

 その時さきに逃がした護衛対象の場所から悲鳴があがる!

「ちっ! こっちは陽動だったのか?」

 俺の荷袋も商隊の馬車に載せてある。略奪されると俺にとってもおもしろくない。ケチとかいうなよ、板金鎧は一般人が思ってるより値が張る物なんだから! 重くて使えねぇけど。

 とりあえず俺だけでも先にと全力で走る。

 その横を信じられない速度で駆け抜けた奴――

 あの鎖鎧にサリットの槍使いだ。

 槍はすでに留め金から外されいつでも使える状態になっている。

 ほんの数秒で馬車を中心にした隊列の商隊に追いつき――ハッキリ確認できないが何者かと交戦状態になった。

 俺だったら間合いに入る前に投げナイフを放ち牽制をいれてるトコだが――槍使いは信じられない俊足で一気に槍の間合いまで詰め寄る。

 相手はよく見えないが片手持ちの剣のような物に大きめのシールドで武装しているようだ。

 槍の突きを盾で防ぎ、そのまま押し返す! 槍使いの態勢がわずかに崩れる隙をついて槍の間合いから剣の間合いに入り盾を構えたまま横なぎの一閃!

 それを槍で受ける。

 それで態勢を崩され、槍使いは石突きの部分を地面に立てガリガリと大地を削りながらも体勢を立て直そうとするが――

 そこに追撃の一閃が襲いかかる! タイミング的に避けるは不可能!

 しかし、その一撃は届かなかった! さっきまで地面を削っていた槍の石突きが渾身の一撃をくりだそうと踏み込んだ相手の足を払い盛大にすっ転ばす。

 形勢は逆転! 

 とどめの一撃の突きが刺さる! と思いきや槍使いは大きく跳躍し間合いをあける。

 この時、俺は剣を抜くと加勢にはいる――

 間近で見ると相手はゴブリンではなかった。亜人という点では一緒だが直立したトカゲ、相手はリザードマン。

 ――さきほど槍使いが距離をとったのはリザードマンの火炎の息から避けるためだった。

「……溜めてる」

 まったく気配を感じさせずに背後にいた精霊使いの少女がボソっと呟く。大気から火の精霊を集め火炎の息を出す準備しているのか! 精霊使いはそれを誰よりも敏感に感じとっていた――剣を構え精霊を集めきる前に仕掛ける!

 リザードマンは一瞬焦りの気配を見せる――がこちらの太刀筋を読んで体勢を崩しながらも切っ先をかわす、すれ違いざまに左手につけたバックラーで鼻っ面を強打してやった!

 さらに背を横一文字に薙ぎ払う! 

 ――しかし、剣の刃は鱗のような皮膚の表面を浅く切り裂いたのみ……。

 剣に残る手ごたえを噛みしめつつ、奴の皮膚は並の鎧より硬かった!

 風にのって精霊使いの詠唱が聞こえる。俺の使ってる剣は攻撃を受け流したりするのには最適だが破壊力といった方向にはいまひとつ決定力に欠ける武器だ。剣でコイツに致命傷を負わすのはむつかしい。となると決め手は精霊魔法か弓、槍の一撃になる。

 ざっ!

 背後からの鋭い突き! そして槍使いの稲妻のような突きも背に目でもついてるかのごとく身を避ける。

 リザードマンの聴覚は鋭いと聞いていたがここまでとは!

 怒気が強まり槍使いのほうに注意をむける――が、バックラーの内側に仕込んでいる投てき用のナイフを放つ!

 槍使いのほうに注意を向けた一瞬の隙をついた攻撃!

「シャ――」

 ナイフは背に当たるも硬い皮膚にはじかれる! だが注意を引く事には成功した。蛇のような唸り声を上げこちらに怒気に染まる目を向ける。

 ヒュ――

 風切り音とともに悪寒が走る! 剣の影が見え咄嗟に避けるが頬に痛みが!

「アタシの出番かな? 癒しちゃいます☆」

 く! この娘ほんとに調子狂うな……。

 まあ魔法の効果に差異はないわけで痛みはすぐ消えた。槍使いが再び攻撃の気配を見せる俺もそれに合わせられるようにタイミングを計る。

 槍使いから注意を逸らす為に地面を蹴り撒き上がった砂で目つぶし効果を期待する。

 同時に剣を振る! 腕の力でのみ放った斬撃に奴の硬革鎧にも似た皮膚を傷つける事ができるかは疑問ではあったが……。

 カァン!

