第35話 さあ、お遊びはここまでだ
筆記試験の時の二の舞にならないよう、必死にテンションを上げて進行する実況者。
「さあ、現在3問が終わった所でそれぞれが1問ずつ正解の大接戦となっております! それでは第4問! 映画やアニメを記録する媒体のDVDとは、何の略⁉︎」
ピンポン!
「ハイ、キティ選手!」
「デジタルヴァーサタイルディスク!」
「正解です‼︎ よくデジタルビデオディスクと勘違いされている方がいらっしゃいますが、正確にはデジタルヴァーサタイルディスクです! キティ選手、よく知っていたー‼︎」
「当然よ! それぐらい知らなくてアニメファンは名乗れないわ!」
「さあこれで、キティ選手が王手をかけました! 後の2人は阻止できるのか⁉︎ 5問目です! トウモロコシに無数にあるヒゲは、何の為にある⁉︎」
ピンポン!
「ハイ、セラ選手!」
「受粉をする際にぃ、花粉を受け止める為ですぅ」
「正解‼︎ セラ選手も王手をかけました! 次の問題で決まるのか⁉︎ 第6問! 強化魔法を使わない場合、人体で最も硬い部分はどこ⁉︎」
ピンポン!
「ハイ、ノーム選手!」
「歯ですね」
「正解‼︎ 何と、またしても3選手が全て2問正解で並びました! はたしてこの試合、一体誰が勝利するのかー⁉︎」
「パティ君の場合は拳が1番硬そうだね」
「ふ〜ん、試してみる? アイ君」
「いや、遠慮しておくよ。セラ君の試合を見届けたいのでね」
メルクの影に隠れながら震えているアイバーン。
「僕を隠れ蓑にするのはやめて下さいアイバーン様。
僕もとばっちりを受けますので……」
「さあ、3選手共に王手をかけています! 泣いても笑っても次が最後の問題です!」
(食べ物関係ならいいんですけどねぇ)
(アニメ関係来い! アニメ関係来い!)
(負けられない! 四天王の名を世に知らしめる為にも!)
「最終問題‼︎ 大人気アニメシリーズのガ◯ダム、ファーストガ◯ダムから今現在の最新作オルフ◯ンズまで、OVAシリーズや劇場版を除き、テレビシリーズとして制作放映されたのは全何作⁉︎ ただし、第1期第2期と分けて放映された作品は同一作品とします!」
(来たああ! ええっとお、ファースト、Z、ZZ……あ、ビ◯ドファイターズも入れていいのよね?)
頭の中で数えるキティと、絶望的表情を浮かべるセラとノーム。
(そんなの、ユウちゃんやパティちゃんじゃあるまいし、分かんないですよぉ)
(ガ◯ダム? 確かビスト達が好きだっていう。ひとつだけじゃなかったんですね……)
「16だよね?」
「ええ、16ね」
「16だね」
いち早く答えを出すユーキとパティと三兄妹。
「早っ⁉︎ みなさんよく分かりますね?」
「こんなの、常識問題じゃないの」
「だよね〜」
「だね」
「いや、一般の人には分かりませんから……」
少し遅れて数え終わるキティ。
(ビ◯ドファイターズトライ、オルフ◯ンズ、よし!)
ピンポン!
ようやく数え終わり、解答ボタンを押そうとしたキティより一瞬早くボタンを押すセラ。
(え⁉︎ まさか⁉︎)
慌てた顔でセラを見るキティ。
「ハイ、セラ選手!」
「15⁉︎」
「……おしい! 残念‼︎ 不正解です! 解答権が他の選手に移ります!」
(ぶう〜、分からないから当てずっぽうで言ってみましたがぁ、やっぱりダメでしたねぇ)
(あ、危っ!)
ピンポン!
一瞬驚きの表情を見せたキティが、改めて解答ボタンを押す。
「ハイ、キティ選手!」
「16でしょ!」
「……正解です‼︎ キティ選手3問正解! これにより、Hグループの決勝進出者はキティ選手に決まりましたー‼︎」
(意外といいとこ行ってたんですねぇ、ビックリですぅ)
「ああ〜、セラさん惜しかったですね〜」
「数え間違えたのかな?」
「いや、おそらくは適当に言ったのではないか?」
「何で⁉︎ 落ち着いて数えれば誰でも分かる問題なのに?」
「いや、誰でもは分からないと思うが……」
「さあ! ついに本戦トーナメント出場選手が、全て決定いたしました! それでは、改めて8人の戦士を紹介させていただきます! 皆様、モニターをご覧ください!」
巨大モニターに本戦トーナメント出場選手が移し出される。
「まずはAの枠。今大会1の注目選手! みんなのアイドル、マジカル天使ユーキちゃん‼︎」
「アイドルゆ〜な!」
「続いてBの枠。この世に燃やせぬ物はなし! 王国騎士団副団長、ブレン‼︎」
「ついでに自分も燃えてしまえばいいのに」
「アイバーン様酷い……」
「Cの枠。その甘いマスクと肉体美に魅了された女性は数知れず! 王国騎士団団長、アイバーン‼︎」
「中身は露出狂の、ど変態だけどね」
「ありがとう、パティ君!」
「別に褒めてないわよ!」
「Dの枠は、小さい体ながらも驚異的なスタミナを見せました、トト選手‼︎」
「小さいは余計だよ」
「Eの枠。無敵のメイド型召喚獣ロロちゃんを従える! 銀の妖精、ネムちゃん‼︎」
「何だかロロの方が注目されてる……」
「き、気のせいなのです!」
「Fの枠。予選は筆記試験だった為、未だその戦闘力は未知数! 大人の雰囲気を漂わせる少女、フィーちゃん‼︎」
「ただ人見知りなだけ……」
「G枠。この人を怒らせたら命が幾つあっても足りません! 漆黒の悪魔、パティさん‼︎」
「何であたしだけ、さん付けなのよ⁉︎」
「そして、たった今決まりました最後のH枠は、これまた戦闘力は未知数! 名前の通り、正に子猫を思わせる、キティちゃん‼︎」
「頑張るニャン!」
「以上の8名により、決勝トーナメントが行われますが、何と! 王国騎士団の2人を除いたら、他は全て10代の少年少女という驚きの結果となりました!」
「んふふ〜、何名かは怪しい人が混ざってますけどね〜」
何やら意味深な発言をするセラ。
「決勝トーナメントは2日後の正午開始予定です! 皆様、熱く激しい闘いを、どうぞご期待ください‼︎」
実況者の発言に文句を言うユーキ達。
「いや、変にハードル上げないでよね」
「まあ、本戦は純粋なバトルだから、筆記試験の時みたいにシラケる事は無いわよ」
「盛り上げて、いっぱいお客さんに来てもらわなきゃ」
「凄いやる気だね⁉︎ ネム」
「分け前を増やす為に!」
「うん、あの頃の純粋だったネムはもう居ないんだね……」
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