第33話 モテモテ街道爆進中! その1

 リッチが費用を全て出してくれるので、調子に乗って一週間程休暇を取る事にしたユーキ達。

 8日後に出発するので、その間にパーティーメンバー全員が、1日ずつユーキとデートする事になった。


「いや何でだよ‼︎」


 因みに、デートの順番はジャンケンで決めた。




 1日目 ーーネムとゲーセンーー



 対戦ゲームで対決するユーキとネム。


「伊達にゲームやって来たんじゃないんだ! 10歳の女の子に負けられるかー‼︎」


 結果……ネムの圧勝。

 激しくうなだれるユーキ。


「そ、そんなバカな……僕が手も足も出ないなんて……」

「姉様は弱くない……」

「ネム……」

「ネムが強過ぎるだけ……」

「ガーン‼︎」


 涙目で落ち込むユーキ。

 落ち込むユーキの頭を撫でていたネムが、ふと目の前のクレーンゲームを見て走り出す。


「ネム?」


 景品のぬいぐるみをじっと見つめているネム。


「欲しいの?」

「うん……でもネム……こういうのは苦手だから……」

「よし‼︎ なら僕に任せて!」

「姉様、取れるの?」

「まあ見てなよ!」


 そう言ってゲームを始めたユーキが、何と一発でぬいぐるみをゲットする。


「ふわあ‼︎ 姉様凄い‼︎」

「ふふん! 数々のぬいぐるみやフィギュアをゲットして来た僕にかかれば、造作も無い! ほら!」


 ゲットしたぬいぐるみをネムに手渡すユーキ。


「もらっていいの?」

「勿論!」


 頬を赤くし、羨望の眼差しでユーキを見つめるネム。


「ありがとう姉様! 大好き‼︎」


 

 椅子に座り、ソフトクリームを食べているユーキとネム。


「そういえば聞きそびれてたんだけどさ?」

「なーに?」

「何でネムは最初、あのキスパーって奴の中に入ってたの?」


「んとね……ネムが友達が欲しいって言ってたらロロが、世の中にはネムみたいな小さい子を狙う悪い人が居るから、友達にするなら見た目で人を判断しない人にしなさいって言うから。」

「へえ……ロロって結構まともな事言うんだ⁉︎」


「だから、なるべくみんなが逃げて行く様な姿にしたの……」

「なるほどね」

(う……納得だけど、同じオタクとしては複雑な気分だ)




 2日目 ーーメルクと服屋ーー



「メル君、ホントに僕の行きたい所でいいの?」

「ハイ! 僕はその……こういう事には疎いので、ユーキさんにお任せします」

「そっか……じゃあちょっと行きたいとこがあるんだ!」



 服屋にやって来たユーキとメルク。

 色々な服を選んでいるユーキ。


「うーん、これなら似合うかなぁ? あ、こういうのもいいかも⁉︎」

「フフ、かわいい服に興味があるなんて、ユーキさんはやっぱり女の子なんですね!」


「ん? 何言ってんだよ⁉︎ メル君に合う服を探してるんだよ?」

「え? 僕の服? あ、あのー、ユーキさん? そのー、気持ちは嬉しいんですが……ここ、レディース専門店ですよ?」

「うん、分かってるよ?」

「いやそんな、さも当然みたいな顔で言われても……ハッ! も、もしかして、まだ僕に女装させようとしてるんですか⁉︎」

「だってまだ実現してないもん!」


(そ、そうだった……むしろこういう事を1番面白がるのはユーキさんだった)

「あ、メル君! これなんて凄くかわいいと思う!」

「いや、着ませんからねー‼︎」

「ええー‼︎」

「ええーじゃありません‼︎」




 3日目 ーー セラと食べ歩き ーー



 とあるレストランの食べ放題。


「ま、まだ食べるの? セラ……」

「だってぇ、せっかくあのオーナーが全部出してくれるって言うんだからぁ、食べなきゃ損ですぅ」

「いやだからって、もう5件目なんだけど……」


「治癒魔法を使うとぉ、凄くお腹が空くんですぅ」

「ふーん、そういうもんなんだ?」

「まあ、治癒魔法を使わなくても、同じぐらいお腹は空くんですけどねぇ」

「空くのかよ‼︎」


「てか、セラがただ食べてるだけなら、別に僕が居なくてもいいんじゃないの?」

「それはダメですぅ! 今回の食べ歩きには、絶対にユウちゃんが必要なんですぅ!」

「え、そうなの? 何で?」


「だってお腹一杯食べた後はぁ、メインディッシュとしてユウちゃんを頂くつもり……」

「帰る‼︎」

「ああっ! 冗談ですぅ! 帰らないでくださいぃ! ただユウちゃんの笑顔を見ながら食べると、食が進むんですぅ!」


「僕は夜景かっ‼︎」




 4日目 ーー ロロとお菓子作り ーー



 宿屋でお菓子作りをしている、ユーキとロロ。


「ロロって料理得意なんだね?」

「ハイです! 生活費節約の為に、自炊する事が多いのです!」

「お菓子も作れるんだ?」

「ロロはお菓子作りをもっとも得意としているのです! パティシエールロロなのです!」



 作業しているロロをじっと見つめていたユーキが、いきなりロロの二の腕を摘む。


「ヒャアッ‼︎ なのです‼︎」


 顔を赤くして腕を抱えながら飛び退くロロ。


「い、いきなり何ですか⁉︎ セクハラなのです! モラハラなのです! レイハラなのですー‼︎」

「ああゴメン! ロロは召喚獣だって聞いたけど、見た目は普通の女の子だから、肌の感触とかがちょっと気になっちゃって……」


「確かにロロは召喚獣だけど、ちゃんとご飯も食べるしトイレにだって行くのです! 人間と同じなのです! でも魔力が尽きない限りは肉体が劣化する事は無いのです! 不老不死なのです!」


「へえ、凄いねー! 何だか良いとこ取りみたいだなー⁉︎」

「エヘン! なのです! 完全無欠ロロなのです!」


「じゃあさ! ロロは僕と合体出来たりするの?」

「そ、それは……やってみないと分からないのです……で、でも例え体は許しても、心までは許さないのです!」


「いや、誤解される様な言い方すんな‼︎」


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