第2話 ラブブック~♥ 2

「他の部屋は全て埋まってるね。」


渋井家は、娘の谷子(15才)の成長に伴い、

築50年のボロボロのマンションの大家さんのおばあちゃんに、

もう1部屋を貸してもらえないか、お願いに来た。


「そうですか。」


渋井家は諦めて帰ろうとした時、

大家のおばあちゃんが、ある部屋を思い出した。


「あ! 天井裏の部屋なら空いてるよ。」


渋井家は帰る足を止める。

大家さんの話を聞く。


「もう誰も使っていない部屋だけど、

 見てみるかい?」


「はい。」


渋谷家は天井裏の部屋を見に行くことになった。




大家さんのおばあちゃんは、

天井裏の部屋に案内してくれる。


渋井家の3人は恐る恐る、

大家さんのおばあちゃんの後についていく。


天井裏の部屋に着いた。

大家さんのおばあちゃんがカギを開け、

玄関の扉を開ける。


「ギイイ」


部屋の中は意外にきれいだった。

ベットに机、イスもあった。

カーテンもしてあり、花瓶に花も活けられていた。

ホコリも1つも落ちていない。


「あれ!?

 もう何十年も誰も使っていないはずなのに?

 おかしいね。」


大家さんのおばあちゃんは、

水道の蛇口をひねった。


「ジャア」


きれいな透明な水が出てきた。


天井裏の部屋は、

まるで誰かが住んでいるみたいだった。




「私、ここに住みたい。」


大家さんのおばあちゃんが、

部屋を借りるか、どうかを聞いてきた。


渋井家の両親は、

どうしようと相談している。


谷子は第1印象で、

天井裏の部屋が気に入った。


こじんまりとしている感じが、

内気な自分には合っている気がした。


窓から空が見える。

きっと夜空のお星さまも見えるはず?


部屋もきれいで、特に問題はない。


それに渋井家の懐事情を考えると、

新築のマンションに住みたいとは言えない。


谷子は、天井裏の部屋に住むことを決めた。




「タダでいいよ。」


大家さんのおばあちゃんが言った。


「谷子ちゃんは、私の孫みたいなものだから。」


「やった!」


アルバイト両親は喜んだ。


大家さんのおばあちゃんは、

昔からよくしてくれる。


両親が仕事を休めない時に、

小さかった私を預かってくれたり、

経済状況が苦しいからと、

家賃を相場の半額にしてくれている。


本当なら、

渋谷なんて、家賃の高い所には住めていない。


「家賃5万なら、

 バイトでも真面目に働けば、

 家族3人暮らしていけるかもしれない!?」


ヤンキーとギャルだった父と母が心を入れ替えて、

バイトでも郵便局と区役所で働くようになった。


大家さんのおばあちゃんの、

おかげかもしれない。


私は、

大家さんのおばあちゃんが大好き。


これ以上、

迷惑はかけられない。


「私が、払います!」


谷子は言った。



つづく。

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