 ――と、剣撃は盾にはじかれる。

 相手も剣撃の動作に移ろうとしてるのは同じ剣士のカンでわかった!

 剣は盾で抑えられて使えない――懐に飛び込むような感じでリザードマンのほうに踏み込み左手のバックラーで剣を振るろうとした奴の顔を殴打する!

 キーと金切り声を発し体勢を崩し頭を二、三度振ると、こちらに怒りに燃えた目を向け『シャー』と再び威嚇の唸り声を発する。

 そこに槍が突きいれられ俺とリザードマンは距離をあける。

 温かな風のようなものが体をとりまき薄いベールになって包んだのはその時だった。

「殺っちゃえっ!」

 能天気な声で物騒なセリフが聞こえる。

 突然視界が遮られ――大量の水!? 

 見上げるとはるか上空のなにもないところから水があふれ出し、どどどどど! と激しい音を出して地面叩いてる。

 不思議なのは、それだけ大量の水が落下しているのにまわりが水浸しになっていない、まるで地面が際限なく水を吸収してるみたいだ……水系統の魔法っていうと地味な印象だったが?

 水が消えると水圧で悲惨な有様になったリザードマンがひび割れた地面の上に残っていた。どういう原理か周辺には全く水気がなく、窒息とかそういう方法での攻撃手段じゃなく水圧で標的を押し潰す魔法の様だ。

 しっかし――精霊士の扱う精霊魔法は絶大だ。巻き込まれる可能性のある前衛からするとちょっと複雑……。

「イエーイ、ボクが仕留めた……」

 感情のこもらない棒読み口調の声で指をVの字にして、そう宣言してる少女に神官の娘がほめちぎりながらじゃれついた。

 商隊のほうにも被害らしい被害はなくていいことだが……さっきのゴブリン野盗はともかくリーザドマンのほうはこんな街道でウロウロしてていいレベルじゃなかったぞ!

 剣を納め印可証を開く。

 そこにはモンスターの勢力が逐一表示される様になっており街道の安全レベルが確認できるようになっている。勢力的には『若干危険』という表示が踊っていた傭兵達には積極的に街道の警備をするようにと『要請』がでている、これが『命令』とかになると拒否権なしで討伐隊に組み込まれる。

