第3話 ラブブック~♥ 3
「私が、払います!」
大家さんのおばあちゃんが、
天井裏の部屋の家賃は、無料でいいと言ってくれた。
「春から高校生になるから、
バイトして、自分の部屋の家賃を払います!」
「そうかい?
じゃあ、最上階の部屋だし、50万払ってもらおうか?」
「50万!?」
谷子は、
雷に打たれたような衝撃を受ける。
「冗談だよ、
家賃は谷子ちゃんのアルバイト代から、
払える範囲で払ってくれればいいよ。」
「おばあちゃん、ありがとう。」
「そうだ、
最近、目が悪くなってね、本が読むのが大変なんだよ。」
「大丈夫?」
「谷子ちゃんは、
子供の頃、よく私に絵本を読み聞かせてくれたね。
また本を読んで、楽しいお話を聞かせおくれ。」
「うん。」
天井裏の部屋の家賃は、
谷子のバイト代から払える範囲の金額と、
目が悪い大家さんのおばあちゃんに、
本を読み聞かせるということになった。
「ふぅ、今日も疲れたな。」
昼間、谷子が借りることになった天井裏の部屋に、
夜がやってきた。
良い子が眠る真夜中、
この部屋の「主」のお帰りである。
主は女性で外観は、
「巨乳」「Fカップ」「露出狂」
だった。
次元の出口から出てきた。
次元を超えてやってきた。
慣れた様子で呪文を唱える。
「いでよ! マイ寝室にな~れ!
エロ・エロ・エロメス~♪」
古びた木製のベッドが、お姫様ベットに、
天井から吊るされた豆電球が、シャンデリアに、
ユニットバスがジャグジー月の足の延ばせる大理石のお風呂に変わる。
まるで魔法使いのようだ。
ふと机の上の花瓶に気づく。
「あれ?
花が枯れてない?」
花瓶の中を見ると、水が入っている。
「・・・まぁ、いいか。」
女は、
細かいことは気にしない性格のようだ。
服を脱ぎ捨て、
笑顔でお風呂に入っていく。
「今日は、泡風呂にするぞ~♪」
「昔、昔、ある所に、星の守り人さんがいました。」
幼少期の谷子は、
両親がバイトで忙しかったので、
大家さんのおばあちゃんに預けられることが多かった。
小さかった谷子は、
大家さんのおばあちゃんと一緒に絵本を読んでいる。
「ある時、星の守り人さんが言いました。
「お星さまは、毎日輝いているけど、疲れないの?」
お星さまが言いました。
「大丈夫だよ。
輝いているのは夜だけだから、
お昼に眠っているんだよ。」
「よかった。」
星の守り人さんは、
夜空のお星さまが休憩しているのを知って安心しました。
・・・おしまい。」
絵本を最後まで読み終わりました。
「おばあちゃん、
お星さまはお父さんと同じことを言ってるよ。」
「そうなの?」
「お父さんは、
お昼に働いて、夜に寝てるんだって、
あれ?
逆さまだ。」
「ハハハハハ!」
「エヘへ。」
「谷子が絵本を読んであげる!」
幼少期の谷子は、
大家さんのおばあちゃんに、
絵本を読んでもらったり、
谷子が読んであげたりしていた。
「えっと? おばあちゃん、この字はなんて読むの?」
「守り人かい? もりびとって読むんだよ。」
「そうなんだ。
教えてくれて、ありがとう。」
「読めない字があったら、
なんでも聞いてね。」
「うん。」
読めない字を教えてもらったり、
読書を通じて、楽しい時間を過ごしました。
お家で一人で留守番している時も、
テレビやスマホではなく、
本を読んでいました。
高校生になる谷子は、
本が大好きな女の子に育ちました。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。