第10話 怪獣大戦争

 団じいちゃんは掛けていたコミカルなサングラスを外すと、意外と精悍な素顔を見せた。

 そして、懐から洗練されたデザインのサングラスを取り出すと、それを顔にはめ……しばし、鏡を見て言った。

 「ふむふむ、こっちの方がわしには似合うようじゃの♪」

 団じいちゃんは鏡を見ながらしげしげとポーズを取っている。

 ……おじいちゃん、一体何をしてんですか…。


 俺たちの呆れた視線に気づいた団じいちゃんは咳払いをすると、今度は懐から小さなマジックペンのようなものを取り出すと、右手でそのまま自分の頭上に差し上げた。

 同時にそのペン状のものから閃光が走り、閃光が消えた時には…俺たちの眼前には銀色の巨人が立っていた!!!!


 『ザップマンじいちゃん、参上!!』

 あたりに団じいちゃんの叫びが響き渡った。


 青と銀色を基調にしたスーツを着ているようなシルエットのヒーロー…下あごにひげ状のものが生えているように見えるのは特撮のウルトラ◎ンキングあたりを彷彿させるよね…。



ザップマンじいちゃん 男 N88星雲人 25173歳


レベル ***(昔はさらに強かったんじゃ!)

HP  ザップマン標準くらい。わしも衰えたもんじゃ…。 

MP  根性は若いもんにはまだ負けやせんぞ。


攻撃力: 瞬発力はまだまだあるんじゃ!

防御力: 最近ちょっと持続力に自信が…。

素早さ: 女性の胸をもふもふしておいて逃げる速さは天下一品♪

知力 : わしの眼鏡はどこ行ったかのう…。

精神力: わしの活力の源泉は若い女性なんじゃ!


武術:  昔は本当に強かったんじゃがのう…。

光線技: ビームの魔術師と呼ばれとるんじゃ!!


【称号】 召喚勇者 巨大勇者 昔は『ザップマンの中のザップマン』と呼ばれておった

【特記事項】 N88星雲出身。宇宙警備隊元隊長。今もしばしば元職場に遊びに行き、女性隊員にセクハラをしては怒られている。



 なにこの鑑定結果は?!!変身前より悪化しているよね?!!



 『では、わしの無双ぶりをとくとご覧あれ!!』

 ザップマンじいちゃんが両手を前で十字みたいに組むとそこから閃光が放たれた。

 『ザップマンビーーーム!!!!』

 じいちゃんの放った光線は次々とゴメラを吹き飛ばしていく。


 『ザップマン光輪!!!』

 じいちゃんの手元に大量の光の輪っかが現れると、怪獣ノドンの編隊の方に飛んでいき、次々とノドンを真っ二つにして撃墜していった。

 じいちゃん、めっちゃ強ええし!!本家巨大ヒーローより強いよね?!


 しばし、無双していたじいちゃんは不意に力を失って、姿を消し…人間の姿に戻って大きく息をしていた。

 「…いかんのう…。わしも年を取って三分間しか変身が続かなくなってしもうた…。」

 三分の変身制限は年齢による衰えが原因なの?!


 「エミリーさん!そのでっかい胸でぱふぱふさせてもらえんか!元気が出てもう一回変身できるようになるかもしれん!」

 何その発言?!!と言いつつ、もうエミリーさんのお尻にしがみついているよ?!!!


 「無礼者!!何をする!!」

 副官のシャリーが団じいちゃんをエミリーさんから払いのける。まあ、当然だよね。

 「お姉さまのお尻は私のものよ!!」

 いやいやこの人なに言ってんの?!!!

 「二人とも馬鹿言っていないで、怪獣どもに対処するぞ!

 明日香が領都に防御結界を張ってくれているから、我々は怪獣の攻撃に専念しよう!」

 二人を払いのけて、エミリーが怪獣たちを見やっている。



 後ろの領都のまわりにはいかにもという感じの光のバリアーが全体に張られているようだ。

 それを見て、哪吒子も足下に光輪を出すと、ノドンたちに向かって飛び出していった。

 「乾坤圏!!!」

 哪吒子は大きくさせた真っ赤な輪っかをノドンどもに飛ばし、断続的に攻撃している。

 じいちゃんの光輪ほど大きくないので、一撃必殺とはいかないが、確実にノドンの数を減らしている。また、相手の超音波や体当たりも余裕で躱しており、武神の名に恥じない戦いぶりだ。