 ――となると商隊のリーダーと話しをして夜通し強行してでも、早めに街に入ったほうが安全だろう。

 五、六人の若い商人が応急手当をいているのを眺めつつリーダーの方へ向かう。

「今日はここで野営をしようと思いますので――」

 そこではリーダーと弓使いの娘が野営をすると話しあっていた。

「ちょっと待ってくれ。街道の安全状態考慮すると野営は危険じゃないか?」

 弓使いはこっちをキッとにらみながら。

「あんた周り見てないのかよ! 怪我人もいるんだ! 今日はここで野営する」

 すれ違いざまにこちらにぶつかってくる――がこちらのほうが体格勝ってる上に重い鎖帷子をつけているビクともしなかった。

「なかなか元気なお嬢さんじゃありませんか」

 人の良いのを体現したような商隊のリーダーが言う。

「あれは生意気っていうんですよ」

 弓使いのほうに顔だけ向けて。

「しかし、ここで野営したほうがこちらも助かります。先ほどの襲撃で馬が怯えてしまって……一晩ここで落ち着かせてから出立しないと暴走しないとも限らないですから」

 それを判断する知識は傭兵の俺よりも彼のほうが正しい。

「わかりました。しかし――街道の安全レベルが下がっています、こちらも交代で不寝の番をしますが商隊の方々も見張りをしていただくと助かります」

 リーダーは快く了承してくれた。

「珍しい武器をお持ちですね、拝見させてよろしいですか?」

 剣帯にはロングソード、剣闘士用剣グラディウス、刀と三刀差しているが、おそらくは刀のことだろう。

 鞘を剣帯から外し渡す。

「少し反りが浅いですね。切っ先も詰まっている――」

 鞘から抜き刀身を見つめる目が次第に熱を帯びていく。

「これは凄い! 地金は明るく冴え! 波紋は美しい瓢箪刃! 東方の鍛冶技術とこの大陸特有の錬金術を掛け合わせたようですな、いやはや――これは凄い!」

 そもそも東方に関して無知な俺にはそれが凄い事なのかさっぱりわからん。

「鉄と鋼の違いはわかりますかな?」

 えーと……。

「鉄を鍛えると鋼になって強度が上がるんでしたっけ?」

「そうですね。大陸製の剣は全て鋼で作られていますが――じつは鋼は切れ味という点では鉄に劣るんですよ。

 しかし――東方の鍛冶師は鋼と鉄両方の特性を生かす方法を思いついた。まず峰と呼ばれる芯の部分を鋼で作り強度を確保すると、それをしなやかで鋭い鉄の刃で巻くのです、正確には鋼でコの字型を作って作りこみという作業で鉄の刃の部分をはめこむのです。

 しかも、これは素材に雷の精霊石を練りこんで作成させたみたいですよ、

 他にも強度を上げる工夫や自己修復する機能もありそうですが、錬金術師にしかわかりませんな」

 この人……武器マニアかなんかか? いや――単純に貿易商人という職業柄か……。

「この品、売って頂く事はできませんか?」

「あー一応贈り物……(だと思う)ので売るのはちょっと……」

 そう告げると心底残念そうな顔になってしまった。

「そうですか……」

 チン。

 軽い鍔鳴りを残し返してもらった。

「そこまで詳しいって事は刀を買いにいくんですか?」

 確か東方の品が競りにでるとか――

「いえ……レリクス――一般人には聖遺物と言ったほうが通りが良いですかな? そういった物がいくつか出品されるとかでそれを買い付けに」

 聖遺物……ね。

 俺も神学をやっていたのでソッチ系の知識は多少ある。

「ええ、聖槍ロンギヌスとか……」

 うぁ! ……モロに怪しいのきたな。

「ロンギヌスって……武器じゃないっすよ……」

「えぇぇ!」

「ロンギヌスってのは神の子の検死に使われた槍で武器じゃないっすよ。しかも名前の由来は、その検死(処刑後に死亡を確認するための行為)をした兵士がロンギヌスさんって名前だったからで……確かに半神の血を吸って不思議な力を得たとして聖槍なんて呼ばれてるけど……形状、材質ともに武器向きじゃないし……武器として使われた記録は一度もないんですよ。本物はオリオン山脈の向こう側にある『聖地』で厳重に保管されてるはず」

「では、では――聖骸布はどうですか!」

 あー。

「聖骸布は布片を錬金術師が年代測定したところ……その……どうも時代が合わないという事からどうも聖骸布自体が偽物……」

「くっ!」

 もはや完全に人の良い雰囲気を消し悔しそうにうめき声を漏らすと、

「じゃ――グングニルの柄はどうだ! このヤロー!」

 やば――ちょっと涙目だよ、この人!

「グングニルの柄は文献じゃアッシュ材――つまりトネリコの木材です。高級木材だけど別に伝説ってほどじゃ……だいたい北方で信仰されてる主神の神槍が東方の貿易船にある事じたい辻褄が合わないじゃないですか……そもそも北にいくには今は渡航が禁止された危険なクラーケン海峡を越えないと――」

 辻褄が合わない事を指摘するとクルリと後ろを向く。

 怒らせちゃったかな? っと思ったがその目に光るモノがあったのを見逃さなかった。

 いい大人が泣くなよ……。

「……なかなか博識で」

 こちらに背を向けたまま――肩震えてるけどな。

「まあ……神学を少々――」

「それにしては信仰心というものが感じられませんねっ!」

 うっ……確実にちょっと怒ってるね。

「いやーなんか学べば学ぶほど信仰心というものが薄れていくというか、オリオン十二神の確執なんか知れば知るほど……ね。

 ――と、こんな事いうと神官の娘に説教されちゃうかな?」

 幸いまだ精霊士とジャレ合っていてこっちの会話は聞こえてないみたいだ。

 弓使いは野営の準備をはじめており槍使いは水の調達とリザードマンの躯を始末しにいった。

 あまり野営の準備をさぼるとまた弓使いに文句を言われそうなのでリーダーとの会話を切り上げる。

 体格に合わせて調整する鎖帷子のベルトを――両肩、胴と外しお辞儀をする要領で腰を曲げる――そうすると鎖帷子自体の重みで楽に脱げる。

「ふう――」

 地面に落ちた青銅と鉄の鋼線で編まれたホーバージョンをシワにならないようにサーコートに気をつけて畳む。剣帯の三刀を地面に突き刺し柄のうえにバックラーをひっかけ、インナーに着込んでいた草布で編まれたシャツの首まわりを指でひっぱり風とおしをよくすると、やっと一息――現実は劇や書物とは違い野営中はずーっと武装とか疲れるマネはしないのである。

