第25話 超電磁砲と書いてレールガンと読む
重装型のレノの魔装に対して、軽装にブーツ周りだけががっしりしているアンバランスな魔装のリマ。
「ブーツタイプの魔装具? 随分と珍しいな」
「僕達ナンバーズって、属性や性格に合わせて特注の魔装具を使ってる人が多いからね」
「つまりお前は蹴り技が得意という事か?」
「その通り! 僕は鈍い相手を圧倒的スピードで蹴りまくるのが好きなんだよ。こんな風にねっ!」
リマの魔装具が雷をまとい、瞬時にレノとの間合いを詰めて蹴りを繰り出す。
「ぐっ!」
その速度に反応出来ず、モロに腹で受けるレノ。
しかし重装型の鎧のおかげで、レノにダメージは無かった。
「話には聞いてたけど、かったいな〜。でも、そんな硬い鎧を蹴り砕くのもまた楽しいんだけど、ねっ!」
左足一本で体を支えつつ、右足で連続蹴りを放つリマ。
レノは反撃せず、ただただ防御に適していた。
「これだけ蹴ってもヒビひとつ入らないなんて、ホントに硬い鎧だな〜。だけどそうやって防御してるだけじゃ、何もしないで終わっちゃうよ? ああごめ〜ん。もしかして、僕の動きが速過ぎて反応できないのかな? あっ! それともドMだから、むしろ痛めつけられて喜んでるのかな?」
「喜ぶのはマナとセラにやられた時だけだ‼︎」
「ドMなのは否定しないんだ? はあ、こんな変態さんの相手やだな〜。さっさと終わらせて帰ろ」
「こんな弱い攻撃で終わらせられるのか⁉︎ 俺はカオスの猛攻すら耐え切った男だぞ⁉︎」
「ああ、そういえばそうだったね。あんたは防御力に関してだけは、BL隊1だったね。なら、こんなのはどう⁉︎」
そう言って距離を取ったリマが、腰の袋からパチンコ玉ぐらいの大きさの鉄製の玉を取り出す。
「チャージ!」
リマの体から発した電気が腕を伝わり、手の平に乗せている玉へ蓄電される。
その帯電した玉を、まるでテニスのサーブの様に軽く上に放り投げ、落ちて来た所を蹴り飛ばすリマ。
「ショット‼︎」
リマに蹴られた玉は、目にも留まらぬ速さでレノの体に
ぶち当たる。
「ぐはっ!」
鎧を破壊するまでには至らないが、玉の当たった箇所がかなりへこんでしまう。
「レールガンってやつさ。電気を帯びた玉を蹴りにより超光速で撃ちだしたんだ。威力は普通の蹴りの比じゃないよ。さあ、食らいなよ! ショットガン‼︎」
複数の玉を放り投げ、落下して来る玉を次々に蹴り飛ばして行くリマ。
その玉はまるで散弾銃のようにレノの全身に命中して行く。
「ぐうっ!」
装甲の無い顔の部分を両腕でガードしながら必死に攻撃に耐えるレノ。
「あんたのスピードじゃあそうやってガードするしかないよねぇ⁉︎ だけど、まだまだ終わらないよ〜‼︎」
一度飛ばして地面に落ちた玉を磁力で引き寄せ、再び撃ち出すリマ。
(なるほど。ああやって撃ち出した玉を再利用する事で、弾切れを起こす事無く撃てる訳か。まるでマナのエターナルマジックみたいだな。つまり、それだけ厄介な代物だという事。だが、再利用出来るというのなら!)
「ダイヤモンドウォール‼︎」
対物理用の盾を張った後、じわじわとリマに近付いて行くレノ。
「物理用の盾⁉︎ だけど、いつまで保つかな⁉︎」
リマに近付くにつれて、更に攻撃の速度が上がって行く。
「ホント、防御力だけは凄いね。さっきから間合いを詰めて来てるみたいだけど、近付いたからって僕のスピードに付いて来れないでしょ⁉︎ それに、またこうやって距離を取ってしまえばっ!」
レノと距離を取る為後ろに跳んだリマだったが、何か壁のような物に当たってしまう。
「何だ⁉︎ いつの間に囲われて⁉︎」
「バリアードーム。このドームに入った以上、もう逃げ場は無いぞ」
「ふ〜ん? 確かにこのドームを破るのは大変そうだけど。でも、あんたも中に入ってるじゃない? 逃げ場が無いのはむしろそっちじゃないの⁉︎」
「俺達の事を調べたと言っている割には、このドームの特性をカオスから何も聞いていないのか?」
「調べたって言ってもあくまで名前とか属性ぐらいだからね。使う技まで知っちゃったら戦いがつまらなくなるじゃない」
「なるほど。いわゆる戦闘狂という奴か。マナもそういう所があるから分からなくはないがな」
「へえ、そうなんだ? じゃあ、あんたを倒したらマナちゃんと戦いに行こ!」
「そんな事、この俺がやらせる訳ないだろう!」
「別にあんたの許可は求めてないから。最弱キャラさん」
「その最弱キャラに倒される貴様は、それ以下という事だ」
「フッ、あんたも結構言うよね」
一方、別の場所で対峙しているセラとノイン。
お互いに魔装した2人だったが、ノインの魔装を見たセラが驚愕していた。
「あなた……その魔装具は……」
何と、ノインの魔装もセラと同じく翼タイプであった。
「美しいでしょ? あなたの魔装に一目惚れして、急ぎ作らせたんですのよ」
「ぶう〜! この魔装は私が特注で作った物なのにぃ、ズルイですぅ! パクリですぅ! 著作権侵害ですぅ!」
「魔装具に著作権なんてありませんわ!」
「そして何よりぃ……」
宙に浮いているノインを、地上から恨めしそうに見上げるセラ。
「私は飛べないのに、何であなたは飛んでるんですかぁ⁉︎」
「この形状で飛べないあなたの方が不思議ですわっ!」
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