第31話 有名人のインタビュー、みたいな
「今日の所はこれぐらいにしといてやらぁ、覚えてろ‼︎」
「出たー‼︎ 定番のセリフニャ‼︎」
「やーいやーい負け惜しみー‼︎」
「やめないかっ‼︎」
尚も挑発する猫師匠とパティの2人を叱るアイバーン。
「チッ! ああ、ところで猫!」
飛び去ろうと浮かび上がったカオスが空中で静止して、猫師匠に質問する。
「何ニャ? 負け犬!」
「いい加減にしろよ、テメエ! いや、今はいい……そのパティとかいうガキはお前の弟子なんだよな?」
「そうニャ! あっ! 欲しいって言ってもやらないニャ! こんなバカ弟子でも、あたしが子供の頃から我が子のように大切に育てた娘ニャ!」
「師匠……」
猫師匠の思わぬ暖かい言葉に、頬が赤くなるパティ。
「でも、焼肉食べ放題に連れて行ってくれるなら、考えてもいいニャ!」
「オイッ‼︎ あたしの価値はその程度かー‼︎」
「高えよ!」
「高いって言ったー⁉︎」
「てか、猫のくせに焼肉かよ⁉︎ そもそもいらねえし!」
「いらない言われたー‼︎」
「そのガキ……どう見ても闇属性の方が向いてると思うが、何で闇魔法だけ教えなかった?」
「こんな純真無垢なあたしが、闇魔法なんて教えられる訳ないニャ」
「どこがよっ! この性悪猫‼︎」
「パティさん、大忙しですねー」
「ツッコミ担当のユーキ君が居ないからな……」
「真面目な話、パティに闇魔法なんて使わせられないニャ」
「ああん⁉︎ それってどういう……」
「何故あたしがパティを引き取る事になったか……お前になら分かる筈ニャ!」
「はあ? 何言って……」
ハッと何かに気付いたカオス。
「フッ! ハッ、ハハハハハ‼︎ ああ、そういう事かよ‼︎ なるほどな、どおりで俺好みのオーラを出す筈だ‼︎」
「え⁉︎ 何? ねえっ! 何の話よ⁉︎」
「それで猫! あいつは元気にやってんのか?」
「ああ、元気過ぎてひと月ほど前からどこかへ出かけたっきり帰って来ないニャ!」
「フッ、あいつらしいな……元気ならいいさ……じゃあ、スッキリした所で俺は帰るぜ!」
「ちょっとー‼︎ 説明しなさいよー‼︎」
怒るパティの顔を、何故かじっと見ているカオス。
「な、なによ⁉︎ やっぱり戦う気になったの⁉︎」
(フッ、言われてみれば色々似てやがる……)
「ああーっ! 今笑ったわねー⁉︎ 相手してやるから降りて来なさーい‼︎」
「猫‼︎ 次に会うときまで、俺といい戦いが出来るように、パティを鍛えとけよ! じゃあな‼︎」
そう言い残して飛び去って行くカオス。
「待ちなさいよコラー‼︎ ちゃんと説明して行けー‼︎」
(行ったかニャ? このまま大人しく帰ってくれればいいんだけどニャ……)
不安を隠せない猫師匠に、パティがにじり寄ってくる。
「お〜し〜え〜ろ〜」
「フニャア‼︎ パティ⁉︎ め、目が怖いニャアア‼︎」
「教えろー‼︎」
猫師匠に飛びかかるパティ。
「ニャアア‼︎ お、落ち着くニャ、パティ‼︎ あ、後でちゃんと説明するニャアア‼︎」
「後後っていつだああ⁉︎ 今すぐ教えろおおお‼︎」
「ニャアア‼︎ 噛み付くニャアア‼︎」
その様子をスルーして去って行く国王達。
「さあっ! 何はともあれ、戦いは終わったんだ! 城に、マナちゃんの元に帰るとするか⁉︎」
「そうですね、あなた! 経緯はどうあれカオスを相手にして1人も犠牲者が出なかった事は幸いでした」
「あたしが今、犠牲になりそうニャアア‼︎ た〜す〜け〜て〜ニャアアア‼︎」
すっかり静かになった戦場に、猫師匠の悲鳴だけがこだまする。
リーゼル城のユーキ達に、パラス軍撤退の報が伝えられる。
「ホントに⁉︎ 良かった……僕達勝ったんだ⁉︎ 僕は何もしてないけど……」
「そんな事ないですよぉ、ユウちゃんは一生懸命負傷者の治療をしてたじゃないですかぁ、本当に役立たずだったのはレノだけですぅ」
「し、仕方ないだろう! 状況が状況だったんだから!」
「パラス軍を追撃なさいますか? マナ様‼︎」
「え⁉︎ 僕が指示するの?」
「現在マルス国王、レナ王妃の両陛下が城におられない為、マナ王女にその権限が有ると思われます‼︎」
「ええ〜⁉︎ じ、じゃあ……追撃はしない! 帰るっていうなら帰らせてあげよう! みんなにも手出ししないように伝えて! それよりも負傷者の収容を急いで! 動かせない人が居たらこっちから治療しに行くから!」
「ハッ‼︎ 了解しました‼︎」
「僕も治療しに行くよ! セラも手伝ってくれる?」
「勿論ですぅ!」
「ネムも手伝う……」
「ロロも負傷者を運ぶのです! 運送屋ロロなのです!」
「ありがと! みんなお願いね‼︎」
「お、俺も行く!」
「もう戦いは終わったんですからぁ、レノの出番はありませんよぉ?」
「ど、どこにパラス兵の残党が潜んでいるかも分からないだろう⁉︎ マナのボディガードとして行く‼︎」
「ありがと、レノ! じゃあお願いするよ!」
「お、おう! 任せろ、マナ‼︎」
負傷者を治療する為に、城を飛び出して行くユーキ達。
そして、その様子を空からじっと見つめている人影があった。
早速見つけた負傷者を治療するユーキ達。
「セラはそっちの人をお願い‼︎」
「了解ですぅ!」
「大丈夫! しっかりして‼︎」
「え⁉︎ ひ、姫様⁉︎ 何故姫様がこんな戦場に⁉︎ ここは危険です‼︎ は、早く城にお戻りください‼︎」
「大丈夫だよ……戦いはもう終わったから……」
「え⁉︎ 終わった……? ハッ! で、では戦況はどうなったのですか⁉︎ 我々は?」
「大丈夫、勝ったよ……みんなが頑張ってくれたおかげだよ……ありがとね……」
ユーキの優しい笑顔に、ようやく緊張の糸が切れて安堵する兵士。
「そう、ですか……良かった……ホントに良かった……今度こそ姫様をお守りできた……」
「うん……だから今はゆっくり休んでね……」
治療を終え、容態の落ち着いた兵士をネムとロロに託し、別の負傷者の治療に向かうユーキ。
「ええ⁉︎ マナ王女様⁉︎ な、何故マナ様がこんな所に? 後方とはいえ、王女様がこんな所に居てはいけません‼︎」
「大丈夫だよ! もう戦いは終わったから!」
「ええ⁉︎ で、では私達は勝ったのですか? それとも?」
「うん、大丈夫! 勝ったよ!」
「そ、そうですか……良かった……」
また違う負傷兵でも。
「ひ、姫様⁉︎ 何故姫様がこんな戦場に⁉︎」
「大丈夫! もう戦いは……」
(ええ〜! もしかして、毎回このやり取りして行かないといけないの〜?)
セラに比べて、ほとんど治療の進んでいないユーキであった。
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