七ノ罪 《剣の紋章》

 

 城に入ると大広間には一人の騎士が待っていた。所持する片手剣は腰の鞘に収め、其処に手を置いて立つ様は見るだけでも力の強さが伝わる程だ。どうやら彼こそが王の下につく、十の騎士の一人...らしい。

 ブラーズ達は彼によって、今回の選抜戦の目的やルール説明を受けた。


 まとめるとこうである。


 ~概要~

 この国で勢力を増してきているある闇組織を討滅する作戦。

 この説明は、選抜に出場する剣士にのみ聞かされる説明である。


 ~選抜人数~

 剣士…4名


 ~開始~

 明日の午後


 ~選抜戦のルール~


 ・選抜戦は四ブロックに分かれて戦い、各ブロックの勝者が選抜対象となる。

 ・選抜戦は城ではなく、帝都内にある闘技場にて行われる。

 ・本番を見越している為、『死』以外 のあらゆる禁止事項は無い。

 ・棄権するか、倒れる、試合を放棄するような沈黙行為 によって決着とする。



 ※※※※※※



 説明が終わると全員が、城の兵士によって腕に紋章を押された。

 紋章と言っても柄に龍の頭が描かれた、剣の紋章と至ってシンプルなものである。そしてこれが剣士として登録した証である。

 ブラーズはこれを押されると、長居をせずに城を出た。



 この国には大きく分けて三つの戦闘職が存在する。


 剣士。

 持ち前の肉体と剣を用いた近接攻撃を主とする戦闘スタイルの職である。

 生まれ持った才能はあまり関係なく、努力によって伸びる職の為か剣士の道を進む人は少なくない。



 魔法使い。

 自身の体内に存在する魔力『オド』を火、水、風、雷、土、聖、闇の各属性に変換し、外に放出する戦闘スタイルの職。魔力のみを攻撃方法とし肉体の力は関係なく、魔法の才能に開花した者だけが使える。

 その性質の為世界で魔法使いは少なく、才能が伸びれば重宝される存在となる。



 精霊士。

 魔法使いとは違い、空気中に漂っている魔力『マナ』を利用して精霊を使役する職だ。

 精霊士は各自一体以上の精霊と契約する必要があり、マナでその精霊の力を引き出し精霊が攻撃をするという戦闘スタイルだ。

 しかし精霊との契約を維持する為にはマナとは違ってオドを使用する為、魔法の才を持つ人がこの職になりやすい。

 使える力は精霊によって異なり、強い力を持つ精霊ほど貢ぐオドも増えていく。



 ブラーズには剣の他に、聖属性の魔法が使えた。だが聖属性の魔法の中でもサポート系の魔法しか習得していないため、剣士として参加する事にした。


 とは言えブラーズは王都や大きな街の出身では無く、剣士、と言う肩書きは無いのだが、そこは気にしない。




「...今日はさっさと帰って寝るか。」



 そう呟きながら宿に着くと、ルシフに帰った事を伝える為、彼女の部屋の扉をノックして開く。



「......おい、そいつは誰だよ」


「おおブラーズ、遅かったな。」



 そこには椅子に座り、昼食を食べているルシフと、ベッドに横たわっている、両手両足を鎖で縛られた少女がいた。


 ルシフが告げる。



「この子が、ベルの言ってた友人だよ。」



 ...一瞬でも誘拐事件の現場を目撃してしまった、と思ってしまった自分の頭を平手で突っ込んだ。

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