第7話『大いなる沈黙へ』

このタイトルを見て、漢たちが火薬臭く殺し合うシリーズを思い浮かべる人は多いのではなかろうか。

しかし残念ながら、それは外れであるとまず最初に言わせてもらいたい。


ということで、おおよそ一年ぶりとなる更新をさせていただくが、その最初にどうしても書きたくなったのが、『大いなる沈黙へ』という〝映画〟だ。


皆さんは、カトリック教会という言葉をご存知だろうし、授業などで聞いたことがあるだろうと思う。

そのカトリック教会の中でも、最も厳格な戒律で知られる、カルトジオ会の男子修道院“グランド・シャルトルーズ修道院”という修道院がある。

フランスはアルプス山脈に建っているこの修道院は、中世から脈々と続き、その内部は謎のベールに包まれていた。


その修道院では、戒律により言葉を交さず、個室でひとりひとりが修行をしている。


監督は、この修道院を取材するために16年も費やし、その後5年の歳月で完成させたのだ。


そこまでして作られた『大いなる沈黙へ』は、極めて人を選ぶ〝映画〟となっていた。

何しろ


音楽がない

ナレーションがない

証明がない


と三拍子揃っているのだ。

これは修道院側から出された撮影の条件なのだが、これが実に空気を観客に伝えてくれている。


映画を見始めて気付くのが、静寂が奏でる音だ。

修道士たちの息遣い、衣擦れ、食事の風景――さまざまな場所で生じる、音。それらが耳に飛び込み、修道院の空気を感じさせてくれる。

それは新雪にまで及び、雪のひとつひとつが降り積もる音さえ、確かな現実となって伝わってくるのだ。


修道院とはどんな場所なのだろう?

そんな軽い気持ちで見始めたが最後、終わった頃には静かに心を打たれている。


『大いなる沈黙へ』は、ドキュメンタリー映画と分類されている。

しかし映画を見終わった私は、こう思わずにはいられない。


『大いなる沈黙へ』は、〝映画〟である――と。

 

もしどこかで見かけたら、是非見て欲しい。

お勧めの作品である。



ちなみに、NETFLIXにも最近追加された。

なに、最後はいつもの宣伝さ。

じゃあ、また。

みんなも良い映画ライフを!




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