第13話 ラブブック~♥13

「おしっこ。」


谷子は夜中に目を覚ました。

寝ぼけているようだった。


ベットから出て、

トイレに入る。


「あれ?

 トイレがきれいになってる。」


トイレは大理石の、

トイレになっていた。


谷子は寝ぼけながら、

様式便器に座りおしっこをする。


「あれ?

 部屋がきれいになってる。」


トイレから出てきた谷子には、

照明がシャンデリアになっいて、

壁には白い壁紙が貼ってある。


「おかしいな?」


谷子は寝ぼけながら、

足が無いようにすり足で歩く。


「ベッドが、お姫様ベットになってる。」


木製のベットが、

豪華なお姫様ベットに変わっていた。


「これは夢だ。


 私の部屋が、

 こんなにきれいなはずがない。」


谷子は寝ぼけている。


「もう一回、寝よう。

 ふあ~あ。」


谷子はあくびをすると、

ベットに入り、

再び深い眠りについた。




「しまった!」


怪獣が寝ぼけながら、

目を覚ましてしまった。


主はとっさの閃きで、

怪獣の目の中に飛び込んで、

その身を隠した。


古びた天井裏の部屋は、

魔法で主の豪華寝室に変身したままだった。


「おお、揺れる揺れる。」


怪獣が動き出した。

意外と目玉の中はフラフラ揺れる。


「ほとんど前が見えない。」


怪獣は、

「前髪が長すぎ」なため、

目の前は前髪だらけで、

前方が見ずらかった。


怪獣がトイレに入った。

おしっこをしている。


「見、見てしまった~♪」


目玉の中の主は、

かなり興奮している。


「前髪長すぎ」「毛むくじゃら」

怪獣の素顔が、

「カワイイ女の子」

と知ってしまったからだ。


主は、

「カワイイ女の子」が好きなのである。


怪獣は寝ぼけながら、

ベットに戻り、

再び眠りについた。



「かわいい怪獣ちゃん~♪」


部屋を魔法で、

豪華な寝室にしたことがバレるよりも、

恋心が優先である。


主は、

また魔法使いらしい閃きを思いついた。

魔法の呪文を唱え始めた。


「こっちに来い! マイ寝室!

 エロ・エロ・エロメス~♪」


豪華な主の寝室が、

天井裏の部屋から、

怪獣のお目めの中に移動した。


「とっさに目の中に入ってしまったけど、

 ナイスアイデア!」


主は笑顔で、

勝利のガッツポーズをする。


「これで、

 かわいい怪獣ちゃんと、

 いつも一緒にいられる~♪」


主は怪獣ちゃんの、

純粋な瞳の中に住むことになりました。




「夢か・・・。」


朝が来た。

谷子は目を覚ました。


谷子は真夜中に、

寝ぼけながらトイレに行った。


確かに部屋が、

ゴージャスになっていたような気が・・・。


「ふあ~あ。」


あくびをした谷子はベッドから起き上がり、

パジャマから私服に着替える。


さすがに顔を洗う時は、

長すぎる前髪はカチューシャをする。


カチューシャを外すと、

いつもの谷子に戻るのだった。


身の回りの支度ができた谷子は、

部屋にカギをかけて、

両親の部屋に洗濯物を持って、

朝ご飯を食べに行く。



「おはよう~♪」


谷子は笑顔でドアを開けて、

両親の住む、

今まで自分も住んでいた部屋に入る。


「おはよう。」


お父さんとお母さんが笑顔で挨拶をする。


「一人で寂しくなかったか?」


「大丈夫だよ。」


「いつでも帰ってきていいんだよ?」


「大丈夫だよ。」


お父さんとお母さんは、

谷子の一人暮らしを心配していた。


「夢を見たよ。」


谷子は言った。


「どんな夢を見た?」


お父さんが聞く。


「うんとね、

 部屋の照明がシャンデリアで、

 トイレが大理石で、

 ベッドがお姫様ベットになってたの。」


谷子は笑顔で気楽に言う。


「ハハハハハ。」


お父さんとお母さんも大笑いする。


「確かに夢だね。」


お母さんが言う。


「耳が痛い。」


お父さんが言う。

谷子の両親はバイトの共働きなので、

リフォームするお金などない。


「ハハハハハ!」


今日も渋井家は愉快な生活をおくる。


谷子もバイトに行くので、

家族3人バイト生活なのだった。



つづく。

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