 除装をすませて戻ると火は焚かれ。

 夕食の作業もおわっていた。さっきまでの夕暮れは終わりをつげ――すでに空には星が瞬いている。

「はい。コレがラーアルさんの分だよ☆」

 真鍮製の食器にはいったシチューが渡される、それをパンに湿られて口に運ぶ。

 シチューは誰がつくったかはしらないが――野草と肉(なんの肉あはわからないが)がはいってるだけの簡素なもの。

 食事に集中していて気がつかなかったが、弓使いはすでに離れたところで横になっており、槍使いはいなくなっていた。

「あの……」

 二杯目のシチューをたいらげくつろいでいると声をかけられる。

 今まわりにいるのは精霊士と神官だけ精霊士のほうは寝てるのか起きてるのかわからないほど無反応。火がまぶしいのか? 心なしか顔を背けている様にも見える。声をかけてきたのは神官のほう。

 真っ白なクロークっぽい僧服に短杖ワンドを持ち首には宗派の象徴なのかアクセサリーのような物がつけているが僧服に隠れて見えない。

「ラーアルさんって王国騎士軍師のディバイン家所縁の方なんですか?」

 正直、その話題はあまり好きじゃないんだが……。

「……義父ですよ」

「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 大げさな声をあげて立ち上がる。おいおい弓使いが仮眠してんだからもうちょい静かにしろよ。

「じ、じゃ――ラーアルさんも王国騎士なんですか? あ! でも年齢的にはまだ従士かな?」

 騎士や従士ならマントを纏って盾に紋章がはいってると思うんだが……。

「違う、違う。ただの傭兵だって」

「なるほどっ! 修行だね、修行☆」

 いや……違うし……いちいち目の中に星をいっぱい浮かべてこっちを見ないでほしいものだ……神官にそんな目で見られるほど上等な人間ではないので怯むんでしまう。

「ん……まあ……そんなとこだ……」

 なにを言っても無駄な気がして適当に合わせた。

 しきりに感心しなにやらひとしきり騒いでから――

「アタシ達は連邦からきたばっかりだから本場の騎士様を見るのはじめて☆」

 連邦か……。遥か南にある狩猟部族が集まった国家。

 つーか無茶苦茶遠いぞっ!

 大陸は最北端にオーク帝国と『聖地』があり、ちょっと下ると年中雪と氷に閉ざされた神山オリオン山脈が真横に走り壁のようにオーク領と人間の領域を分けている、この神山には十二柱の神が住んでいると言われているが人間の身で神山を越える事はできないので誰もわからない。神山の麓、豪雪地帯にはかつてオーク軍の城があった――先の大戦で城は陥落。現在はどうなっているか誰も知らない。

 さらに南下すると延々なにもない雪原地帯になり、そこを雪がなくなるまで南下すると『凪』と呼ばれる起伏のまったくない地形が現れる大戦時にここで四国の連合軍とオークの最終決戦が行わた。そこでは多くの攻城戦魔法、兵器や攻城用モンスターが使われ地形を均すようにまっ平らにしてしまった。現在でもこの地には精霊の影響力が強いらしい。

 そこを南下すると王国領にはいり大陸各地へとつながる街道も整備されはじめている、海辺に面する『帝国』に抜ける道と大陸の中心にある『大公国』につながる道に分かれ、公国領内にはいって南下すると乾燥地帯が広がる。そこをさらに南下すると次第に緑豊かな大地が現れ、そこが『連邦』だ。

 王国と連邦では人の住む領域内で端から端に移動するに等しい。

「連邦からきたなら長旅だな」

「そうでもなかったよ。首府から『転移』で王国まで来たから☆」

 あっさりととんでもない事を言われ飲もうとしていたお茶をこぼしてしまう。

「マジでかぁ! もしかしておまえ達すっごい金持ちなのか?」

『転移』

 まあ名前のとおり魔法で特定の場所にいったりきたりする魔法のこと一回の使用に約十万(俺の月収相当)ぐらいかかって中堅の傭兵や一般人には全く無縁だけど貴族や大型の傭兵団なんかは頻繁に使用する。間違っても初心傭兵が使えるものじゃない。

