第4話

「そうそう、今日みくるちゃんが来たのよ」

「へぇ。何か用でもあったのか?」

「別の用事でたまたま近くまで来たから、顔を出したんだって」

 ハルヒの言う朝比奈さんは、俺が高校の頃に色々とお世話になっていた朝比奈さん(大)よりさらに成長した朝比奈さんだ。一日中ずっとテレビを見回したって、この人より魅力的な美人を探すのは相当難しいと言えるだろう。

「みくるちゃん、久しぶりに会ったらまた胸大きくなってたわ。いったいどんだけ大きくなるのかしら。初めて会った頃から比べると、三割増じゃきかないわよ」

 ハルヒは両手をわきわきと動かす。お前、揉んで確かめたのかよ。

 ……嫌がる朝比奈さんの胸をハルヒが背後から手をまわして揉みしだく情景が、とても容易に脳裏に浮かぶ。高校の頃から何年も経ってるというのに、実に違和感の無い光景だった。

「さすがSOS団のマスコットよね。ロリキャラ属性が無くなった分のマイナスを、巨乳キャラ属性を強化して取り返してるんだもの」

 どんな計算式だ。

「ハルキ産んで大きくなってるあたしより大きいのよ。みくるちゃんが子供産んだら、胸が破裂しちゃうんじゃないかしら」

 たまたま近くまで来たからちょっと顔を出しただけで、散々な扱いに言われ様である。すいません朝比奈さん、と、代わりに心の中で謝っておく。

「こっちは帰りに小泉と会ったよ」

「へーそう。小泉君も帰り?」

「ああ、そうみたいだった。一杯誘われたが、電話の方が先だったから断ったよ」

「一緒に行ってくればよかったじゃない。連絡くれれば、あたし一人で簡単に済ませちゃったのに」

 そういうわけにもいかないだろ。

「懐の余裕がないんだよ。そう言うなら、小遣い増やしてくれよ」

「それとこれとは話が別よ。第一、そんな要求はもうちょっとまともに稼いでから言いなさい。義務を果たさないで権利ばかり主張するなんて、許さないわよ」

 やれやれだぜ。

 そんなこんなで夕飯は、俺達以外のSOS団員三人の話題が出たせいか、SOS団の昔話で盛り上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る