第66話 白ロリ対黒ロリ(おっさん対おばはん)

 いよいよ五国統一大武闘大会、決勝戦の日を迎える。

 闘技場にやって来たBL隊の面々が、決勝戦に出場するユーキにエールを送っていた。


「ユーキ! ここまで来たら絶対に優勝よ!」

「うん、頑張るよ!」

(何と言ってもこれに買ったらニテンドーウイッチをゲットできるんだもんね!)


「ユーキさん! ネムちゃんやパティさんを倒した相手なんですから、くれぐれも油断しないでくださいね!」

「分かってる。絶対に油断はしないよ」


「ユーキ君! 是非統一王になって、私達を導いてくれたまえ!」

「もう! 僕は王様になるつもりは無いんだってば〜」


「ユウちゃん! 多少のケガなら私が治しますけどぉ、死ぬのはダメですよぉ。死ぬのは物凄く痛いですからねぇ」

「ヒ◯ロ・ユイかっ!」


「ユーキ姉様! 最新鋭のゲーム機ゲットしたらネムにもやらせてね」

「うん、多人数プレイできるから、みんなで一緒に遊ぼ」


「マスターユーキ! 決勝戦はロロと合体して出るのです!」

「いやいや、もう2人共顔が割れてるからダメだってば」


「マナ! 優勝したら今度こそ俺と結婚しよう!」

「レノ兄ちゃんとの結婚の話は無効になったでしょ?」


「マナ王女‼︎ 統一国の王になった暁には、俺様を親衛隊長にしてくれ‼︎」

「だから〜、僕は優勝しても王様にはならないってば〜!」


 みんなからの激励を受け、気合いの入ったユーキが控え室へ入って行く。

 そしてユーキを見送ったメンバーは客席に向かう。

 闘技場では、各種前座試合が行われていた。


「ユーキさん、勝てるでしょうか?」

「勝ってもらわねば困る! ユーキ君ならば、必ずや統一国を良き方向に導いてくれるだろうからね」

「大丈夫! ユーキは勝つわよ! なんたってあたしは決勝を闘う2人、両方と闘った事があるんだから。そのあたしが言うんだから、間違いないわよ!」


「パティちゃんはその2人共に負けてますけどねぇ」

「セラ〜! あんたはひと言多いのよ〜!」


 両拳でセラのこめかみをグリグリするパティ。


「痛いぃ〜‼︎ 痛いですぅ〜‼︎ 頭に穴が空くレベルですぅ〜‼︎」


 セラがパティの制裁を受けていると、遂に決勝戦が開始される。

 実況者がいつものハイテンションではなく、落ち着いた静かな口調で語り始める。



「この世界は、東にヘルート大陸。西にノインツ大陸。北にノーヴェ大陸。そして南にこのフィルス大陸と、4つの大陸から成り立っています。その4大陸の中の五国。リーゼル。ヴェルン。シェーレ。グレール。トゥマール」


 徐々に声のボリュームが上がって行く実況。


「その五国を統べる統一王が、今夜決定します! 皆様、お待たせいたしました! ただ今より、五国統一大武闘大会‼︎ 決勝戦を行います‼︎」



 大歓声に包まれる闘技場。


「うおおおお〜‼︎ いよいよか〜‼︎」

「一体どっちが勝つんだ〜⁉︎」

「バカ! そんなのユーキちゃんに決まってんだろ〜⁉︎」

「そうだ! なんたってユーキちゃんは王国騎士団副団長のブレンを倒したし、団長のアイバーンを倒したトトにも勝ってるんだぞ⁉︎」


「だけどフィーちゃんは、ユーキちゃんに勝った事のあるパティ様を倒して決勝に来てるんだぞ⁉︎」

「じゃあフィーちゃんの方が強いって事か⁉︎」

「相性の問題だってあるんだ! そんなのやってみないと分かんないだろ〜⁉︎」


「何であたしは様付けなのよ⁉︎」


 観客の声に憤慨しているパティ。

 観客達の様々な予想が飛び交う中、まずはユーキが入場して来る。



「まずは、ありとあらゆる魔装と魔法を使いこなし、更に美少女とイケメン2つの顔を使い分ける! 双翼の天使! ユーキ選手の入場です‼︎」



「ユーキちゃ〜ん‼︎」

「絶対優勝して王様になって〜‼︎」

「そしたら俺、一生ユーキ様について行きます〜‼︎」


「だから、優勝しても王様にはならないってば〜」


 声援に反論しながら所定の位置につくユーキ。



「1回戦では王国騎士団副団長のブレン選手を破り、準決勝では、1回戦で王国騎士団団長のアイバーン選手に勝ったトト選手を破って、この決勝戦へと駒を進めましたユーキ選手! 見事この決勝戦も勝って優勝することができるでしょうか⁉︎」



「絶対勝つよ! 最新鋭のゲーム機の為にね!」


 未だ動機が不純なユーキであった。

 


「そして、そのユーキ選手と優勝を争うのは〜! 武器だけとはいえ、こちらも様々な魔装具を使いこなす! ゴスロリ死神! フィー選手の入場です‼︎」



「フィーちゃんかわいい〜‼︎」

「白ロリ対黒ロリだ〜!」

「どっちが勝ってもロリっ子王の誕生だ〜‼︎」


「残念でしたね……幼女なのは見た目だけですので……」


 ポツリと呟いて所定の位置につくフィー。



「1回戦では無敵のメイド様ロロちゃんとまさかの合体をしたネム選手を倒し、準決勝ではかつてベルクルの闘技場でユーキ選手に勝った事もあるパティ様を倒しての決勝進出です‼︎ 単純に見れば、ユーキ選手に勝った事のあるパティ様を倒したフィー選手の方が有利のように思えますが、勝負はやってみないと分かりません! さあ、このままフィー選手がユーキ選手をも破って優勝するのでしょうか⁉︎」



「だから! 何であたしだけ様付けなのよ⁉︎」

「んふふ〜、パティちゃんを怒らせるとぉ、そのまま死に繋がりますからねぇ」

「ふ〜ん、それが分かっててからかうあんたも、中々根性あるわよね⁉︎」


 セラの頭にアイアンクローを炸裂させるパティ。


「いい、痛いですぅ〜‼︎ 頭がどんどん加工されて行ってますぅ〜‼︎」



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