 初心傭兵で準備金が三万あればかなりいいほうで、月収が約一万ぐらいが今の相場だっていえば使うことがないのはわかってもらえると思う。

「お金? アタシは戦女神様の修行で各地の教会や神殿を巡り清めの儀式をするのが御役目ですので路銀の類は持ってないよ、これも修行ですから☆」

 仲間の誰かが出してくれたのか?

「でも、なんで王国に? 修行ってのはよくわからんが自分の足で踏破してこそじゃないのか?」

「そういう類の掟はないですよ。王国に来た理由はネ――アタシ、アタシ。本場の騎士様を見てみたくて最初に王国に行こうと決めてたっ! そこで首府で王国に行くパーティを探していたんですけど――」

 神殿騎士の本場は王国じゃないけど、たぶんわかってなんだろうな……つーかおまえの旅の話しなんて聞いてないし。

「なかなかそういう人がいなくって……もう一人で行こうかなーって思ってたらコッキョウってところで『通せない』って言われちゃいまして……森を抜けていったらなんとかなるかなーってはいっていったら道に迷ちゃって……オクちゃん――あ! 槍使いの人です、が首府まで案内してくれたんです」

 ニコニコと何が楽しいのか顔を左右に揺らしながら話しているが……内容はむちゃくちゃだ。

 そうそう。戦女神ってのは天界、海界、冥界の三界神には及ばないが大陸で信仰されている十二神の中では強力な処女神である――神官、巫女、僧侶全て女性で占められており治療魔法や鼓舞を促す系統の魔法に特化してるのが特徴。

 全て女性ということから傭兵団でも『姫』と呼ばれアイドル視されている。処女神信仰ということから男は禁忌で処女でなくなると加護も失い魔法が使えなくなる。うっかり大型傭兵団の『姫』に色目なんかつかったら歴戦の猛者連中によってたかってボコられた末に簀巻きにされ川に投げこまれることもある……聞いた話しね、体験談じゃないよ。

 この娘警戒心とかなさそうだから簡単に知らない人について行きそうだな。

 ――でも、こういう性格の奴に限って人気でるんだよな……『もう知らない人についていったらダメっていつも言ってるじゃないですか!』とか言う奴が近くにいてさ。

 いや……だから体験じゃないよ。本当に聞いた話しだって!

「でも。なんで国境で止められたんだろうな? レベル一でもないだろうに……街道の戒厳令でもでてたのかな?」

「う? アタシ傭兵レベル一だよ。一だと通してくれないの?」

 うわ! こいつほんとなんにもしらねぇ。

「知らないのかよ! 一応傭兵が活動する目安でレベルがついてるんですけど……。

 まず一で首都付近で近隣に補給物資を運んだりするとレベル二になれてレベル二で国内の領土全ての村や街に行った経験があり、害獣の討伐記録があるとレベル三になり三になったら国境を超える事ができるようになり他国のギルドでも仕事を受領できるようになるんだ――ってかどうやって王国ギルドで仕事受けたんだよおまえ達?」

「ああ。そうなってたんですね☆」

 パンと手を合わせて納得しましたって顔で言い放つが……。

「ネコさん――弓使いの人がみんなレベル一だから無能でお馬鹿でもいいからレベル三が必要とか言ってたのはそういう理由なんですね☆」

 無能でお馬鹿……そこは納得なのかこの小娘。

 ――にしても、腕が立つ初心傭兵四人なんてよく見つけてきたよなアイツ。

 俺はニヒルな顔でシェイカーを振る友人の顔を思い浮かべる。

「あ! ラーアルさんが無能でお馬鹿ってわけじゃありませんよ!」

 とってつけたようにいいやがったな……まあいいけど。

 ネコさんって、弓使いの女は確かに切れ長の目に牙っぽい歯。どことなく猫っぽく見えなくもないが……そんな呼び名だと普通怒んないか? まさか本名がネコっていうわけじゃないだろうし、とか思っても話しは続いた。

