第49話 年代や好みによって答えが変わるや〜つ

 ネムとロロを威嚇した後、改めてキティと向き合うパティ。


(魔装具タイプは全く同じ……でも魔装具ランクはあたしの方が上みたいね。さあ、あとはどちらの魔力が上か、試してあげるわ!)


「ウインドカッター‼︎」


 パティより放たれた風の刃が、キティ目がけて飛んで行く。


「ウインドカッター‼︎」


 パティと同じ魔法を放つキティ。

 両者の放った風の刃がぶつかり合い消滅する。


「相殺された⁉︎ なるほど、魔力は互角って訳⁉︎ なら引き出しはどうかしら⁉︎ ウインドカッター‼︎ ファイアーボール‼︎ サンダーアロー‼︎」


 3種類の属性魔法を一度に放つパティ。


「ウインドカッター‼︎ ファイアーボール‼︎ サンダーアロー‼︎」


 またしても同じ魔法を放ち相殺させるキティ。


「なんですって⁉︎」


「ああーっと凄い‼︎ 風、炎、雷の3属性の魔法を一度に放ったパティ選手も凄いが、全く同じ魔法で相殺したキティ選手も凄い〜‼︎」


「ふむ……相変わらず器用だな、パティ君は」

「ええ、でもキティさんも負けてませんよ。複数の属性魔法を使える人は珍しいというのに」

「え⁉︎ そうなの?」


 メルクの言葉に反応するユーキ。


「ええそうですよ。普通はみんな1つの属性を極めようとするものですからね。現に僕達だって属性がハッキリしてるでしょ?」

「ああ、確かに。でも僕は昔からどの属性魔法でも使えてたような……」


「ユーキ君やパティ君みたいな万能な娘はまれなのだよ。持って生まれた才能、というかセンスというか」

「んふふ〜、そりゃあ誰だって複数の属性魔法を使えた方がいいとは思ってますぅ、でも分かっててもそう簡単にはできないもんなんですよぉ、普通の人にはねぇ」

「そうなんだ? どうも僕は殆どリーゼルから出た事が無いから、世間一般の常識に疎いんだよな〜」



(風、炎、雷、全部相殺された⁉︎ でも、まだネタ切れじゃないわよ。今までのは、その属性なら誰でも使えて当然の基本的な魔法)


「なら、これならどう⁉︎ ホーミングアローズ‼︎」


 パティの周りに3本の光の矢が現れる。


「フライ‼︎」


 アローズを引き連れて、空高く舞い上がるパティ。


「ホーミングアローズはあたしが考えたオリジナル技! 真似できるものならやってみなさい‼︎」


 パティの様子を地上からじっと眺めているキティ。


「フフッ、ホーミングアローズ‼︎ フライ‼︎」


 パティと同じようにアローズを引き連れて飛行するキティ。


「何ですって⁉︎」


「ああーっとお‼︎ パティ選手がお得意のアローズを出しましたが、何とまたしてもキティ選手、同じ魔法で対抗します‼︎」


「ええ⁉︎ アローズってパティさんが考えたオリジナル技ですよね? どうしてキティさんが?」

「ふむ……もしかすると、ユーキ君と同じように相手の技をコピー出来る能力なのかもしれないな」

「でもそうなるとキティさんって、光属性の魔法も使えるって事ですよね」

(んふふ〜、まあ当然っちゃあ当然なんですけどねぇ)


 お互いにアローズを引き連れながら、空を旋回しているパティとキティ。


「アクセル‼︎」


 更に加速をかけるパティ。


「アクセル‼︎」


 同じく加速するキティ。


(あの娘も加速した⁉︎ ただ単純にあたしの動きを真似てるだけとも取れるけど……)


 大きく旋回してからキティに向かって飛ぶパティ。

 迎え撃つように、パティの正面から向かって来るキティ。


「受けてみなさい! アローズ、ひとつ!」


 キティの目前で急停止してクルリと宙返りしたパティの下を飛行して行くアローズ。


「ひとつ!」


 同じく宙返りしたキティの下を通過したアローズが、パティのアローズとぶち当たり、お互いに消滅する。

 続けて2本目3本目と放つが、全て相殺されてしまう。


「な⁉︎ ま、まさか⁉︎」


 驚きの表情のパティと、得意げな顔のキティ。


「大きく空中を旋回した後、お互いにアローズを放ちましたが、またしても全て相殺してしまった〜‼︎」



(3本とも全て相殺された? それはつまり、加速度も全く同じだったっていう事。この娘、ユーキと同じように相手の能力をコピー出来るっていうの? いやでも、確かに以前ユーキもアローズを真似して使った事があるけど、あの時はアローズの特性を知らずにただ形を真似しただけだったから、初めは旨く使いこなせてなかった……普通はそうなのよ! 見ただけで真似出来たとしても、特性までは分からない筈なのよ! なのにこの娘はまるで初めから知っていたかのように使って……ま、まさか⁉︎)


 スウっと地上に降り立つパティ。

 追いかけるように降り立つキティ。


「あんた、子供なのに中々やるじゃない!」


 腰に手を当てて、キティを褒めるパティ。


「お褒めに預かり光栄だわ! だけど、見た目が子供だからって上から目線はどうなのかしら⁉︎」

「見た目? 幻術で誤魔化してるって事? あんた実はおっさん⁉︎」

「おっさんじゃないわよ‼︎」

「じゃあおばあさん⁉︎」

「いきなり老けた⁉︎」


「じゃあ何か獣耳が付いてるから……豚⁉︎」

「猫の耳よ!」


「タテガミヤマアラシ!」

「初めて聞いたわよ、そんな名前」


「ジャンガリアン・ハムスター!」

「かわいいけど、猫にはかなわないわね」


「タカアシガニ!」

「海に行っちゃった⁉︎」


「ニシイワトビペンギン! あ、んが付いちゃった!」

「いや、しりとりじゃないニャ!」


 キティの言葉に表情が変わるパティ。


「……ニャ?」

「あ! いや、今のは……」

「あたし、実は予選の時から何か変だな〜とは思ってたのよね」

「へ、変とは何よ?」

「あなた、予選のクイズ大会の最終問題……あんなマニアックな問題、よく答えられたわよね?」

「ギクッ!」

「あんな問題、中々普通の人では答えられないわよね〜? 余程のファンかオタクでもない限り」

「た、たまたま知ってただけよ! たまたま」


「たまたまね〜? 実はあたしのよ〜っく知ってる人も凄いアニメ好きなのよ。特にガ◯ダムシリーズがね?」

「へ、へえ〜、そうなんだ?」


 目線を逸らすキティ。


「ねえあなた! ちょっと質問してもいい?」

「な、何よ⁉︎」


「あむろといえば⁉︎」

「アムロ・◯イに決まってるじゃない」


「ボールといえば⁉︎」

「RBー79ボールね」


「木馬といえば⁉︎」

「ホ◯イトベース以外に何があるっていうのよ!」


「やっぱり猫師匠おおっ‼︎‼︎」

「フニャアア‼︎ つい真面目に答えてしまったニャアアア‼︎」




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