第37話 やっぱり好きな人には愛称で呼ばれたいよね
本戦トーナメントの当日、闘技場にやって来たBL隊。
控え室へ向かうユーキ達を激励するセラ達。
「みなさん! 頑張ってくださいね!」
「全員で1回戦突破出来る事を祈っている!」
「間違ってもみんなでコケないでくださいねぇ」
「またあんたはそういう事言う」
「そうならないよう、頑張るさ」
「絶対勝つ!」
「僕は負けられないんだ! ゲーム機の為に!」
「結婚を阻止する為じゃないんですね⁉︎」
「それもある!」
ユーキ達を見送った後、客席につくセラ達。
「いよいよ本戦ですね。みなさん、勝ち残れるでしょうか?」
「私の見立てではぁ、ユウちゃんは多分心配いらないと思いますぅ。でもぉ、他の3人は正直言って危ないかもですぅ」
「まさか⁉︎ アイバーン様があんな子供に負けるって言うんですか?」
「年齢で言うならぁ、ネムちゃんだってあの歳で既に反則級の能力を持ってますからねぇ。歳だけで人の強さは測れないですよぉ」
「そ、それはそうですが……」
「昨日も言いましたが、ブーちゃん以外の3人からはぁ、何か得体の知れない力を感じるんですぅ」
「ブーちゃん? ブレン様の事ですか? ブレン様の強さはアイバーン様に匹敵するというのに、他の3人はそれ以上って言うんですか?」
「単純にそうとも言い切れないが、只者でない連中だという事は確かだろう」
「みなさん……どうかお気を付けて……」
しばらくした後、ついに本戦トーナメントが開始される。
「さあ皆様‼︎ 大変お待たせ致しました‼︎ ただ今より、五国統一大武闘大会! 本戦トーナメントを開始致します‼︎」
「始まった!」
「まずは1回戦第1試合Aの枠、ユーキ選手の入場です‼︎」
大歓声を浴びながら、ユーキが入場して来る。
「ユーキちゃ〜ん‼︎ 頑張れ〜‼︎」
「絶対優勝だぞ〜‼︎」
「結婚なんかしないで〜‼︎」
「誰にも負けるな〜‼︎」
「姫様〜‼︎」
「ユーキさん‼︎ 頑張ってください‼︎」
「あれぇ? メルちゃんは王国騎士団なのに、ブーちゃんを応援しなくていいんですかぁ?」
「うぐっ!」
セラの言葉に一瞬戸惑うメルクだったが。
「た、確かに僕は王国騎士団に所属してますが、直属の上司はアイバーン様ですから、副団長だからといって、応援する義務は無いんです」
「なるほどぉ、じゃあユウちゃんとアイちゃんが共に勝ち残ったら、2回戦で闘う事になりますがぁ、その場合メルちゃんはどっちを応援するんですかねぇ?」
「うう〜、イジメないでくださいよ〜、セラさ〜ん」
「大歓声を浴びながら入場してまいりましたユーキ選手! その正体がリーゼル国のマナ・フリード王女である事は周知の事実ですが、この大会への登録名がユーキ・ヤマトとなっている為、私もユーキ選手と呼ばせて頂いています!」
「アニメの世界じゃ偽名を名乗るのは常識よね」
控え室にあるモニターを見ながら呟くパティ。
「そして今大会、何とユーキ選手が負けると、その相手と結婚をしなければいけないという、よく分からない理不尽なルールが発生しています!」
「ホント理不尽だよ!」
ふてくされているユーキ。
「先の予選試合において、既にアイバーン選手とブレン選手の2名がユーキちゃんと結婚出来る権利を獲得しています! 権利を取り返すには、その2名を倒さなければなりません! まずはブレン選手を倒して、見事結婚の権利を取り返せるか〜⁉︎」
「絶対取り返す! そして、まずはゲーム機1台目ゲットする!」
「さあ、続きまして! ユーキちゃんと結婚できる権利を所持しています、ブレン選手の入場です‼︎」
ユーキに負けじと、ブレンも大歓声を浴びながら入場して来る。
「ブレン様〜‼︎」
「頑張ってブレン様〜‼︎ でもユーキちゃんが結婚するのはイヤだ〜‼︎」
「負けないでブレン様〜‼︎ でもユーキちゃんを取られるのはイヤだから、やっぱり負けてくださ〜い‼︎」
「いや、どっちの味方だ‼︎」
「反対側からブレン選手が入場してまいりました! 王国騎士団副団長ではありますが、その実力は団長のアイバーン選手と互角と言われていますブレン選手!」
「だから、互角ではないと言っているだろう!」
控え室で文句を言うアイバーン。
「現在、ユーキちゃんと結婚できる権利を持っている為、応援の声半分、妬みの声半分といった所でしょうか⁉︎」
「必ず優勝して、そのままユーキちゃんと結婚してやるぜ‼︎」
「本戦トーナメントの試合は、全て時間無制限、場外負け無しの、完全決着制となっております。つまり勝敗を決するのは、KO、ギブアップ、またはレフェリーストップのみとなります! 勿論これは試合ですので、相手を殺すような危険な行為は禁止とさせていただきます!」
「当然! 殺し合いなんて楽しくないよ!」
「それでは、1回戦第1試合……始め‼︎」
「負けるなユーキちゃん‼︎ でもケガはしないで〜‼︎」
「ブレン様頑張って〜‼︎ でもユーキちゃんをケガさせたらダメですからね〜‼︎」
「どうもさっきから声援が偏っているような気がするんだが……まあいい! さあ、マナ王女‼︎ 予選の時に少々手合わせはしたが、あれが俺様の本気では無いからな! 油断するなよ⁉︎」
「大丈夫だよ、メル君にも言われたし。あんたはアイ君と同じぐらいの強さなんでしょ? だったら絶対に油断なんかしないよ!」
だが、ユーキの言葉を聞いたブレンが、何故か腕組みをして怪訝な顔をしている。
「ん? 君、どうしたのさ? 試合始まってるよ?」
「いや、予選の時から気にはなっていたんだが……アイ君というのはアイバーンの事だよな?」
「そだね」
「では、メル君というのはメルクの事か……」
「そうだけど、それがどうかしたの?」
「それ……いいな!」
「はい?」
「あんたとか君ではなくて、俺様の事もそういう風に呼んでもらえないだろうか⁉︎」
「ええ⁉︎ いやまあ、それは別にいいんだけど……試合中に……」
「頼む‼︎ それが気になって試合に集中出来ないんだ‼︎」
「ええ〜⁉︎ わ、分かったよ。じゃあブレン君?」
「う〜ん、できれば2文字の方が語呂がいいな!」
「2文字? じゃあブー君?」
「絶対アイバーンとかに、ブーの丸焼きとか言ってからかわれる!」
「もう! それじゃあ……レン君! でどう⁉︎」
「レン君⁉︎ レン君……うん! いいな、それ! 気に入ったぞ〜‼︎」
「そ、そう? それは良かった……」
(アイ君も似たような事言ってたけど、王国騎士団の団長と副団長がこんなって……ホント、大丈夫なのか? この国……)
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