「ネコさんとカリンちゃんは首府のギルドで知り合ったんだよ、そこで王国に行くからみたいな話しになっていつの間にか王国に着いていたんですよ」

 いつの間にかって――なんて計画性のなさ。

 よく考えたら俺こいつらの事なんにも知らないんだな。

 名前もカリンってのがおそらく精霊士の名前だろう。

 ギルドに頼んで取り寄せた資料にもそれぞれの特技しか書いてなかった。槍使いなんて『特技槍、好きな物長物、嫌いなもの短いもの』とかって書いてあって『おまえはタケノコの一種かっ!』って思わず叫んじまった。

 目の前のコイツも本場の騎士はかっこいいとか王子様がどうとか言ってるが――おまえ男は禁忌じゃなかったのかよ? 

 半分こぼれ冷めてしまった紅茶を飲み食器を持って水場にいこうと立ち上がる。

 ――ちゃ。

 地面に置いた刀が持った際に軽い鍔鳴りの音を出す。

「三本も持って行くんですか?」

 傭兵は騎士と違って剣に特別な想い入れをしない。あくまで武器――道具だ。戦闘中に破損する事もある傭兵なら誰しも予備武器を二、三個持っている。

 使える物は使うし使いたくない物は使わない傭兵は基本自由人で軍人とはそこらが違う。

「これも修行だよ」

「なるほど、さすがです☆」

 内心『なんの修行?』と思いつつ説明が面倒で適当に言ったら納得された。

 商隊の話しではこの林を抜けた先に泉があり、飲み水なんかの補給にはココを使ってくれと言っていた。

 林といっても木々は生い茂りなかなか目的の水場には行きつけない――

 俺は暗闇が支配する木々の中をかなりの時間歩いた。。

 月齢は上弦の月、光量としては頼りない。

 しゃ、しゃ。

 足元になにかが絡みつき涼やかな金属音がする。

 見ると――足には無造作に脱げ捨てられた鎖帷子が絡みついていた、それが俺の鉄靴ソルレットに当たって金属音がしたのだ。

 ちっ! 誰だよ、こんなところに――

 足に絡まった部分を外そうと手に持ったのだが――その余りの軽さに驚く!

 お、おい! マジか! こ、こいつは……魔法銀製! 魔法銀ならたとえボロボロに破損していても鋼線一本でも残っていれば十分金になる!

 そいつを広げ――月明かりを当てる。

 破損どころか要所に巻くベルトの状態も完璧。この場で装備しても使えるぐらい完全な状態。

 しかもこいつは長丈鎖帷子ホーバークという俺の短丈鎖帷子ホーバージョンのように廉価の鎧じゃない。

 違いは丈の長さなんだが――首から腰あたりまでを覆うように作られているのがホーバージョン、これはそのまま鎖脛当チェーンホーズに繋げて身体を隙間なく覆うような作りになっている、遮熱用外套サーコートは絹で銀糸で文字が編まれている!

 こう言っても一般人には理解できないと思うから一応補足しておくとコレ一着で王国の一等地に中規模程度の屋敷(二十部屋以上三十部屋未満)を買えるぐらいになる。中位程度の貴族じゃ全財産を投げうっても買えるかどうかって代物だ。

 テンション上がるわー。こいつは思わぬ臨時収入だっ! 

 風が吹いた――雲に覆われていた月が顔だす。

 その月光の中に――

 女がいた。真っ白な肌に人間には絶対にない蒼く長い髪。濡れた裸身で泉の中央に立ち月光に照らされた姿は神殿絵画で描かれる水妖精ウィンディーネの様だ。

 じゃら。

 手から力がぬけていたのか鎖帷子が自重ですべり落ちる。

 女がこちらを向く――信じられないほどの美人!

 その時に俺は気づいた耳がとがってる! エルフ? もともと連邦の小数部族だったといわれ大戦で絶えたと言われている種族。

 いや。本当にエルフなのか? 書物じゃエルフは『葉っぱのような耳』に『陽光のような鮮やかな金髪』だったハズだが――

「ん? お主か」

 あえ? しかも、俺を知ってる? もう完全になにがなんだかわからない。

「一緒にどうだ? 気持ち良いぞ」

 羞恥心がないのか、まったく隠そうともせずに両手で長い後ろ髪をひろげるものだから……なにも丸見えになる。

 ツンと上をむいた乳房――とくに俺を虜にしたのは腰のくびれ――女性特有のそれは見慣れた妹のそれとは――サクヤのもそんな何回も見たことあるわけじゃないけど……なにを言い訳してんだ……。