 ライピョンさんもゴメラ相手に肉弾戦で善戦している。全身に雷撃を纏い、確実にゴメラどもを仕留めていっている。


 エミリーは魔力で作り上げた風の精霊を纏わせた複数の巨竜をゴメラと戦わせている。

 ゴメラの火炎攻撃を風の鎧で躱しつつ、巨竜でゴメラにダメージを与えている。


 明日香は領都のバリアーに魔力を投入しつつ、エミリーさんの魔法にブーストを掛けている。

 アリーナ王女は我々に攻撃が来ないようにいくつもの守護魔法を重ね掛けしてくれている。



 そんな感じでノドンやゴメラの数が確実に減っていたのだが、いくつか大きな個体がライピョンさんの攻撃を受けても対してダメージがいっていないのに気付いた。


 「あれは、ゴメラ・ナイトとゴメラ・メイジか?!」

 エミリーさんが明日香のナビ画面を見ながら叫んでいる。

 いやいや、ゴブリンの中に強化個体がいるというファンタジーはよく見たけど、なんでゴメラにもそんなのが存在するの?!


 「三倍雷王拳!!!」

 ライピョンさんが叫ぶと、全身にまとった稲妻が強くなり、ゴメラ・ナイトを吹き飛ばしてしまった。

 ライピョンさん!某国民的アニメから技をぱくったらまずいですよ!!


 「今度はゴメラ・ロードがライピョンさんに?!」

 さらに一回り大きなゴメラがライピョンさんの前に現れて、ライピョンさんが苦戦している。


 「みんな、私に力を貸してくれ!!」

 ライピョンさんが俺たちに助けを求めている!!その展開もまずいよね?!!


 「わかった!ライピョンさん!!」

 エミリーさんが顔を輝かせて、ライピョンさんに強烈な魔力を注ぐと、ライピョンさんの纏っている輝きが数倍に膨れ上がった。


 「ライピョンZ見参!!」

 ライピョンさんが雷風のコスチュームを纏った姿になり、ポーズを取る。

 ライピョンさんからのオーラが数倍になっている感じだ。


 「真・空裂電磁砲!!!」

 最初の戦いの時にライピョンさんが放った技がどうやら大幅に強化されたようだ。

 雷撃を喰らったゴメラ・ロードはついにその巨大を地面に倒して横たわった。



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



 「ノドンどもの後はお前さんの乗っている大きい奴だけだよね。そろそろ覚悟したらどうだい♪」

 最後のノドンに乗っている怪獣王・マーリンを前に哪吒子が不敵に笑っている。


 「そうね。さすがにあなたたちを甘く見過ぎていたようね。では、今から私の本気を見せるわ!!

 メタモルフォーゼ!!」

 マーリンが叫ぶと、その体が金色の光を放つと急速に膨れ上がっていく。


 そのエネルギーの急速な増大に哪吒子が素早く距離を取ると、マーリンだったものは一際大きなノドンの大きさをも上回るくらい膨張していく。


 光が消えた後にいたのは、八つの首を持つ金色の巨竜だった。

 「ヤマタノキングヒドラ見参!!あなたたちを八つ裂きにしてくれるわ!!!」

 相変わらずマーリンの声で巨竜は叫んだ。



「宇宙災害怪獣ヤマタノキングヒドラ:、全長二四〇メートル、体重二万トン

 宇宙の災害とも言える凶悪な怪獣で、ゴメラすら単体では足下にも及ばず、ザップマンも見ただけで逃げていく凶悪な怪獣。口から謎の怪光線を放ち、魔法耐性・物理耐性もゴメラロード以上。」

 俺とアリーナ姫、エミリーはナビ画面を見て、絶句している。

 空にいるのは哪吒子とヤマタノキングヒドラ、巨大ノドンだけだけど、敵がそのオーラからしてもあまりにも凶悪なのだ。


 そして、地上ではライピョンさんはエミリーと明日香が作った巨竜と共に大活躍しているものの、まだまだ残っているゴメラの数は多い。

 とても哪吒子を支援できるような状況ではない。


  敵の凶悪なオーラを見た哪吒子は嬉しそうに高笑いを始めた。

 「いいねえ。実にいい!久しぶりに本気が出せて本当にうれしい!!」

 哪吒子のオーラが高まると同時に手が八本に増え、全ての手に大きな剣が握られている。


 「それくらいでないと切り刻み甲斐がないってもんだ!!行くぜ!!」

 哪吒子が猛スピードで突っ込んでいくと、巨大ノドンはあっという間にミンチに変わった。


 その光景を見て、俺とアリーナ姫、エミリーは別の意味で絶句している。

 そして、団じいちゃんとシャリーは……エミリーのお尻を巡って争っているんだけど?!

 君らこの非常時になにやってんの?!!



 「さあ、楽しくろうぜ♪」

 目に危険すぎる光をたたえて、哪吒子は嬉しそうに笑った。

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