第63話 また衝撃の事実が〜!

 双方共に立ち上がり、再び対峙するパティとフィー。


「その若さでそれ程の強さ……全く、お嬢様の戦闘センスには驚かされます」

「そのあたしと互角に渡り合ってる幼女が、よく言うわよ!」

「もうお分かりとは思いますが、私は見た目通りの年齢ではありませんよ」

「まあ、あたしが子供の頃からずっと見てるっていうぐらいだから、そりゃああたしよりは年上なんでしょうけどね」


「実年齢をバラすと、また面倒な話になりますので控えますが……私と互角に闘えている事を称賛して、ひとつ私の秘密を教えてあげましょう」

「実年齢以外に何の秘密があるっていうのよ⁉︎」


「私の能力はネクロマンサーですが、この能力は中々にレアでして、大陸中探しても5人居るかどうかというぐらいなんです」

「それぐらい知ってるわよ! だからあたしもネクロマンサーと闘うのは初めてなんだから」


「そう。ですが、先程ユーキさんと闘っていたカオス。彼もまた、能力のタイプこそ違えどネクロマンサーである事は、お嬢様達も感じていたんでしょう? だからこそユーキさんは、カオスにマジックイレーズの結界を仕掛けようとした」


「そうよ! そしてユーキは見事に、トトの体に取り憑いたカオスの魂を追い出す事に成功したわ! だから何よ⁉︎ 確かに希少なネクロマンサーがこの大会に2人も出てたのは珍しい事だけど、別にあり得ない話じゃないわ!」


「確かに普通に考えれば、単なる偶然と思うでしょう。しかしカオスがこの大会に参加した目的は、ユーキさんの中に眠るアイリス様を目覚めさせる事。そして私とシャル様の目的は、そのカオスの蛮行を止める事」


「アイリス……さっきユーキの中に居た人よね? アイリスって一体何なの⁉︎ あなた達とカオスはどういう関係なのよ⁉︎」

「アイリス様の事はまたいずれ……でも、私とカオスの関係は教えてあげましょう。まあ、同じ闇属性のネクロマンサー同士。何となく予想はついてるかと思いますが……カオスは私の兄です!」


「兄⁉︎ え⁉︎ 兄妹⁉︎」


「そう。そしてお嬢様……いえ、パティ! あなたは私の……」

「あんたの……何よっ⁉︎」

「この先を知りたければ、課金してください」

「ソーシャルゲームかっ⁉︎ ふざけてんじゃないわよ‼︎ さっさと言えええ‼︎」


 再びフィーに攻撃を仕掛けるパティ。


「シャイニングブレード‼︎」


 杖から伸びた光の刃で、フィーに斬りつけるパティ。


「ダークネスブレード‼︎」


 パティと同じように、杖から伸ばした闇の刃で迎え撃つフィー。

 光と闇の刃で斬り結ぶ2人。



「ああっと! 先程までの打撃技の応酬から一転、今度はお互いが光と闇の剣を作り出し、激しい斬り合いが行われています‼︎」



 激しい攻防を繰り広げながら、パティに話しかけるフィー。


「私が闇属性だから光の刃を出したんでしょうが、元々あなたは光属性の魔法は苦手でしょう? だから治癒魔法も使えはするけど、あまり得意ではなかった」

「だったら何よ⁉︎」


「不思議に思った事はありませんか? シャル様が、何故あなたに闇属性の魔法だけを教えなかったのか?」

「あたしが清く美しい女の子だからよ!」

「自分で言ってて恥ずかしくないですか?」


「う、うるさいわね〜! あたしには闇魔法の才能が無いから、覚えなくてもいいって師匠が言ったのよ!」


「才能が無い? とんでもない! 逆に才能があり過ぎて、暴走する危険があったから教えなかったんです!」

「んなっ⁉︎ な、な、な……何を根拠にそんな事言ってるのよ⁉︎」


「身に覚えはある筈です。あなたは気持ちが高ぶった時……特に怒りに震えている時、無意識に強大な闇のオーラを発しているでしょう」

「あ、あれは……コメディの演出よ‼︎」

「違います」


 鍔迫り合いからお互い後方に飛んで、距離を取る2人。


「あなたは本来風属性などではなく、闇属性だからですよ!」

「だから! 何を根拠に言って……」

「何故ならパティ! あなたは私の娘だからです!」

「んなっ⁉︎」


 フィーの衝撃の発言により、驚きを隠せないパティ。


「な、何バカな事言ってるのよ⁉︎ そんなホラ話、あたしが信じる訳無いでしょ⁉︎」


 強気な発言をするパティであったが、明らかに動揺していた。


「そりゃあ、見た目は幻術でどうとでもなるけど、あんたさっき、自分はカオスの妹って言ったわよね⁉︎」

「そうです。だから私はあなたが産まれる前は、パラス王国で暮らしていました」


 うつむき加減で、怒りに震えながらブツブツと喋るパティ。


「その話が本当なら、カオスはあたしの叔父って事になる。だからリーゼルで戦った時、あたしを見逃そうとした? でもその叔父があたしの愛するユーキを2度も殺そうとした! そんな……そんな奴が……あ、あたしの身内だなんて……認めるかあああ‼︎」


 怒りが爆発したパティから、強大な魔力と共に黒いオーラが噴き上がる。



「何だあああっ⁉︎ 突如パティ選手から、恐ろしいまでの魔力が溢れ出したあああ‼︎ こ、これがパティ選手の本当の力なのかあああ⁉︎」



「な、何なんですかアイバーン様‼︎ あのパティさんの魔力は⁉︎」

「わ、私だってあんなパティ君は知らないさ! いや……以前にリーベンで四天王と戦った時に暴走した状態に似ているが、それでもここまで強大な魔力では無かった。これは最早、カオスやユーキ君にも匹敵する程の……」

「パティ、一体どうしちゃったの?」


 驚愕しているアイバーン達と、心配そうなユーキ。

 そして、ユーキ達より少し離れた場所で、顔面蒼白でパティを見ている子猫師匠。


(あのパティの怒りよう……まさかフィーの奴、秘密を喋ったニャ⁉︎ ま、マズイニャ! もしそうなら、パティは間違いなくあたしに報復に来るニャアア‼︎ ……よし、逃げる準備をしておくニャ!)





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