「なにをアホみたいに口を開けておるのだ? ふふ。もしかして――」

 得意気な顔になり――

「もしかして、欲情しておるのか? ふふ、よいぞ。お主のような強い男なら大歓迎だ」

 泉から上がり近づいてくる、もちろん隠すどころか自慢の裸身をみせびらかすようにして。

「我が一族は滅びに瀕しておる。実際ワタシは自分以外の同族を見たことがない、純血をどうのとかいっていられる場合ではないのだ。伝承では人間との混血も可能だと言われておるしお主の子種をもらえたらとても助かる」

 微笑を浮かべ――なんかサラリと凄い事言われた。

 俺の頭は妙に冷静なわりに足は一歩近づき腕は抱きしめるように広げ――

 一帯に響き渡る風切り音が響き渡ったのはこの時だった。

 こいつは! 鏑矢!

 一瞬で傭兵の本能が蘇る。これは戦闘用ではなく仲間に合図を伝えるために用いられる特殊な矢――先端が笛のような構造になっており放つと高い音をだしながら突き進む。

 そうこうしている間に木々のあいだに黒い影が走っているのを捉える。

 なんだ? 野犬にしては大きい――おそらく数は二。

 身を屈め遠隔攻撃に備えると――近くに鎖帷子が落ちていた。

 そうだ! 早く服を!

「槍だ、ワタシの槍を!」

 その言葉で俺はこいつが誰であるかに思い当たった。

「往け。さっきの鏑はおそらく商隊のほうだ」

 その言葉に内心で舌うちをする。

 今ここに俺と槍使いがいるなら商隊のほうには前に立って戦う者がいない!

「わりぃ!」

 一言だけ呻いてその場を去る――月明かりの中、裸身で槍を構えた女は力を溜める様に身を低くするとこだった。

 ちゃ、ちゃち、ちゃ。

 闇の中――金属がお互いに擦れる音を立てつつ走る。

 甲冑を身に纏っていないのに異常に体が重い! その場で剣帯とグラディウスを捨て、ロングソードと刀だけ持ってさらに速度を上げる。

 その甲斐あって程なく木々が切れ――マズい! 火のまわりの人影三つのうちの一つにいまにも飛びかかりそうに体勢を低くした四本脚のなにか!?

 こっちに注意をむけようにも投てき武器は全て捨ててしまった。

 いや、まだある!

 長剣を鞘から抜いて鞘をブーメランのように投てきする!

 パカン!

 ――と緊張感に欠ける軽快な音がして鞘は見事に四本足の獣――狼に当たる。

 その間に一気に駆け狼と人影の間に割り込む。

「怪我は?」

 目の前の狼に注意しながらも背後の様子を窺う。後ろにいたのは神官の娘。恐怖のためか目に涙を貯めていた。

「ネコちゃんが……」

「……おせぇぞ……鏑……ばした……のため……」

 神官のかすれた声と弓使いの声が聞こえる、声はとぎれとぎれで内容の勇ましさとは逆で力がない。

 低いうなり声に注意を前方に向ける。狼は全部で四匹――俺は膝当てと鉄靴のみで上半身はシャツのみ盾もない。

 いつもの戦い方はできない。

 刀も鞘から抜き逆手に構える!

「――!」

 精霊士がなにかをつぶやいた。

 飛びかかってきた狼に向けて刀を振る!、

 ザック! 

 ――という手ごたえ、闇夜に黒い血風が舞う。

 二匹目はすでに間近に迫っていた。先のを仕留めたかを確認してはいられない!

 利き手の長剣を二匹目にむけ横薙ぎに払う!

 がき!

 固い音が響き長剣を狼が噛み砕こうと喰らい付く、神鉄製の長剣はその程度で破損したりはしない。

 刀身にかじりついた狼を飛びかかっていた三匹目に叩きつける!

 ぎゃおん! どちらが発したのかわからない悲鳴があがる。

 刀に紫の光線が纏わり憑いているのに気づいた。長剣の刀身にも霜のようなものがつき冷気を放っている。

 気づいたが――いまは深く考えてる暇はないっ! 

 四匹目が飛びかかってくる!

