第3話 彼女はテレパス

 それから数日がたち、今日はいつもより早くゼミ室についていた。



 授業の前は煙草を吸うのが日課であるのだが今日は雨が降っていたということもあり、お気に入りの外にある喫煙所は屋根がないので使えなかった。



 ゼミ室に入るとそこにはまだ誰もいなく、ラッキーだと思い、いつもより音量を大きめに音楽を聴きながらゼミが始まるのを待っていた。


 

 すると隣の席に誰かが座るのを感じる。

 隣を振り向くといつもならダサいネルシャツにジーンズの友達が座っているのだが何故かそこには、パンクなファッションを身にまとった彼女が座っていたのだ。

 内心ビビった僕は音楽に夢中で彼女に気が付かない体で行こうと思い、ゆっくり目を閉じ、指でリズムを取った。



 「我ながらナイス臨機応変!!完璧だ!!これなら絶対話しかけヅライだろう!!」



 そう心の中でガッツポーズをしていると隣から肩を叩かれたような気がした。気のせいだと思い、相変わらず目をつぶりながらリズムを取っていると、また肩が叩かれた。



 今度は気のせいじゃない。

 そう思い急いでヘッドホンを外し、彼女の方に顔を向ける。

 


 とりあえず無視を決め込んだことが申し訳ないと思い、挨拶をしようと口を開いたそのとき、彼女が



 「君もそのアーティスト好きなの?」



 そう尋ねてきたたのだ。

 俺は誰にもこのアーティストが好きだということも言っていないし、なんていったってこの曲は昨日発売したばかりの曲だ。てかまずなんで彼女が俺が今聴いている音楽を知っているんだ!?エスパーなのか!?



 僕はびっくりして彼女からみたらマヌケな顔をしていたに違いない。



 これが俺と彼女の初めての会話であり、この会話から僕と彼女の物語が始まるとはこのときの僕は知る由もない。



 だって僕は彼女をこのときマジでエスパーだと思ったからね。



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