第53話 ちょっと依存し過ぎかニャ?

 一夜明けて、闘技場にやって来たBL隊。

 準決勝に残ったユーキとパティに、BL隊のメンバーからエールが送られる。


「頑張ってくださいね! ユーキさん! パティさん!」

「ユーキ君はくれぐれも気を付けてくれたまえ」

「マナ! もしも身の危険を感じたなら、試合など無視してすぐ逃げるんだ! いいな!」


 アイバーン達の激励に、笑顔で答えるユーキ。


「大丈夫だよ。もしもの時はみんなが守ってくれるんでしょ?」

「う、うむ……当然だ!」


 ユーキの笑顔に顔を赤くして答えるレノ。


「我が剣はマナ王女の為にある! 何も心配はいらないぞ!」


 ブレンが胸を張って宣言する。


「ブレン、貴様はいつの間にこちら側になったのだ⁉︎」

「確かに俺様は当初、グレールの代表としてこの大会に参加した。だが! マナ王女と闘い、その強さと優しさに触れて、俺様はマナ王女に惚れた! 一生お側に仕えると決めたのだ!」

「いや、チョロ過ぎるわ! 王国騎士団としての責務はどうした⁉︎」


「それはお前に言われたくないぞ⁉︎ アイバーン!」

「な、何を⁉︎」

「お前だってマナ王女にベタ惚れではないか!」

「わ、私は貴様のようにすぐ燃え上がった訳ではない! ユーキ君と共に旅を続けているうちに徐々にだな……」

「愛が爆発しそうな名前をしておいて何を言う⁉︎ 愛に時間等関係ないのだ!」

「貴様! 私の名を愚弄するかっ⁉︎」



 アイバーンとブレンの言い争いを無視して、激励を続けるBL隊。


「暑苦しい2人はぁ、熱が冷めるまでほっときましょぉ」

「そだね」

「パティ姉様、あのフィーって娘の能力、まだ謎だらけだから気を付けて……」

「大丈夫よ、ネム。あなた達の闘いぶりを見せてもらったから、大体の検討はついてるわ」

「うん、パティ姉様なら勝てると信じてる」


「むしろ心配なのはぁ、また暴走しちゃわないかって事ぐらいですぅ」

「あんな事は2度と無いわよ! ユーキを守るべきあたしが、逆にユーキを傷付けようとするなんて事はね」

「パティちゃん!」


 先程までにこやかだったセラが、急に真剣な顔つきになる。


「な、何よセラ⁉︎ 急に真面目な顔して?」

「相手が幼女だからって、食べちゃダメですよ⁉︎」


 すぐさまパティの鉄拳をくらうセラ。


「痛いですぅ! 体罰反対ですぅ!」

「まったくあんたは‼︎ 久々に真面目な顔したと思ったら!」

「自分で作ったシリアスな雰囲気に耐えられなかったんですぅ」


 怒りながら控え室に向かおうとするパティを呼び止めるセラ。


「ああ、待ってくださいぃ、パティちゃん!」

「何よ⁉︎ またぶっとばされたいの⁉︎」

「くれぐれもぉ、フィーちゃんの闇に飲まれないでくださいねぇ」


 ピクッとなるパティ。


「何⁉︎ あんた、まるで何かを知ってるような口ぶりね?」

「んふふ〜、ただの乙女の感ですよぉ」

「ホント、胡散臭い娘なんだから……」


 しばしセラを見つめていたパティだったが、クルッと振り返り再び控え室に向かって歩き出す。


「まあ、気をつけるわ! ユーキ! 行きましょ!」

「あ、うん! それじゃあみんな、行ってくるね!」


 手を振りながらパティの後をついて行くユーキ。


「ユーキさん、お気を付けて!」

「ユーキ姉様、頑張って!」


 控え室の前まで来たユーキとパティ。


「それじゃあユーキ! 決勝で会いましょ!」


 右拳を突き出すパティ。


「うん! お互い頑張ろ〜!」


 チョンと拳を合わせるユーキ。



 ユーキ達を見送った後、客席につくBL隊。

 それから、幾つかの前座試合やイベントが行われた後、いよいよトーナメントの準決勝が開始される。



「さあ皆様! 大変お待たせ致しました! ただ今より、五国統一大武闘大会トーナメント準決勝を行ないます‼︎」



「始まりましたね」

「皆、いつでも飛び出せるように準備しておいてくれ」

「マナ王女は必ず俺様が守る!」

「いや、守りに関しては俺に任せろ!」



「まずは準決勝第1試合! 超絶美少女と超絶イケメンの2つの顔を併せ持つ、双翼の天使ユーキ選手の入場です‼︎」


 1回戦の時よりも、更に大きな声援に迎えられながら入場して来るユーキ。


「ユーキちゃ〜ん‼︎ 今日もかわいい〜‼︎」

「一応自覚してる」


「またヤマト様に変身して〜!」

「それは状況次第」


「付き合ってる人居るの〜⁉︎」

「どつき合ってる人なら居る」


 声援に対してつぶやきながら、所定の位置につくユーキ。


「1回戦では王国騎士団副団長のブレン選手を破って上がってまいりましたユーキ選手! 今日も多彩な魔装を見せてくれるのでしょうか⁉︎」


「魔力切れの心配が無くなったからね。遠慮無く行くよ〜」



「変わりまして、トト選手の入場です‼︎」


 アイバーンを倒した事もあり、少し声援が大きくなったトト。


「頑張れよ坊主‼︎」

「将来有望だぞ〜‼︎」

「また大金星狙え〜‼︎」


「まだ大金星とか思われてるなんて、心外だな〜」


 不服そうな顔をしながらトトが入場して来る。


「1回戦では何と、王国騎士団最強の団長アイバーン選手を破っての準決勝進出となりましたトト選手! この試合で、またしても大金星なるか〜⁉︎」


「だから〜、大金星じゃなくて当然の結果なんだってば〜!」


 そして問題の、ユーキVSトトの試合が開始される。

 2人の試合を、控え室ではなく闘技場の端で見ているフィーと、未だキティちゃんバージョンの子猫師匠。


「フィー! もしもあいつが怪しい動きをしたら、すぐに止めに入るニャ!」

「大丈夫です。今1番怪しいのはシャル様ですから」

「フィー⁉︎ 誰が怪しいって⁉︎」

「いいえ、あやとりの技を極めたいって言ったんです」

「の◯太君⁉︎」



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