 身をひねりつつ――

 逆手にもった刀で切り裂く!

 仕留め切れていなかった二匹を精霊士が放った竜巻でまとめて細切れする。

 上がっていた息を整えると魔物の血を払い――投げた鞘を拾い納める。

 近くに転がっていた弓も拾う――こいつはあの生意気女のだ。

 主材はおそらくブラッドウッド製、弦は牛のアキレス腱を何本もたばねた物だろうか?

 複合素材弓コンポジットボウと呼ばれる複数の素材を組み合わせた代物だと思う。使い込まれており見る者が見ればかなりの業物であるのがわかる――グリップに血のシミがある。それはこいつを使いこなすためにアイツがした努力の痕。

 この弓にはそれ以外にもよく見ればさまざまな痕が刻まれていた。

「スゴい! スゴい☆」

 弓使いの傷をふさいだ神官娘が歓声を上げつつこちらに走ってくる。

「……あの……」

 言いにくそうにモジモジしながら何度か口をひらくがなかなか切り出せないとかそんな雰囲気で神官娘はこちらを見上げている闇夜にもその頬が朱に染まっているのがわかる。

 俺もそれほど鈍い男じゃない――その様子が憧れとも違う別の想いだという予想はそう難しくはない。

「あの……ひ……必殺技とかありませんか?」

 違った。

「ねーよ!」

 ――頬赤らめながらなに聞いてんくんだっ!

「えええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ! 作ろうよぉ」

 そういうと思案顔をして――

「竜を一撃で切り裂く龍殺斬とか全ての魔法を切り裂く魔斬剣とか☆ どう? どう?」

 どう? とか聞かれてもどうでもいいわ!

「……ああ。まあ……いいじゃねぇ」

 龍を一撃で倒すには急所の頭か首を刎ねるしかないが何メートルにもなる全高の比較的上のほうにある首や頭部を地面の様なしっかりとした足場から振るった斬撃ならともかくジャンプなどをした不自然な体勢で放つ斬撃にそれだけの力を乗せる事は世界最強の剣士でも無理!

 そもそも王国式剣術は神の子ともいわれる英雄が始祖であり他国の剣術とは比べものにならいほど完成された武術。それを改良しても俺程度の力量では扱えないか逆に弱くなる可能性のが高い。

 神官娘は俺の手を引っ張りながら『必殺技作ろう、修行、修行』と言ってる。

「――って、まだ槍使いが泉で……」

 ざっ――あまり気配を感じさせない足音で木々の中から槍使いがでてきた。

 ――負傷してる様子もなくどうやら無事のようだ。もっともフルフェイスのサリットに全身を覆う鎖帷子のせいでほんとのところはわからないが……。

「……なにか良い事でも?」

 俺の手を引っ張っていた神官娘は槍使いのほうに駆けていった。そのあとに精霊士が入れ替わりでこっちにやってくるなり開口一言目。

「良い事?」

 さきほどの泉であったことが脳裏に浮かぶ……まあ良い事かな……? 顔がニヤけてないか心配になり意識して真顔を作る。

「いなくなる前と後で貴方の気質が変わっている。武器に宿った精霊石の力がそれに反応していた」

「あの、霜や紫の光線のことか?」

 こっくりと頷く。

「何があったか知らないけど、それが貴方の力の源」

 そう言って去っていく。

 事情を知らないから悪気がないんだろうけど……女の裸身を見て上がった俺の力の源って――助平って言われてるような……?

「おい!」

 若干凹みぎみな俺に弓使いが声をかけてきた。

「そいつを返せ」

 ――ああ、弓を拾ってそのままだった。

 弓を素直に返すと――そのままジッと受け取った弓に視線を落としたまま――

「……その……悪かった……な。アンタのいうとおり野営は危険って判断は正しかったんだな……」

「……」

 うそっ! あの……謝罪してる? まあ実際は馬が怯えてとかっていう理由でおまえの意見なんかハッキリいって反映されていないんだが……このまま黙っていよう。

「気にすんな、それより傷は平気なのか?」

 頷く。血を失ってまだフラつくが大事はないと、俺が不寝の番をするから明日に備えて寝ておけと言って返した。

 完徹になるが明日の昼には街に着くし平気だろ。

 これ以上の襲撃がないことを祈りつつ林に武器と甲冑の回収に向かった。

 セコいとか言うな!

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