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第1章
第1話
「
「そう言う
男子生徒が4人、喧嘩していた。バンド内のパートとかそういう話ではなくただチューニングがずれているというだけの話なのだが……
「お前らうるさい。早くチューニング直せば良いだけの話だろうが」
部屋の扉を開けてギターケースを背負った女子生徒を連れて入ってきた丸眼鏡の中年男性——軽音楽部顧問、
ポニーテールの少女は少しオドオドしていて、緊張した雰囲気を醸し出している。
「ヴォーカル居ないとか言うから一応連れてきたぞ。お前らと同じ普通科1年の
ぼんやりとした適当な雰囲気で女子生徒——佐野茉莉那を紹介すると、小泉は何か問題あったら言えよ、と言って部屋から出て行ったため謎の気まずい空気の中に茉莉那、そして4人の男子生徒が取り残された。
茉莉那はあくびをかみ殺しているような表情だが小泉が居たときよりもリラックスした雰囲気だ。
「えーっと……佐野さん? 初めまして……
「あ、はい、初めまして」
およそ30秒、気まずい空気に包まれていた部屋だが、その空気を破るかのようにキーボードの前に立つ少年は小宮雅樹、と名乗り茉莉那を見た。
その茉莉那は興味無さげにギターケースからアコースティックギター……Epiphone DR-100 VSを取り出しているが。
全く話を聞いていなさそうな茉莉那に雅樹は一瞬不快そうな表情を浮かべたが、すぐにベースをチューニングする少年に無言で自己紹介を促した。
少年は面倒くさそうに顔を上げ、チューナーを使わず耳だけでギターのチューニングをする茉莉那に向かって淡々と話しだす。茉莉那は相変わらず少年達の方を見ていないが……
「
「あ、同じクラスか。よろしく」
一応話は聞いていたらしい。茉莉那はギターを花柄のストラップで肩からかけた状態で返答をすると、お前らは? という表情でドラムスローン——ドラムの椅子に座る少年と、ギターをかけたまま黒板に絵を描く少年の2人を見た。
ドラムスローンに座る少年はぼんやりとしていて、端から見れば何も考えていないように見える。本人はしっかりと夜ご飯のことを考えているが。
ギターをかけて黒板に絵を描く少年は意識ここにあらず、という感じでバンドの絵らしきものを描いている。クオリティー高い絵だ。
2人も我関せずと言った表情だが、美少女に見つめられて焦ったのだろう。目配せすると自己紹介を始めた。
「
「
聖は眠そうな目をこすりながら言い、弘太郎はよろしくを変な高い声で言った。弘太郎の声に一瞬笑い、茉莉那は2人によろしく! と、ややテンション高めで言うと笑った。
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