第11話 新キャラ多過ぎて訳分かんない

 トゥマールの玉座の間で、国王と何やら相談しているアイバーン。


「なるほど……しかしリーゼルの国民、何よりユーキ君が納得するでしょうか?」

「だが、納得してもらわねば、リーゼルはこれからもパラスの脅威に怯える事になる」

「それは……そうなんですが……」


 アイバーンと国王が相談をしていると、何やら非常に騒がしい男が入って来る。


「国王ー‼︎ 王国騎士団、ブレン・プロージュ只今戻りましたー‼︎」

「ゲッ⁉︎ よりにもよって、1番めんどくさい奴が……」


 部屋に入って来たブレンが、アイバーンとメルクの存在に気付く。


「オォォォォ‼︎ アイバーンじゃないかぁぁぁ‼︎ 久しぶりだなぁ、我がライバルよー‼︎ メルクも元気そうで何よりだー‼︎」

「お、お久しぶりです、ブレン様」

「相変わらずやかましい男だな、貴様は! もっと静かに喋れないのかね⁉︎」


「ハハハァ‼︎ いやー、スマンスマン‼︎ 久しぶりにお前に会えて嬉しくてなぁ‼︎ ワハハハハァ‼︎」

「私は一気に気が滅入ったよ!」


「ブレンよ、長旅ご苦労じゃった! して、候補者は見つかったのか?」

「ああっ‼︎ そうでしたぁ‼︎ 国王、ご覧ください‼︎ この娘が、俺様が見つけて来た候補者でございます‼︎」


 ブレンが自慢気に両手で紹介のポーズを取るが、そこには誰も居なかった。


「ん? 誰もおらぬようじゃが?」

「へ⁉︎ あれぇぇぇぇ⁉︎ さっきまで横に居たんですけどねぇ‼︎」


 慌てて部屋の外に、候補者とやらを探しに行くブレン。

 部屋の外でブレンの話し声が聞こえる。


「フィーちゃん‼︎ 何故一緒に入って来ないんだ⁉︎」

「あんたが待てって言ったから……」

「そ、そうだったか⁉︎ いや、それは悪かった‼︎ では一緒に来てくれ‼︎」


 再び部屋に入って来たブレンの後ろから、見た目12歳ぐらいの黒髪の美少女が入って来る。


「さあ、ご覧ください国王‼︎ この娘が、俺様がノインツ大陸まで行って見つけて来た候補者、ネフティー・セルト‼︎ 通称フィーちゃんです‼︎」


「おおー‼︎ これはまた、実にかわいい娘を見つけて来たのぅ、ブレンよ‼︎」

「そうでしょう、そうでしょう‼︎ しかし国王‼︎ このフィーちゃん、ただかわいいだけではありません‼︎ その戦闘能力も素晴らしい物を持っているんです‼︎ もしかしたら俺様と互角、あるいはそれ以上かもしれないんです‼︎」


「何と⁉︎ 騎士団であるお前と互角とな⁉︎ これはまた素晴らしい逸材じゃな‼︎」



 得意気にアイバーンの方を向くブレン。


「ハハハァ‼︎ どうだアイバーン、俺様の見つけて来た候補者は⁉︎ これ以上の逸材はまずお目にかかれまい‼︎」

「ああ、可愛さは申し分無い……だが貴様と同程度の強さというのでは、大した事は無いんじゃないか?」


「ん? ……それはどういう意味だぁぁぁ‼︎」

「言葉通りの意味だが?」

「よーし‼︎ それなら久々に手合わせするか⁉︎ アイバーン‼︎」

「いいだろう! 私との格の違いを改めて思い知らせてやろう!」


 戦闘態勢をとるアイバーンとブレン。


「ち、ちょっとおやめくださいお二人共‼︎ 国王の御前ですよ⁉︎」


 メルクの言葉に、我に帰る2人。


「ハッ⁉︎ これは失礼しました、国王陛下」

「何なりと処罰を……」

「いや、構わん構わん‼︎ 久々にお前達のやり取りを見れて楽しかったわい、ハハハハ‼︎」

「恐れ入ります」


「ところでアイバーンよ‼︎ お前の候補者はどこだ? 城に戻って来たという事は、見つけて来たんだろう?」

「ん? ああ、見つけるには見つけたんだが……少々面倒な事になってな……」

「面倒な事?」


 ブレンに事の顛末を説明するアイバーン。


「何っ⁉︎ リーゼルの姫君だと⁉︎」

「ああ」

「それはまた……厄介というか、まあ知らずに選んだのなら、ある意味お前の見る目が確かだったと言うべきか……あ! 因みにそのユーキちゃんの写真はあるのか?」

「あ、ああこれだ」


 アイバーンに手渡されたユーキの写真を見たブレンが顔を赤くする。


「か……かわいい……オ、オイ! アイバーン‼︎ ユーキちゃんってめちゃくちゃかわいいじゃないかぁぁぁ‼︎ ほ、惚れた……」

「ユーキ君もただかわいいだけでは無いぞ⁉︎ 強さも申し分ない! ユーキ君の特殊能力を見れば、貴様も驚く筈だ」


 ブレンが見ていたユーキの写真を、横からヒョコッと覗き込むフィー。


「あ、いや……フィーちゃんも勿論かわいいよ‼︎ いやもう、甲乙付けがたいとはこの事だ‼︎」


 ユーキの写真を見たフィーがハッとなり。


「この娘……今どこに居るの?」

「ん? ユーキ君かね? 今は故郷のリーゼル国に居る筈だが?」

「そう……」


 足早に部屋から出て行こうとするフィー。


「ち、ちょっと待つんだフィーちゃん‼︎ どこへ行くつもりだ?」

「リーゼル……」


 再び部屋を出て行こうとするフィー。


「まっ、待ってってばフィーちゃん‼︎ 君には武闘大会が始まるまで、この国に居てもらわないと困る‼︎」


 フィーの前に両手を広げて立ち塞がるブレン。


「私は元々そんな物に興味は無かったし、本来の目的を見つけたから」

「え⁉︎ 目的?」

「それじゃ……」


 ブレンをかわして行こうとするフィーを、国王が止める。


「待ちたまえ、フィー君‼︎」


 だが無視して突き進むフィー。


「え? あ、あれ? ワシの声聞こえなかった? あ、それともワシ無視されてる? お〜い‼︎ ワシ一応国王なんじゃけどぉぉぉ‼︎」


 立ち止まり振り返るフィー。


「聞こえてるわよ……何?」


「あ、ああ良かった……オホンッ‼︎ リーゼルに行ってどうするつもりじゃ?」

「あなた達には関係無いわ」

「おっふ! 中々のクールビューティーっぷりじゃな⁉︎ クセになりそうじゃわい……目的は……ユーキ君、かな?」


「な、何故分かったの⁉︎ ハッ‼︎ 読心術⁉︎」


「え? もしかしてフィーさんって、クールに見えて意外と天然さんですか?」

「ふむ……この娘もいい……」

「アイバーン様……この浮気者……」



 

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